にぃさん

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にぃさん

委ねる芸術家(https://www.instagram.com/sh.in3554/?hl=ja)の作品を図鑑にしたり、詩を書いたりしています。インスタ→ https://www.instagram.com/23_the_poet/

マガジン

  • 詩集

    こころの趣くままに紡いだことばの集まりです。あなたにとって必要なことばが、必要なときに、必要なだけ届くことを願って。

  • 【真龍図譜】

    委ねる芸術家シンシンの龍書画をもとに、龍と人との物語をつむいでいます。あなたの龍が、あなたを待っています。ぜひ逢いに来てください。

最近の記事

  • 固定された記事

【詩】詩とわたし

この世界は詩でできている 切り撮られた写真のように またはコラージュのように この世界は詩でできている 人影の消えた公園に転がる 空気が入ったままのボール 朝に道行く人を吸い込んで 夜に吐き出すオフィスビル 虚空を見つめて威嚇する猫 なにかを訴えているカラス 誰もいない深夜のコンビニ 酔いつぶれた明方の繁華街 動いているのものが止まり 止まっているのものが動き ちぐはぐという秩序が流れ 無秩序が規則に沿って暴れ この世界は詩でできている 時空がひずんだ夢のように また

    • 【詩】だらんだらん

      引き伸ばされた街路樹の影が 開けっ放しの窓から入り込み 床の上で横たわっている だらんだらんとだらしなく 床の上で横たわっている あくせく急いだところで 得られるものなんてない 早く手に入れても 遅く手に入れても たいして変わらない だらんだらんとだらしなく 床の上で横たわっている 街路樹の影のように 適当でいいんだ適当で だらんだらんとだらしなく だらんだらん だらんだらん

      • 【詩】空震

        空が震えている やさしい音を響かせて 朝な夕なに歌っている 太陽の讃美歌のような 月の子守歌のような 心地のよい振動 空が震えている 澄んだ波紋を揺らして ひねもすくり返している 雲の呼吸のような 星の鼓動のような あたたかい波動 たゆたう空の深い青の底 流れに浮いたり沈んだり ときにはくるくる回りながら 小さな小さなわたしたちは 今日も健気に生きている

        • 【詩】特注品

          合わないのならやめなさい 楽しくないならやめなさい 毎朝早起きして運動するのは とてもすばらしいこと 食べるものに気を遣うのは とてもすばらしいこと でもその運動が気遣いが 合わないのならやめなさい 楽しくないならやめなさい 流行に乗っていまを感じるのは とても気持ちのいいこと みんなと感動を共感するのは とても気持ちのいいこと でもその流行が感動が 合わないのならやめなさい 楽しくないならやめなさい あなたの健康はあなたのもの あなたのために用意されたもの 健康な

        • 固定された記事

        【詩】詩とわたし

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        • 詩集
          128本
        • 【真龍図譜】
          18本

        記事

          【詩】偉大な詩人

          こどもは偉大な詩人だ 誰にも否定はできまい 同時にわたしたちが 誰かのこどもである以上 偉大な詩人であることも 誰にも否定はできまい 小さいばかりがこどもではない ことばの連なりだけが詩でもない また人だけがこどもであることを 許された存在というわけでもない 路のかたわらの樹も足もとの草も 犬も猫も風も太陽も地球も宇宙も みな「それ」のこどもなのである 森羅万象すべては「それ」の 創造物というこどもであり 創造主という詩人であり そのこと自体が本当に途方もなく 身震いする

          【詩】偉大な詩人

          【詩】堂々としてる

          堂々としている それだけで充分である 太っていようが ハゲていようが すっぴんだろうが 出っ歯だろうが 堂々としている人は いっそう輝いて見える 堂々としている人は 太っていても愛らしく ハゲていてもかっこよく すっぴんはかえって綺麗で 出っ歯には自然と愛嬌が宿る 堂々としている人には こころの底から圧倒される 自信があるから 堂々としているのではない 堂々としているから 自信がみなぎっているのだ 堂々としているとは 姿勢や態度のような 他人に向けた意識ではない 生き

          【詩】堂々としてる

          【詩】きみの思い出

          春に似た季節に きみはこの街を離れていった すべてを置き去りにして きみはこの街を離れていった 風に尋ねれば 行き先を教えてくれるだろうか 雲に願えば 居場所を知らせてくれるだろうか たとえきみがどこにいるのか どこへ行こうとしているのかを 知ることができたとしても いまのぼくには もう……  春に似た季節に  きみはこの街をおとずれた  小さな夢だけをたずさえて  きみはこの街をおとずれた  悲劇の映画を見るのが好きで  甘いものには目がなくて  街の史跡ばかりをめ

          【詩】きみの思い出

          【詩】かおり

          願いや夢には香りがあることを ほとんどの人は知らないまま 感じられないまま生きている なんともったいないことだろう 香りは やわらかく やさしく ときには大胆に触れてくるのに ほとんどの人は素通りする 立ち止まっては願いや夢が 逃げてしまうのだと思っている こっちのほうが正しい道だと もっとも近い道だと信じて ひたすら走って走って走って 香りからどんどん遠ざかる なんともったいないことだろう 香りはゆっくりとただよいながら ここにいるよと教えてくれている アリアドネの糸をた

