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なぜ警備員はダサくてカッコ悪いのか

前回のトピックでもお話ししたように、警備員から転職しようと思うと、茨の道どころじゃないレベルの困難な道を歩むことになります。

警備員になるという選択をした時点で、もう今後は他の業種への転職は考えないと覚悟を決めた方が無難です。

とは言ったものの、実際に警備員になってみたら、思いのほかハード過ぎたと感じて
「あー失敗した!警備員なんてやるんじゃなかった!!」
と後悔する人はやはり多いのです。

ただ立ってるだけだから楽なんじゃん?
と思われていますが、実際にやってみるとわかります。
ただ立ってるだけで何時間も過ごさないといけないのは、かなり苦痛なんです。
同じ立ち仕事でも販売員など、何かしら動きのある立ち仕事ならまだ良い方です。
やる事が多くて忙しく動き回っていれば時間が過ぎるのもあっという間という事もあります。

ですが立哨警備は本当にただ立っているだけです。
休めの姿勢で背筋を伸ばして、微動だにせずにビシッと立ち続けていないといけません。

それと、よほどのことがない限りは配置を外れることも許されていません。
急な腹痛などでトイレに行かなかればならないなどの時は、交代を申し出る事もできますが、頻繁にそれをやると叱責や処分の対象となります。
(体調管理ができていないのは職務怠慢だ、とか服務規定違反だなどと怒られて始末書を書かされたりします)

しかも、足腰がだるくなって姿勢が悪くなったり、体を揺すったりするのはみっともないですし、そういう行為は禁止です。
場合によっては
「だらしない」
「態度が悪い」
などのクレームにもなります。
施設内や敷地内だと監視カメラで常に監視されているので、きちんとした立哨姿勢でいなければ即、注意されます。
こちらも注意指導される回数が多いとやはり、今後の進退に関わってきます。
クビにされる事はまずないでしょうけど、現状よりもさらに酷い、誰も行きたがらない地獄のような現場に強制的に異動辞令が出される事はよくあります。
例えば、人間関係がすごく悪いとか、就労環境が極端に悪い施設とか、通勤に片道2時間以上かかる現場とか。
これらの「誰も行きたがらない現場」は、何もわからない新人も行かされる事が多いので要注意です。

じゃあ交通誘導警備なら旗振りだし動いてるから良いかというと、むしろそちらの方が地獄です。

交通誘導警備は外の仕事しかありません。
稀に屋内駐車場の場内の車両誘導の現場もありますが、原則として外での仕事になります。
季節に関わらず、また、どんな悪天候でも、外に立ってひたすら旗振りです。

警備員の仕事は過酷な肉体労働なので、とにかく離職率が高いんです。

覚悟を決めて警備員になっても
「これは無理!」
と思って、警備員以外の仕事を探す人は割と多いんです。

しかし、前回も述べたように
警備員から他業種への転職は本当に困難です。

少なくともスキルやキャリアが重視される職種…例えば商社系やメーカー系の総合職や一般職などへの転職、いわゆるオフィスワーク系への転職はほぼ100%不可能と言ってもいいです。

じゃあスキルがあれば可能性があるのかというと、そんな簡単な話でもないです。

例えばWordやExcelのスキルがあったとしても、中途採用(キャリア採用)の場合は、実務経験が必須となります。

とりあえずパソコンスクールなどに通って使い方は知ってる、程度ですと
「使い方は知ってても実務経験はないんですよね?それだとうちではちょっと…」
と言われます。
とはいえ、パソコンの使い方すらわからない、というかまともに触った事すらないとか、
知っててもインターネットを見るくらいしかできない、という人よりははるかにマシではあります。
警備員にはこういう人がほんと多いので…

それでもやはり、実務経験がないというところが致命的な弱点となります。
でも、自分から率先して勉強して知識を身につけようという意識があるのとないのとでは、天と地ほどの差はあります。
自分から積極的にポジティブなアクションを起こせる人は、場合によってはポテンシャル採用に繋がる可能性もがあります。
何もしないで「今のままでいーの」という人よりは、道は開けるかもしれません。

ただ、ほぼ絶望的ですけど。


そしてまた、現場の警備員の仕事は単純肉体労働がメインで
ITツールを使った事務作業などの実務経験を身に付けるチャンスがほぼゼロです。
会社や現場によっては業務報告書をWordやExcelで作成する事もある所もありますが、そういう現場は少数です。
施設警備でもいまだに紙の報告書に手書きで、というところが大多数となります。
交通誘導などになるとパソコンそのものと完全に無縁というのが当たり前です。

