原爆投下の惨状が出てこない映画「オッペンハイマー」 

日本でようやく上映が始まった「オッペンハイマー」。
ワクワクして観に行ったものの、開始15分ほどで打ちのめされた。
難解だ。

「過去と現在」が入り混じって展開するだけでなく、
「白黒とカラー」が入り混じる。
どう観ていいのか分からず、混乱した。
監督なりのロジックで分けているのだろうけど、
最後まで、読み解けずに終わった。(笑)

ノーラン監督のメッセージとは?

監督がNHKのインタビューで語っていたことは
「核の脅威」をみんなに知ってほしいということ。

「核の脅威をできる限り減らすよう政府に常に働きかけるべきです。
 そのためには核兵器の危険性を意識し続けることが必要です。
 映画を見ることで、核兵器の絶え間ない脅威について、
 若い人たちにも思い起こさせ、関心を持ってもらえたらと思います」

映画では、原爆被害を知り、
もがき苦しむオッペンハイマーの姿が描かれている。
一方で、気になったのは、
広島、長崎の被害シーンが一切出てこないことだ。

「原爆が投下された」
「22万人が死んだ」
「死体に洋服の縞々の模様が焼き付いていた」などのやりとりのみが、
少し出てくるだけだ。

これって、アメリカ人は「原爆投下を悪い」と思っていないからか?
恣意的に、凄惨なシーンを入れなかったのか?などと、穿ってしまった。
なぜ被害シーンを描かなかったのか?

ノーラン監督は、この疑問について答えている。
試写会での質疑応答だ。

司会者
「映画では原爆で多くの人が死ぬ場面はなく、被害を強調していなかった。なぜなのか」

ノーラン監督
「オッペンハイマーの経験から逸脱することはしたくありませんでした。
 オッペンハイマー自身、広島と長崎への原爆投下についてラジオで
 知ったのです。それを知った時、私自身もショックでした」

そうか…、
監督がそう考えるのならば、誰も文句は言えないけど…
私としては、悲惨な状況をもう少しいれてほしかったなと思った。

もし監督が
「若い人たちに核兵器の脅威を知ってもらいたい」ならば、尚更だ。

はっきり言うと、私も原爆の惨状をあまり見たくない。
アノ映像を見るたびに、胸がえぐられ凹む。キツイ。
でも、こういうことが現実に起きたということを
しっかり受け止めないといけない。
じゃないと、心の底から「核兵器ヤバいぞ」と、思えないのでは。

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