          【詩】かおり

          【詩】ただそれだけなんだ

          なにかを犠牲にしなければ なにかを得られはしないと これまで思ってきたけれど そういうことじゃなさそうだ むずかしい話じゃなさそうだ 仕組みはいたって単純で 入れ替わってるだけなんだ ただそれだけなんだ 100を失って10を得たとき 差し引き90の損や犠牲を これまで嘆いてきたけれど 実はちゃんと90入ってきている 見えないだけで入ってきている 100が10と90のふたつと 入れ替わっているだけなんだ ただそれだけなんだ 重さや多さや速さや新しさ ぼくたちは見えている

          【詩】ただそれだけなんだ

          【詩】好きなモノ

          あなたはソレが 本当に好きなんですか? ナニカを否定したまま ナニカを批難したまま ナニカに怯えたまま ナニカを避けたまま ソレが好きというのなら あなたの意識はソレではなくて ナニカにばかり向いています あなたはソレが好きで 追いかけているつもりでも あなたはナニカから 逃げ続けているだけなのです ソレを手に入れても ソレを愛でても あなたの意識が ナニカに向いている限り ナニカはあなたに近づいてきます あなたはソレが 本当に好きなんですか? あなたが本当に好きなモ

          【詩】好きなモノ

          【詩】きみのすがた

          だれも自分の姿を 自分の目で見たことがない 鏡を覗きこんでも 映るのは左右反転した自分の姿 録られた映像を眺めても いまよりむかしの自分の姿 いまの自分の姿を いまの自分の目で観ることは 決して叶わない どんな顔で笑っているのか どんな姿勢で歩いているのか だれも自分の姿を知らないのだ でも いまどんな気分なのか いまどんな気持ちなのか 心地いいのか 心地悪いのか どうしたいのか どうしたくないのか はっきりわかっている 感じている自分は 自分にだけ観える自分の姿

          【詩】きみのすがた

          【詩】宇宙船地球号

          巨大な宇宙船に乗っている 地球という青い宇宙船に ぼくたちは乗っている 操縦者はひとりもいないけど 管理者なら無数にいる でもどこで誤ったか忘れたか 管理の仕方がヘタクソだ 直らないうちから壊れていく 引力だとか熱だとかの 物理現象ではなくて 本当に物理的に壊れていくのだ むしろ壊しているのだ 人間が 管理者たる人間が 宇宙船を完全に壊したら ぼくたちは生きていけない 誰もがわかっているのに 誰も本気で信じていない この宇宙船が崩壊するなんて 実は誰も本気で信じていない 誰

          【詩】宇宙船地球号

          【詩】空に映して

          自由に空を飛びたい なんてことをぼくたちはいう 自由の舞台を空に求めて 憧憬のまなざしを向ける でも空は本当に自由なんだろうか 地上よりもずっと風は強いし 雨をしのぐ屋根もない 隠れることもできないし なにより飛び続けなければ 自由の象徴として映らない ぼくたちにとって自由とは いったいなんなのだろうか ぼくたちは自由というものを 本当に知っているんだろうか なにかを見落としている なにかを忘れている そんな気がしてならないんだ そんな気がして……

          【詩】空に映して

          【詩】いのちのともしび

          ぼくたちが夜空を見上げて 星のまたたきを見るように 宇宙もぼくたちを覗いて 一瞬のきらめきを延々と ただ眺めているのだろう 無数のきらめきの中の ひとつがぼくで ひとつがきみで 同じようなひかりに 映るかもしれないけれど たしかに存在する いのちのともしび 宇宙になって自分を見つめてみる ぼくたちが星を見るように シリウスならシリウスを ポラリスならポラリスを ひとつの尊い星として見るように 宇宙になって自分を見つめてみる ぼくはぼくとして きみはきみとして 宇宙のひとみ

          【詩】いのちのともしび

          【詩】人をはなれて夜半

          街灯に照らされた街路樹の 青々としたしずかな色を観るとき 樹もまた眠るのだと知った 彼らの目覚めは明るさではなく きっと起きたときが朝なのだろう やわらかな風にこずえがささめき つぶやくような声を耳にしたとき 樹もまた寝言をいうのだと知った やはり夢を見るのだろうか 樹の見る夢とはいかなるものか そんなことをぼんやり考えるとき 自分がどこか自分でないような 人ではないような感覚になる どうやら今夜もしばらくは 眠れそうにないらしい

          【詩】人をはなれて夜半

          【詩】おもかげ

          詩を書くときにはすでに 詩はできあがっている 書き起こす過程までを含めて すでに詩はできあがっている 詩は文字の羅列ではない 表現や意味も本質ではない ことばさえ必要のないほど 圧倒的な存在と意識 それが詩だ だからすでにできあがっている 存在することがすでに詩なのだ 意識することがすでに詩なのだ 存在は詩 詩は存在 意識は詩 詩は意識 詩を書くときにはすでに 詩はできあがっている 書き起こす過程までを含めて すでに詩はできあがっている 存在と意識のおもかげ 詩はただ

          【詩】おもかげ