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伊予灘剛腕物語第30話『勝ち虫見ゆ。剛腕は勝どきを上げられるのか。』







2024年4月下旬。少し気が早いですが、しまなみへの釣行。
今年も数回行くであろう、しまなみの状況把握の先駆けとして、季節の移行を確認しに行きました。
実釣しないと分かりませんからね。

過去には4月中旬にアコウの釣果を記録したこともありますが、この時季はホゴ(カサゴ)、タモリ(セトダイ)がメインで釣れてくれるであろうと思っています。
も、も、もちろん狙いはアコウ(キジハタ)

生憎の天候(毎度の事でw)の中での今釣行。
自他共に認める雨男の剛腕です。風が出る時もありますので時化男とも呼ばれます。
年間の平均を取ると雨よりも晴れた日の釣行が多いですがね。
雨が降ろうとも構わず釣りに行きますので、雨男・時化男のイメージが付いちゃいましたね。


しまなみは霧が出やすい海域で橋梁の塔は全て視認出来ない程の濃霧でした。視界は10m前後といった具合でしょうか。
まるで、1943年7月のアリューシャン列島のキスカ島撤退作戦のような状況でしょうかね!えへへ。
(海軍ヲタ魂が溢れ出てしまいました。)



夕方に現着。干潮が19時頃で、それまではサーフでルアーを投げます。
ベイトの気配は全く無く、沈黙の時間が流れました。(かなり疲れました。)
釣りの最中も雨が降ったり止んだりを繰り返しています。
日没を迎え、投げ釣りを行う釣り場へ移動。
ここら辺りから小雨になりました。
しかし、潮位が低すぎるあまり釣り不可能。
足場が不安定な場所で海面まで遠い。プラス傾斜では、夜に濡れたフィールドでは足を滑らせ兼ねません。
(剛腕のギャグはよく滑ってますがね。)

普段から命を懸けて釣りをしている剛腕ですが、ここは自重します。そもそも掛けた魚を獲れなさそうなんです。
危険を冒しても魚が獲れないのでは本末転倒。
仕方がないので潮位が上がってくるまで別の釣り場で時間を潰します。


この辺りは潮位表で分かっていたはずです。
事前に確認しており、
干潮時の潮位が3㎝になっていました。
「おーん。低いなー。」とは思っていましたが、まさかここまで引いているとは。
♪まさかまさかの急展開~♪です。
…言い訳タイムは以上です。



適当な道路端から釣り開始。
時刻は干潮潮止まりを過ぎて満ち潮の時間帯ですが、潮流は引き潮向きに流れています。
数百m離れた場所に父が釣り座を構えます。そこは過去にも竿を出した事がある場所です。

2人共、4本ずつ竿を出します。
おっと、エサを紹介していませんでした。
青虫と本虫を用意してきました。
(改めて紹介するほどでもなくて草)


仕掛けもいつもと変わりません


根掛かりに弱いと言われるL型天秤ですが、
現状では剛腕の中で最安値なので使用しています。(35号で¥142/個だったかな。)
改良名古屋天秤も導入していたこともありますが、微差で高いです。
(微差なら気にするなよ!)
改良名古屋天秤は取り付けるオモリの種類により引き抵抗が大きいので感覚が狂うんですよね。ナス型や小田原型はコスパは良いが抵抗高め。
ホゴライナー系はキャスト時に回転し、飛距離ダウン。(投げ方のせいかもしれませんが。)
カンモンの「投専トーナメンター」はコスパが悪い。ただし、良いオモリだと思います。
飛距離、引き抵抗共によろし。
よって結果的にL天になりました。

根掛かりする釣り人は下手くそと言われますが、投げ釣りと根掛かりは切っても切れない関係。仕方ないです。
根掛かりが多い釣りが故にコスパ優先になっています。


午後7時半頃、釣り開始。
早速、父にヒット。
50㎝級のアナゴが釣れました。
一丁前に竿先揺らしてやんの。
魚体を触らずジッパーに封印する特技披露。
クーラーにINされます。

