言葉を大事にしない国は亡びる

言葉を大事にしない国は亡びる
“シーチン”修一
【雀庵の「大戦序章」299/通算730 2024(令和6)年6/11/火】8日から、激しい風雨でかなり傷んだガレージの修理を始めているが、こんな経緯がある。
先月に再開発が急ピッチで進んでいるJR南武線と小田急線が交差する登戸駅&向ケ丘遊園駅界隈をチャリ散歩していたら、急に凄まじい突風で自転車も体も浮き上がり吹き飛ばされそうになったのだ。これほどの突風はずいぶん昔に品川駅や新橋駅界隈で体験して以来だが、高層ビルが林立すると湿気を含んだ強風が横や上に逃げるのではなく地面に激突し、その勢いで一気に上に向かう「ダウンバースト」になることを思い出した。
気象庁によると「ダウンバーストは積乱雲から発生する、冷えて重くなった強い下降流のことで、地面に到達後、激しく発散する。吹き出しの強さに対応して倒壊物の方向も一方向や扇状になることがある」。

転んでもただでは起きない小生は「2Fの階段踊り場が時々濡れているのは、もしかしたら4Fの屋上展望台の笠木(雨除けの鉄製保護材)の下部からダウンバーストで雨水が侵入しているのではないかとチェックしてみたら、まったくその通りだった。建物が1階建て、2階建てが普通だった40年前には、3階建て、4階建て、更には10階建て、20階建てのビルが林立する街になるとは誰も想像できなかったし、ましてや「激しいダウンバーストで下から雨水が侵入する」なんて想定外だった。
雨漏りの原因が分かったので笠木の下の隙間をシーリング材で塞いだ。お気に入りの「コニシ シリコンシーラント」は「耐熱・耐寒性に優れ、-40℃~+150℃の温度範囲での使用に耐える」という優れもの。効果絶大、今のところは雨漏りはない。

素人ながら5年ほどビルの営繕をしているうちに、少しずつ職人っぽくなり、業者に頼まなくてもおおよその修理はできるようになった。今は加齢で体力が落ち、腰と膝が弱ってきているので2日は間を置かないと作業ができなくなったが、無理せずに、安全優先でシコシコ続けていきたいものだ。「やるべき仕事がある、体もまだそこそこ動く」というのは良いことである。

産経2024/6/9の「日曜コラム」、シンガー・ソングライター・さだまさし氏の「『無礼』の時代」は良かった。以下転載する。
<「高齢者は老害になる前に集団自決、集団切腹でもしたらどうか」と言い放った若い先生がある。
若者にとっては老害が一番迷惑だという主張は一理あるようでもこれは言い過ぎ。口が滑ったのだと信じたいが、老人にとって若い無知の『若害』は大層迷惑なもの。どうぞあなたが教えているらしいアメリカの大学でも同じ発言をしてご覧なさい。それから、あなたが高齢者になったら率先して是非そうなさい、と申し上げておく。

無礼な言葉だが、この手の人の無礼は治るまい。頭の良い人が陥る「自分は正しい」という幼い罠に嵌まったようだ。自信満々の時は自分の言葉が誰かを傷つけているかもしれないという慮(おもんぱか)りを失う。正しい意見に傷つく方が悪いということか。だが老人から見たらこの種の発言は教養のない莫迦(ばか)に見える。ここで言う教養とは知識を上手に応用する心の力量のことだ。当然乍(なが)ら学歴や知識量でその人の心の高さを測ることなど決して出来ない。その地位でもだ。

「礼」の意味は「うやまうこと」だそうだ。しかし礼儀や言葉遣いは規則でもないから伝えるのがとても難しい。歳を取ればその経験から、ある程度の分別がつきそうなものだが、それをちゃんと伝えないで無駄に歳を取らせた先達が悪いと言われるのならば確かに老人が悪い。だが人を敬うとはどういうことか伝えようにも相手が耳を貸してくれない時代だから埒(らち)が明かない。

それにしても「無礼な時代」になった。他人に対する言葉遣いが悲惨だ。テレビのバラエティーは勿論のこと国会でさえその言葉遣いにがっかりする。言葉遣いは心遣いなのだがなぁ。昔は丁寧語、尊敬語、謙譲語など年長者や目上の人や他人への言葉遣いには厳しかったものだが、今は「年長者」「目上」というだけでハラスメントとされる心の狭い時代。「礼」を知らないからそれが無礼であることに気づかないのだ。
この春「さだまさしの詞集」のようなものを無断で出した出版社がある。詞の原作者本人に一言の相談も通告もなく、許諾も得ない本が商売になるとは驚いた。出版した人はこれを無礼だとは感じなかったのだろう。しかも歌の題名にも歌詞にも誤字がある。余りのことに驚き、売るのをやめてくれと頼んでいる所。「言ったもん勝ち」や「やったもん勝ち」は承服できない。これにどう対応するか考えている所なので、決着したらお伝えする。

次第に日本人の心の質が変わってゆく。いつかやがて「無礼」という言葉の意味さえ分からなくなる日が来るのだろうと思う。だがその日まで生きないで済む老人で良かったよ。あ、済まないが自決する気は無い。
◇さだまさし 昭和27年生まれ。音楽、小説など幅広いジャンルで活躍>(以上)

