『虎に翼』OPアニメーションは「スンっ」とした表情?

法曹服を身にまとい、
米津元帥の歌に合わせてダンスする主人公。

「虎に翼」のオープニング映像は
実写とアニメーションが融合された作品だ。

パステルカラーの色合いがとても美しく、
わざと画面をかくつかせる技法がカッコいい。
映像を見た瞬間から、惹き付けられた。

朝ドラが始まって、3カ月目に突入。
当初から、ずーと気になっていたことがある。
それは、オープニングの主人公の表情が〝ほぼ無表情〟だということ。

大抵、NHKの朝ドラのOPは、とびっきりの〝笑顔〟が多い。
なのに、なぜ??

番組も中盤に差し掛かかった今週、「あ!」気づいたことがあった。
これは、もしや「スンっ」の表情ではないか!

「スン」という言葉は、
このドラマでしばし出てくる、ドラマのオリジナル用語である。
〝自分の意見を押し殺す〟時や
社会に対して〝諦め〟であったり、〝拗ねたり〟する時に出てくるようだ。

一方、このドラマでよく出てくる、もう一つ重要な言葉が「はて?」だ。
「スンっ」の対極にある言葉である。
当時、女性が不利だった時代、
主人公の虎ちゃんは、男性優位の社会や制度に対して・・・
「はて?」と、疑問を投げかけていくのである。

「はて?なぜ女学校を卒業したら、お嫁にいかないといけないのかしら?」
「はて?なぜ女性は夫の庇護を受けないといけないのかしら?」

まさに虎ちゃんの代名詞「はて?」。
しかし、今週は
虎ちゃんが「スンっ」とする場面が多く描かれていたのだ。

初の女性弁護士として奮闘してきた虎ちゃん。
しかし、結婚、出産をすると仕事との両立は難しくなり
志半ばで、法曹の世界から身をひくことに…

終戦後、父や夫を亡くした虎ちゃんは一家を支えるために
再び法曹界で仕事をすることになるが、
「法曹界から一度逃げた」という負い目から、
卑屈になってしまったのだ。

 「自分は戦うことをやめ、一度逃げた人間だ」
 「そんな自分に、社会を変える資格はない」

この時の表情が、まさにオープニングのアニメーションの「スンっ」とした無表情だったのである!

アニメ―ションを制作した方は、
そんなことを1mmも考えていないかもしれない(笑)。

ただ実際の現実社会は「スンっ」だらけ。
私も「スンっ」とした表情をよくするし、自分を押し殺したり、
卑屈になることはよくある。

だけど、そんな中でも「少しでも前に進みたい!」という
前向きな気持ちもある。きっと、みんなそうなのだろう。

あの「スンっ」としたアニメーションの表情には、
自分を押し殺しながらも、前向きに進んでやる!という
静かな覚悟が感じられる。
よりリアルさを感じた。

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