※雨天の為、写真を撮っておりません。


そうそうジッパーで思い出しましたが、最近
FRUIT ZIPPERがマイブームです。
♪私の一番かわいい所に気づいてる~♪
なんつって。
それぞれメンバーカラーがありまして、オレンジの鎮西寿々歌さんやミントグリーンの櫻井優衣さんが“推し”なんですが、 元HKT48の月足天音さんは特に応援してしまいますね。
HKTに在籍していた期間は短め。(約4年)
コロナ禍もあり、「自分が何をしていきたいのか分からなくなった」と卒業公演で仰っていましたが、2年後にふるっぱーを結成し、
やはり“あまねき”はアイドルが好きなんだなと感じました。

基本的に剛腕はDDです(笑)



時を戻そう! ヒューウゥ

父がアナゴを釣った直後、剛腕がセトダイを釣り上げました。
22㎝位でした。エサは本虫でした。

エサ取りはほとんどおらず、たまに本虫が取られる程度。オモリはかなり冷たくなって帰って来ますので、水温は低い様子。

剛腕「満ち潮が流れ始めてからかな。」

勝負はまだ先と読み、とりあえず晩ご飯をいただきます。西瀬戸自動車道に乗る前に波止浜のフジで食糧を調達しています。
弁当類は冷えてしまいますので、冷たいそばやうどん等と巻き寿司やいなり寿司などの冷たくても美味しく食べれるものになりがちです。

剛腕と父は、釣りの際に“釣り場メシ”はやりません。
夜通しで釣りをする機会はそこそこ多い私たちですが、移動時以外は竿出しっぱなし。
放置しておらず、ずっと釣りを行っている状態。ロングゲームになるのでお腹も減ります。しかし、調理しながら竿を見ながらというようなマルチタスクは出来ませんし、火を使うならその場を離れる事は出来ません。

「じゃあ、調理時は竿をあげとけばいいんじゃねーの」

と、思われた貴方様。
普通、釣り場メシをやられる方はそうされてると思います。
しかし、剛腕は勿体ないと思ってしまいます。せっかく釣りに来ているんだから、常に竿を出しておきたいんです。釣れないと睨んだその時間帯も奇跡的に釣れるかもしれない。僅かな可能性も信じていたいタイプ。
少しでもエサを海につけておきたいんです。
裏を返せば、自分の読みに自信が無いとも言えます。
(先の「満ち潮が~」の件、説得力無くて草)

その結果、釣り場メシは諦めました。
野外で温かいご飯を食べれる事は素晴らしく感動しますけどね。
例外として、フェリーで前日から島に渡り、メインの釣りが朝からの場合にエサの温存も併せて夜中に仮眠を取る際、カップ麺は作ります(笑)  湯を沸かすだけですけど(笑)

肉とか焼いてみたいな~。
とか思いますけど、面倒くさがりが発動するんですよね。もはや焼くのも面倒くさいし、後片付けも面倒くさいですね。
(キャンプ楽しめない性格で草)





最近、話が脱線するの悩みです。

2人共に腹を満たし、そろそろ良い時間。
父をこの場に残し、剛腕のみ移動します。
先程、潮位が低すぎて諦めた場所へ戻ります。
潮位もそこそこ回復しており、満ち潮もガンガン流れています。
速すぎるとやりにくいので程々が好み。
竿を縮めただけで仕掛けも切らずそのまま車に積み込んだので、準備が楽です。
振り出し投げ竿のメリットの一つですね。
↑※水分はしっかり拭き取りましょう!

パパっと準備完了。仕掛けの流され具合をヘッドライトで道糸を照らしながら確認し、次々投入。とりあえず4本投げて様子見。
流され過ぎず、4本なら何とかやれそうです。
少しの間、止んでいた雨が降りだした頃、
エサチェックの為、回収した仕掛けに20㎝程のホゴ(カサゴ)が付いていました。

その後、アタリは無く、エサも青虫が取られる状況。
潮下の仕掛けを回収し、潮上に投入。を繰り返します。
潮流がそこそこ速いのでドラグをかなり固めにしていましたが、

「ジジジ」 「ガタン」

道糸が引き出され、竿尻が浮いてズレました。PF3番竿にアタリました。

アワセを入れた瞬間“ソレ”と分かる手応え。
重みを感じ、これは寄せれるんか?と、独り言を愚痴りながらリーリング開始。
時には、したくない勝負をしなければならない時もありますからね。

