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矢視図なんてなかった

矢視図とかA矢視とか書かれた図面は一般的に見かけますし、諸先輩方にも客先にも話は通じます。

ところが矢視図という表記法どころかそんな言葉自体、JISに存在しないのだとか。
かわりに矢示法という言葉はヒットします。が、やはり「矢示図」とは書かないようです。

そこそこ長い間図面を見たり描いたりしてきたけれど、これにはかなり驚きました。




JISの投影法を調べてみた

で、投影法について調べていくと、

1. ↓A のように、方向を示す矢印および記号を記す
2. 記号に対応する図に A と記す

これだけ。

1.はともかく、2.は知らなかった。A矢視図ともA矢示図とも書かずに、
ただのA。これのみだというのです。

今の今まで間違った認識で過ごしてきたことに気付かされたときの生まれ変わったようなフレッシュさをおぼえる反面、
意味が通るんだから別にいいじゃないか、むしろ見る側が記号しかなくて意味がわからんとなるのならそっちの方が問題ではないか、
とも思えてきます。


結局のところどう書くべきか

ぶっちゃけたことを言うと、私としては見る側が分かるかどうかの方が、正しく書くことより大事だと思ってます。
意味が通るんだから別にいいじゃないか派ですね。

教科書的にこれが正解なんだと言ってみたところで、実際に作る側の手が止まってしまうのなら待っているのは鬼電地獄。はたしてこれでものづくりが進むでしょうか。

投影法に限らず、図面はどう書かれている方が見やすいのかという問いはある意味永遠の課題。
加工側の視点や考え方もとり入れて、すれ違いをなくしていきたいところです。


君は矢視図とは書かんと指摘されたことがあるか

正直なところ、今まで一度も言われたことがありません。ありませんが、たとえば検図の場面で上司なり誰なりに「きみきみ、矢視図とは書かないんだよ。もっと勉強したまえ。ドゥフww」とか言われたら、
ハンコ傾けて額に押したろかと思うことでしょう。とにかく、何いってんだこいつってなるんじゃないかなと思ってます。

現に意味通っているじゃんかと。矢視図として認識したうえでそれ言ってるよねと。単にうんちく披露したいだけじゃないかと。


たまには本でも読んでみようか

往々にして、業界の常識というか通例として規格に反したやり方になっているが実際みんなそのやり方で動いている、という場合は規格にあってない!とひとり騒いでみたところでどうにもならないもんです。
(法律に反しているとかだったら話は別)

それはそれとして、規格というものが世の中にあるのだからそこから学びを得ようとすることは非常に有益です。自分の住んでる業界の常識が世界の常識だと思いこんでいると、いつか赤っ恥をかくことになってしまうかもしれませんしね。

たまには本でも読んで、知識の棚卸しと再構築をやってみるのも一興かもしれません。

そうした作業は、きっと人生を少しだけ豊かにしてくれることでしょう。


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