NEEDY GIRL OVERDOSEクリアした感想

※ネタバレあり※

発売当初に購入して、ずっと積んでいたニディガをクリアした。元々配信で少し見ていたし、購入時にエンディングを5つくらい見ていたので、まったくのニューゲームではなく「そろそろ……やるかあ!」という感じ。
久しぶりにプレイして、面倒くささを思い出した。この面倒くさいというのは決して悪い意味ではなくて、主人公のあめちゃんからJINEでパラパラとメッセージが来て返信しなければいけない煩わしさなんかが最高に「メンヘラを相手しているな~」という実感をもたらしてくれるのだ。
ゲームの操作自体は非常にシンプルかつ簡単。しかしエンディングを全て回収しようと思うと、かなり根気がいる。一周するのにそれなりに時間がかかるからだ。
特に難しかったのは『DARK ANGEL』というルート。ストレスの上限値を120まで解放して、フォロワー数100万人突破すると見れるエンディングだ。ストレスが100になるとあめちゃんは病んで奇行に走るし、その際に好感度のパロメーターがガクンと下がって別ルート行きになることもある。
難しいんじゃないかと警戒していたフォロワー数カンストエンディングは案外あっさりいったので、『DARK ANGEL』は思わぬ難敵だった。

すべてのエンディングを見ると、今まで隠されていた真実が明らかになる。これをどう捉えるかは人によると思う。
簡単に言うと、今までピと呼ばれていた恋人兼プロデューサーなんて存在しなくて、あめちゃんは一人だったこと。また、あめちゃんの描くイラストが異様に幼く拙いことが判明する(イラストを見る機会は一度じゃないけどね)。
考察でよく見られるのが、あめちゃんはそもそも子どもなんじゃないかという説。配信者に憧れる女の子が見た夢なのではないか……みたいな話だ。
私はこの説も一理ある……とは思うが、やはりあめちゃんは大人なのでは?と思っている。
女児アニメとそれを見る子どもの純真さに言及していたり、インターネットにずぶずぶなところなんかは少なくとも20代以上の女性にしか見えない。私の中では超てんちゃんは大人だ。そう結論付けている。

ピはイマジナリーフレンドだったけど、超てんちゃんが配信をしていたことは現実だと思うんだよね。
これに関しては作中で「私は精神科病棟にいて配信ごっこしてるんじゃないか」みたいな言及を本人がしているから、不確かではある。もしかしたらそうなのかもしれない。でもそれにしては起こる事象があまりにもリアルだ。
まほうのきってを使った時に書かれる体験記もとても読みごたえがあって素面で書いたとは思えない。
精神科病棟にいるなら手首も切れないしね。

私がこの作品を好きなのは、グッドエンディングが一つもないところだ。
すべてのエンディングを見た後の判明する真実はトゥルーエンドと言えるだろうが、それ以外は全部バッドエンディングだ。
健常になりすぎて目的を見失ってもいけないし、好感度は常にバランスよくいなきゃいけない。目標が不達か達成かの分岐で結末は変わる。
どのルートに進んでも超てんちゃんは幸せになれない。これはあめちゃんの心が本当に求めている物が本当はインターネットにはないからだと思う。
ピというたった一人の恋人から愛されてもだめで(これはイマジナリーフレンドだからだとも言える。永続はしないだろうけど寝取られエンドでは一応幸せそうな顔をしていたし)、有象無象から崇め奉られてもだめ。
生きてるだけで認められたい!愛されたい!という欲求の裏返しが配信者活動だと思うのだ。
彼女の抱えるそんな生きづらさ、もがきが魅力的で、かわいい。だからこそここまで愛されるキャラクターなのだと思う。
感想を漁っていたら、精神疾患当事者としてニディガを批判しているブログがあったが、そこに書いてあることは的外れだと私は思った。
あめちゃんはメンヘラなだけじゃなく、人格にも歪さを抱えている。決して精神疾患を軽視しているわけじゃない。彼女を構成するだらしなさまで書ききっているのが本作だと思うのだ。

人間は欲張りで不器用な生き物だ。それを気づかせてくれる名作ゲームだと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?