十中八九アカエイです。途中のカケアガリにオモリが取られないかが心配。
むしろ、ハリスが切れてほしいぐらい。
オモリは高いから回収したいです。
PF3番竿が思い切り曲がっていますが、気にも留めず、リールゴリ巻き。
オモリを失う事を恐れて竿やリールに無理をさせるという本末転倒具合。
どちらが高くつくかは一目瞭然ですね。
そして案の定、カケアガリを越えれず、一旦停止。

潮下へ立ち位置をずらしてじわじわ引っ張ります。潮の力を借りて引きずり出す作戦。
ズズズズズっと嫌な感触を残しつつ離脱成功。恐らくカケアガリに併存している海藻(ホンダワラ)に掛かっていた模様。
その後、一気に寄せて浮かせます。
足元の岩場にアカエイを座礁させ勝負あり。
PFを三脚に掛け、ハサミを持って降りていきます。
濡れた磯肌。さすがのフェルトスパイクブーツでも滑りそうですね。
何とかアカエイの元まで辿り着き、ハリスを切ってリリース。
オモリにはホンダワラがぎっしり絡み付いていました。全て取り払い、釣り座へ戻りました。

ズリズリに傷だらけの力糸を交換し、新しい仕掛けを結び、エサ付けて再投。
しかし、すぐに潮流が速くなり、竿2本を岡上げ。あっという間に流されます。
暫し、我慢の時。


小1時間が経過し、潮流が少し落ち着いてきました。雨も止み、釣りがやりやすい状況になってきました。
時刻は午前0時前。
待ってました!と、ばかりに竿4本出動。
それぞれ本虫、青虫と付け投げ込みます。
ふと、ヘッドライトが地面の黒い物体を照らします。
青虫がキャスト切れしたのか?
いや、黒すぎる。動いてる…
恐る恐る近づき、ヘッドライトを照らす…

剛腕「ぎゃやいあ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”」

心優しい方が声だけ聞いたら110番されそうなレベルの悲鳴を上げる剛腕。
※夜中に大声を出すのはやめましょう。


正体は特大のムカデ。
雨が上がったのでエサを探しに山から降りてきたのでしょうか。
殺すと仲間が集まって来ると聞くので、そっと見守ります。(殺す勇気無いくせに。)
万が一ロッドケースやバッグに入り込んでしまったら家まで連れて帰ることになってしまうので目を離すわけにはいきません。
気持ち悪いですが、ムカデの行く先を見守ります。
ムカデは剛腕を気にすることなくだんだん釣り座から遠ざかります。
かなり離れた所まで見送って剛腕は釣り座に戻ってきました。
背筋がゾクゾクします。あの動き方とか。
あの色とか。黒光りしてましたわ。

剛腕は一切の虫が苦手なので、もう吐きそうです。気持ち悪い。
クワガタやカブトムシすら触れません。
ミミズは川釣りの際、エサにしてたので触れます。
虫嫌いなのに虫エサは触れるっていう矛盾。
フナムシは無理!ゼッタイ。


ムカデは縁起が良い虫だと聞いたことがあります。
“その多い足で福をかき寄せる”らしく、
子孫繁栄、夫婦円満、金運向上。など。
また、後方に歩けない虫で、
                後退しない=負けない 
その為、戦国時代では勝ち虫として崇められたと。ムカデの家紋も存在するそうです。

それならば、ムカデを目撃したなら幸運がもたらされるかもしれない。
そんな単細胞の剛腕は、何か良い事が起こるかもしれないとウキウキ。
(これをアホと言います)


直後、霧が辺り一面に広がり、(正しくは霧が移動してきて)視界が限定的に。
数m先がもう霞んで見えない状態に。
どこからともなく聞こえる雨音。それがあっという間に近づいてきました。
みるみる強くなる雨。
慌ててロッドケースもリュックを車に片付けます。トランクを開けて屋根代わりにして雨を凌ごうとする剛腕。
雨はますます強くなり、豪雨に。
バケツをひっくり返した様な雨と言いますが、これはもはや滝のよう。

