オッペンハイマー

今週放送したNHK「オッペンハイマ-」
アメリカでは
〝第二次世界大戦を終わらせた英雄〟と称される天才科学者だ。

興味深いのが、「原爆完成前」と「原爆投下後」の彼の心境の変化だ。

アメリカのユダヤ人の家庭に生まれ、
ハーバード大学を飛び級で合格した秀才。
世はナチス・ヒットラーが台頭し、ユダヤ人が大量虐殺されていた時期。

若きオッペンハイマーは、独裁者ヒット―ラー打倒のため、
そして、科学者として功績を得るのため、原爆開発に没頭。
秘密裡にすすめられた〝マンハッタン計画〟のリーダーをつとめ、
ついに原爆は完成した。

「このプロジェクトはこれまでの物理学の集大成といえるだろう」

1945年8月、広島と長崎に投下された。

22万人もの人々が亡くなった。

終戦から数か月、アメリカでは
オッペンハイマ-の功績をたたえる式典が開催された。
晴れがましい栄誉の場…しかし、彼はこう述べた。

「今、誇りは深い懸念とともにある。
 もし原子爆弾がこれから戦争をしようとしている国々の
 武器庫に加わることになれば、
 いつか人々はロスアラモス(原爆開発研究所)と
 ヒロシマの名を呪うことになるだろう」

その後は、米ソが競い合うように行っていた水爆開発に異議を唱え、
公職から追放された。

「自分の手は血にまみれている」

「核兵器は侵略の兵器 奇襲と恐怖の兵器に他なりません」

もし自分が彼の立場だったら・・・

アメリカのために、正義のために命をかけたい!
知を追求したい!功績が欲しい!
天才科学者を原爆開発に駆り立てた、原動力と欲望。
もしその時代に、自分が彼の立場にいたら・・・
きっと、同じことをしていただろう。

戦後、来日したオッペンハイマー。

記者から、原爆に関わったことを後悔しているか問われると・・・

「後悔していない」

だが続けて、

「それは申し訳ないと思っていない ということではない」

戦争はどちらが正しく、どちらが間違っているといえない。
ただ、戦時体制下では、世の中は、まともな精神状態ではないということ。
そして、戦争に関わった者は、決して幸せになれないということ。
オッペンハイマーは、私たちに、そう教えてくれている。

今、日本は北朝鮮や中国の東シナ進出を念頭に軍備拡張している。
日本が軍備拡張すれば、それが北朝鮮や中国を刺激し、
更に両国は強硬な態度で出てくる。エンドレスだ。
この方法で良いのかな、、、と、自分なりにもっと考えていきたい。

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