さだまさし・・・ピンとこなかったが、「関白宣言」の人! 実に感動的な歌だったなあ。WIKIで調べたら・・・
<さだ まさし(本名:佐田雅志/読み同じ)、1952年4月10日生まれ~は、日本のシンガーソングライター、俳優、タレント、小説家。國學院大學、東京藝術大学客員教授。ファンとスタッフの間では「まっさん」の愛称で親しまれている。
フォークデュオのグレープでメジャーデビュー。「精霊流し」のヒットにより全国にその名を知られるようになった。ソロシンガーになってからも「雨やどり」「案山子」「関白宣言」「道化師のソネット」「親父の一番長い日」「北の国から〜遥かなる大地より〜」など、数々のヒット曲を生み出す。2019年10月6日時点で、日本で最も多くのソロ・コンサートを行った歌手でもあり、その回数は4,400回を越えている。
トークの軽妙さは大きな魅力とされており、それで自身のコンサートのお客を楽しませ、またテレビ・ラジオ番組のパーソナリティーやMCなどとしても活躍。小説家としても活動し、『解夏』『眉山』などの作品を発表している>(以上)

「関白宣言」は1979年7月10日に発表。♪お前を嫁にもらう前に 言っておきたい事がある かなりきびしい話もするが 俺の本音を聴いておけ 俺より先に寝てはいけない 俺より後に起きてもいけない めしは上手く作れ いつもきれいでいろ 忘れてくれるな 仕事も出来ない男に家庭を守れるはずなどないってこと お前にはお前にしかできないこともあるから それ以外は口出しせず黙った俺についてこい・・・・

さだまさし氏は小生と同世代だ。祖父や父親は明治、大正、昭和の「お国のため命おしまず大和魂」の塊(かたまり)である。この歌が話題になった1979年、小生は担当していた月刊誌「Big Holiday」が廃刊になり所謂「失意のどん底」、同じように「どん底」だったらしいカミサン(看護婦)と心機一転を期して所帯を持った。そんな時に出会ったのが「関白宣言」だったので記憶に残っているのだろう。夫唱婦随、元気になって週刊の「Wing Travel」編集長に抜擢されたから、カミサンは「あげまん」だったのだ。今は婦唱夫随で小生はすっかりケアされており、何となくペットとか患者になった気分である。

ところで6/11の産経「欧州議会選 極右が伸長 EU政策に修正圧力」はややこしくてちっとも分からなかった。そもそも「極右」というのが曖昧だ。夕べ3000円を寄付したWIKIによると――
<「極右」は、一般的には思想の性向が極端に右翼的であったり、民族主義的である個人や集団を指す場合が多い。通常、自己の帰属する国家・民族が他に対して絶対的に優越するという信条のもとに、他民族の排除、ならびに従属化を肯定する自民族至上主義をその本質とする。
その思想・行動における傾向として、自国・自民族の結束の基礎となる権威の崇拝(権威主義・国粋主義)、自国・自民族が他者に絶対的に優越するという信条(自民族至上主義・民族差別・選民思想・排外主義・外国人嫌悪・極端な愛国心)、社会改革を目的とする暴力的手段の肯定(テロリズム・過激主義・急進主義)、自国・自民族を主体とする武力行使の積極的肯定(軍国主義)、男権主義(男尊女卑・ミソジニー)、その他の社会的少数者の排除(優生思想・反同性愛主義)などが含まれる。

その典型として、ごく一般的には超国家主義(ファシズム・ナチズム・ネオファシズム・ネオナチなど)の思想・運動・体制が含まれるとされる。また、宗教的原理主義(キリスト教原理主義・イスラム原理主義・ヒンドゥー原理主義)は、しばしば共産主義を含む進歩主義勢力と対決姿勢をとることから、政治的には極右に分類される場合が多い。

ただし、極右・右派・中道・左派・極左などの分類はあくまで発語者の主観に基づく相対的なものであり、強い民族主義的傾向をもつ個人・集団を批判するレッテルとして用いられる側面がある。しばしば思想内容よりも行動上の過激主義や、共産主義を掲げた全体主義(スターリニズム・マオイズム・主体思想)を指す場合もあるように、極右(極左)の語は、状況によって様々な意味で使用され、相互に矛盾する場合も少なくない>(以上)

ゴロツキ3派の中露朝を小生は「独裁国家」と書くが、産経は「権威主義国家」と書く。流行語を使いたい気持ちは分かるが、「独裁国家」で十分用が足りる。5/4の広報誌「議会かながわ」を読んでいたら知らない、意味不明、怪しい言葉がいっぱい出てきてビックリ、「用語解説」もあったから多くの人は「何なんだ、さっぱり分からん」と困惑していたに違いない。こんな言葉。
◎スポーツツーリズム ◎プレコンセプションケア ◎メガソーラー ◎ペロブスカイト太陽電池 ◎海業 ◎ウェルビーイング ◎KPI:Key Performance Indicator ◎トライアルステイ ◎PFOS ◎ケアリーバー ◎アルベルゴ・ディフーゾ・・・まさに愚の骨頂。言葉=祖国を大事にしない国は亡びるか、再生に苦労する、と歴史は伝えている。
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渡部亮次郎 「頂門の一針」ryochan@polka.plala.or.jp
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