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干物女が既婚者専用マッチングアプリに登録して男性に会う

  既婚40代干物女が既婚者マッチングアプリ5社に登録すると、合計80人以上のメッセージが来た。
数々の条件を出して、8人の男性と顔合わせの約束をする。言うなれば面接か。
  干物女であるから、普段着は女を出さない服装をしている。そんな格好では男性の方から断わられること間違いなし。お試しどころではなくなる。向こうから断わってきたら、女性としての自信も無くなる。
顔は薄化粧をすればまともらしい(家族談)。服装は、歳相応の落ち着いた色合いの、それでいて女性らしいラインが出るものにした。香水は敢えて付けない。
靴はいつも履いている運動靴ではなく、少しヒールがあるものを。尻が少し上がり、グンと女性らしいラインが出た。
カバンはノーブランドで、シンプルなものを。
髪はヘアーアイロンで靡く仕様に。ピアスは小ぶりなコットンパール。
気合いを少し入れるだけで干物女は疲れてしまった。
男ウケしなければ、自分が理想とする不倫相手に選ばれない。当然向こうにも選ぶ権利はあるのだが、私ほど理想は高くは無かろう。
私の左手薬指には結婚指輪は無い。普段から付けていないので楽だ。
既婚者の男性は結婚指輪を付けてくるものなのだろうかが気になる。

   トップバッターは、3歳歳上だと言うAさんから。
お互い午後に有給を取って、2時間だけ会うことにした。
お昼を食べながら話しましょう、と迎えに来てくれた車を見ると、なんと新型レクサス!
乗る前から気分が上がるから、車って重要だなと思ったのも束の間、やっぱり中身よね!相手が歳上ということもあったからか、上からものを言うような話し方に引くばかり。内容も自慢話多め。本当に凄い内容だったからそれは目を瞑る。とりあえず褒めて、ついでに媚びておこう。ランチをご馳走していただくわけだし。
しかし⋯ご馳走していただいた1800円のランチは美味しいかったけど、Aさんの食べ方が気に入らない。
美しくとは言わないけど、普通に食べて欲しい。
そして声が大きい。ここはお店ぞ?公共の場ぞ?
既婚者専用マッチングアプリで知り合った風の内容をベラベラと話さないで欲しい。変な汗が出る。配慮は無いのか? 車で話して、車で。
気に入らない事は他にも。プロフィールにはガッチリ体型と書いていたのに、運転中に腹部を見たら盛り上がっていた。車から降りて歩いている姿も、お腹ぽっこり。年齢もかなり上に見えた。これは全くドキドキしない。
ガッチリというのは、ある程度鍛えている男性しかプロフィールに書いてはいけない。ややぽっちゃりに修正すべき。
Aさんの薬指を見ると、結婚指輪はしていなかった。普段から付けないそうだ。やっぱり既婚者でもそういう人がいるのだな。
ドライブ中、私のオナニー話を聞いて調子に乗ったのか、じゃあ次に会う時はホテルで鎮めてあげるよと言い出す。
いや、そもそも次もあると思うのかが不思議。私はあと7人の男性と顔合わせをするのに、すでに選ばれる前提。どこから来るの、その自信。

LINE交換をしようと言われたが、全ての方と顔合わせが済んで、Aさんが残られた時にメッセージでIDをお伝えしますねと約束をし、顔合わせは終了。
もちろん次はなく、後日お断り一択。それでもしばらくマッチングアプリの方にメッセージが届く。寂しくなったらいつでも相手をしてあげるからねと⋯震えが止まらない。

   次の日は休日で、3人の男性と時間と場所をずらして会うことになっていた。
約2時間半で、9時からBさん、11時半からCさん、14時からDさん。
結論から書くとBさんは来なかった。すっぽかされたのだ。その日の7時頃のメッセージを最後に応答無し。とても感じが悪い。これが冷やかしというものか。待ち合わせ場所に向かう時に気付いたので、行かなくて良かった。

   気分を変えて、同い年のCさん。
車種は伏せるがテンションが上がる車。そしてシックな色。しかもCさんは40代の頃の柴田恭兵似!なので、運転中にチラチラと見てしまう。柑橘系が香る車内も居心地が良い。無駄な物は載せていないのも、魅力的。
仕事の合間に来てくれたらしい。スーツ姿に弱い女性は多かろう。それにしても値段の高そうなスーツだ。そしてスーツの上からでも分かる、引き締まった細身の身体。やはりトレーニングをしているとか。身につけているものもセンスが良いし、髪型も似合っている。声も低いトーンで落ち着く。
ランチに連れて行ってくれたお店はかなりオシャレで景色も良い。ノーブランドのカバンを持っている私が、恥ずかしくなるぐらい。
なんでも注文してねと言われたが、遠慮して一番お安い1500円のメニューを選んだ。彼は、会計時に領収書を切ってもらっていたけれども。
話の中で、Cさんはバツイチだから既婚者ではないという事が分かった。当然結婚指輪はしていない。
出張が多いようで、いろいろと遊び慣れているような感じがした。でもそれが逆に良し。私が素人だからね。
しかし、ハイスペックのイケメンだから、レベルの高い女性や若い女性ともそのような機会があるに違いない。性病の心配はないのだろうか。そんな心配をしていたら、誰とも試せないが。
後日Cさんのプロフィールを再確認したが、他県に出張の際にはその県で、夜遊びませんか的な募集をかけていた。そういうサイトだから仕方がない。
なぜ改めてプロフィールを確認したのか?その後、向こうから一、二度メッセージのやりとりを最後に返事が無くなったのだ。やはり、そうか。
イイ女ばかり見てるから、私のような付け焼き刃(干物女)はすぐに見抜かれたのか。そういうことなのだろう。傷は浅い。むしろハイスペックイケメンに素敵なお店で、美味しいものを食べさせてもらい、テンションが上がる車の助手席に乗せて貰えたのだ。いい夢を見せてもらえたので、逆に感謝をしなければ。
捨て台詞を書くなら、少し運転は微妙だったので、あっちは期待通りでは無かったかもしれない。想像になるが、そう思えば惜しくは無い。
もう試しようが無いが。

  この日最後のDさん。

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