それと、PC作業は当務責任者クラスの人にしか任せていないという事も多いので、一般隊員がパソコンに触る事はほとんどない事も多いです。

ただ施設警備の中には、ガッツリPC作業が主体の現場というのもある事はあるんですが、本当にごく一部のレアケースです。

そういう求人自体が少ないですし、あったとしても一般的な警備員の求人と比べるとPCのスキルチェックがあったりと、少しハードルが高めです。
あと、そういう現場は英語力も求められるので、PCスキルに加えて、TOEIC600点以上の英語力などの必須条件もあったりします。
あと、そういう現場はそれなりのハイクラスな施設になるので、警備員であっても容姿にかなり厳しめのところがほとんどです。
容姿といってももともとの顔の造作のことではないと思います。
ただ、やはり美男美女の方が好まれるとは思いますが。

そういう現場は警備会社内でも人選をきちんとします。
ハイクラスの現場への配属となる人は、もともと最低限のPCスキルがあるとか、英語力がある、身なりがきちんと整っているという条件をクリアしている人がほとんどです。

逆に、極端に太っていたり痩せ過ぎていたり、不健康そうに見える人や、歯並びが悪かったり歯が欠けていたり抜けたりしていたりなどの清潔感がない人や、ガラの悪そうな雰囲気がある人だと難しくなります。

特に外資系企業や日本の企業でもグローバルな価値観が根付いている企業に関わる警備は歯並びや歯の色をかなり強く重視します。
歯並びが悪かったり歯が汚いだけで
「配置から外して欲しい」と言われることもあります。

話をPCスキルに戻しますが、
特にこちらは依頼主からの要望もあり、また、警備会社自体も深刻な人手不足なのでパソコンの基本操作もできないような人に一から教えている時間と余裕はありません。

でもどうでしょう

実際にそこらにいる警備員を見てみると、清潔感があって爽やかな人っています?

なんかヨレヨレのジジイとか、ボロ雑巾みたいなおっさんとか、異様に太って見るからに不健康そうだったり、なんか目つきも悪くて見るからにガラの悪そうだったり、ちょっと頭の足りない感じだったり、などなど
実際、そんな人が多くないですか?警備員って。

爽やかなイケメン警備員とかダンディなナイスミドル警備員、
絶対にいないとは言いませんけど
滅多にお目にかかれませんよね?

だいたいの警備員が、
「なんかいまいちダサい」(笑)
んですよね。
僕もそうですけど…

というより、いまいちダサいとかカッコ悪いのを通り越して
だらしなくて、みっともなさ過ぎて見るに堪えないのもかなり多いですけど。

そりゃー警備員なんかに憧れる人なんていねーよなぁ、っと思います。
警察官や自衛官、消防官などはカッコいいから憧れる人も多いでしょうが、警備員はカッコ悪いから嫌だと思われてるんです(笑)

警備員がなりたくない職業に常にランクインしているのもよくわかります。

例えば、バスの運転手とか電車の車掌さんなんかも
「カッコいい!ぼく、大きくなったらバスの運転手さんになるんだ!」
と思われていますからね。

これはなぜでしょうか?

恐らく、プロ意識の高さの違いなんでしょうね。
警察官、自衛官、消防官、バスの運転手、鉄道員…上記に挙げたもの以外でも、どの仕事もプロ意識の高いスペシャリストがいます。

でも、警備員ってそういう意識でやってる人の方が稀なんですよね。
なんか警察官に似せたような服でコスプレして、とりあえず突っ立ってるだけ、とりあえず旗振ってるだけ、巡回と称して施設内をただウロウロと徘徊しているだけ。
だから、ダサくてカッコ悪くて、みっともないんです。

そういう人達はだいたい
「決められた時間さえこなせばその分の日当は貰えるんだから別に頑張らなくてもいんじゃね?」
という考えで仕事をしています。

そういう人は多分、嫌々ながらでも今後も警備員で居続けるしかないんです。

警備員の仕事に誇りを持って働いてる訳でもなく、いつでも愚痴と不満ばかりです。
かといって
警備員から抜け出す為の努力もしないで、「どうせ警備員から他の仕事なんて絶望的なんだろ?じゃあそんな面倒クセー事やりたくねぇよ」と文句だけを言ったり

そういう人がやたら悪目立ちしているから、
警備員=くそダサい奴ら、と思われるのでしょうね。

警備員とはいえ、プロ意識とプライドを持って自分の仕事を全うしている人は素晴らしいし
今は警備員だけど、万に一つの可能性に賭けて地道な努力をしている人もまた素晴らしいと思います。
少なくとも文句ばかりで何もしない人よりは、道が開ける可能性はゼロではないんですから。


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