雨に打たれるPF4本は魚信を伝えてくれず沈黙のまま。
父はこの雨を避ける場所が無いのでズブ濡れになっている事でしょう。

通り雨かと高を括っていましたが、一向に止む気配は無く、強くなる一方。
身の危険を案ずるようなゲリラ豪雨になり、 “撤退”の2文字が頭をよぎります。
父の事も心配なのでとりあえず片付けて合流します。
この雨では携帯を取り出さないほうが良いと思い、電話をかける選択肢はありませんでした。
雨で壊れるような携帯ではないですが、2人共、年季の入った機種を使っていますから。


PFを回収していきます。海面すら見えず、ただならぬ雰囲気が一面を覆っています。大急ぎで片付けた為、仕掛けも切らず竿を縮めただけ。ポンポンポンポン仕舞って片付け完了。あ、三脚も忘れずに。

父の釣り座まで5分位ですが、遠く感じました。フロントワイパーを最高速にしても雨を捌き切れず視界不良。水溜まり以外の地面が存在しておらず、道が川のようになり、バンパーが水を掻き分けて水飛沫がフロントガラスを襲う…
あれ?船でも運転してんのかな。

父の元へ着いた頃、雨は小降りに戻っていました。

父「これじゃあ、滝行だよ~」

2人共に下着までズブ濡れ。GORE-TEXのレインウエアもさすがにこれには耐えられないようです。(まあ、ちょっと古いけど)

2人で作戦会議をします。が、ここで1つ不安要素があります。
それは先程、滝行をしたPF4本。
濡れたまま仕舞ったので竿の中までびちゃびちゃ。このまま釣りを再開してしまうと、
高確率で固着するでしょう。いや、します。

仮にタオルで拭き取っても完全に水分を取り除くことはできないですし。
吸水性の優れたタオルなど持ってませんし。
吸水性の優れたタオルと言えば今治タオル。あ!ここ今治やんかー!
今治タオルは高級タオルやんかー!

※今治タオルの回し者ではありません。


今まで何度も前科があるPF。
幾度と無く固着してきました。
固着は癖になるので一度固着してしまうと、再度固着します。
人力で治せない場合は釣具屋さんに修理をお願いします。それでも治せないとメーカー送りになる為、料金も時間もかかります。
更に釣り場から釣具屋さんまで運ぶ際、車に入らない場合もあるので厄介です。

振り出し竿はキャストの際、遠心力で竿が伸びる方向に力が加わります。この時、竿の内部が濡れていると節が伸びきってしまい固着します。

竿を伸ばしていた状態では、多少の雨に濡れても、きっちり伸ばしていれば、節間に水分が入る隙間が無いので固着の心配は要りません。

並継ぎ竿も固着しますが、フェルールワックスを塗ることで再発を防ぐことが出来ます。
振り出し竿にこのワックスを塗る為にはガイドを全て外さなければならず、やや困難。
PFは6番ガイドがPKWSG30を固定なので外せません。
また、振り出し竿には推奨されてないので自己責任です。
ロウソクでも代用出来るようですが。

また、PEラインに吹きかけるシリコンスプレーを竿に吹く方もおられるようですが、時間が経つとベタベタしてくるのでやらないほうが無難です。バリバス社の「PEにシュッ!」はベタベタしないらしいと聞いたことがありますが値段が高いので使ったことはありません。
更に、撥水スプレーを竿に吹きかけると含有している何かしらの成分がエポキシを溶かしてしまうらしいので吹かないほうが良いです。

すなわち、これから先も剛腕のPFは固着という恐怖に怯えながら釣りを遂行していくわけです。
(大袈裟で草)

よって、中まで濡れてしまったPFは今釣行ではもう戦線復帰できません。
やるせない気持ちですが、ここは戦略的撤退としましょう。
父が最後の1本の竿を片付ける為、仕掛けを回収するとホゴが釣れていました。
スケールで測る余裕がなかったので目測ですが25㎝前後でした。(たぶん)



後ろ髪を引かれる思いでしまなみを後にしました。
・・・勝ちどきをあげるどころか敗走ですね。



帰宅後、PFは室内で干され、無事に戦線復帰いたしました。

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