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町おこしプロジェクトを経て[Footwork & Network vol.23]

    大分県杵築市の認知度を上げるための観光プランやPRを構想する、町おこしプロジェクトに今年の8月から参加している。今回はこのプロジェクトを通して感じたことを書こうと思う。

はじまり

 杵築市にあるテーマパークや古民家を訪れる現地調査、地元の農家さんやレストランを営む人などへのオンラインインタビューをこれまで行ってきた。これらを基に、実際の観光プランを考えていたのだが、誰をターゲットにした観光プランにするのかという問題に出くわした。最初の方は大学生をターゲットにすればいいのではという案が出ていた。大学生がおそらく人生で一番旅行に行きやすい時期であると考え、また自分たちも現在大学生であるからターゲットとして考えやすいのではといった観点から、この案が出たのである。

自分の固定観念に気づいた瞬間

 長らくは大学生をターゲットとした観光プランを考え、プロジェクトメンバーやプロジェクトの主催者からもターゲットが大学生であることに対して何も懐疑的な意見もなく進めていた。
ところが、ターゲットはこのままでいいのだろうかと考え直すきっかけとなった出来事があった。それは、ゼミでこのプロジェクトに関するプレゼンを発表した時だ。
現地調査に行った際に自分が見て感動した棚田や城下町の写真をゼミの仲間に見せたのだが、自分と同じようにその写真に感動する人もいれば、そうでない人と様々であった。ゼミの仲間は自分と同世代であるから、杵築市の自然や風景に対して自分と同じような感じ方をするだろうと思っていた。しかし、実際はそうでは無かった。その時、あるゼミの仲間から「この風景のどういうところに魅力を感じたの?」と聞かれた。自分は「この町は有名な観光地とかじゃないから地元の人以外には知られていないけど、そこにある良さっていうか。隠れスポットって感じがいいなあって思ったからかも。」と答えた。すると、ゼミの仲間が「秘境とかに魅力を持ったってことか。そしたら観光プランのターゲットを、秘境好きの人とかマイナーな観光地マニアにしたらどうかな」とアドバイスをくれた。
 鎌倉や川越のような誰しもが知っているような観光地なら、大学生というざっくりとしたターゲット層でも受けるかもしれない。だが、自分が担当している町はそういった観光地ではない。
年齢層が近い人なら大多数が同じ景色や自然を見て、自分と同じ感動を共感するのではと思っていたが、必ずしもそうではないということに気づかされた瞬間であった。

当たり前って?

 それからはターゲット層を大学生から隠れスポットマニアに絞った観光プランの作成へと移っていった。
11月には、自分たちが考えた観光プランを杵築市の市役所の方や商業施設を営む方々にプレゼンをする中間発表があった。発表の中で、現地調査に行った際に見た棚田の景色に感動したことを伝えた。
すると観光業の方々から「自分は生まれた時からこの町でずっと育ってきたから、この景色が当たり前だと思っていたよ。」との言葉を頂いた。
確かに第三者の目から見たら神秘性や魅力を感じる景色でも、そこの町に前から住んでいる方からすると当たり前のものになっているかもしれない。
当たり前だと思っているからこそ埋もれてしまっている自然や風景が杵築市以外にもまだまだあると思うと、地方創生や地域活性化は終わりのない探検のようなものだなと感じた。

これから

 このプロジェクトを経て、周りの人との対話を通して自分が無意識のうちに持っていた固定観念に気づくことの面白さや、当たり前だと思っているものでも他の人からすると必ずしもそうではないことが多々あることを学べたと思う。来年からの越境活動では、自分の意見や考え方が固定観念に縛られていないか、自分のものの見方が他人からすれば新鮮でためになることもあるかもしれないといったことを念頭に置いて挑もうと思う。

#melc2022 #FandN

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