見出し画像

シナモンドーナツ

この前の日曜日、駅まで歩いて買い物に出かけた。
私たち夫婦は毎週、日曜日は家から一歩も外に出ず家の中に籠る、というのを徹底している。特に取り決めたわけではなく、月曜日に疲れを持ち越さないようにするため、自然とそのように過ごすようになった。
しかしこの日は違った。夫が「今日もまた、朝昼兼用でパンを食べ、スマホを眺めながら昼寝して、気づけば地獄のアニメが始まり、お風呂とご飯どちらを先に済ませるか決めて、また寝転がってスマホを見ていたら今日という日は終わるのか…」と呟いたのだ。それならばと、ガチャガチャがしたいから駅前のショッピングセンターへ出かけないか、と私は提案した。
提案は採用され、かくしていつもと違う日曜日が始まった。

ダラダラと述べてしまったが決して大した話をしようとしているわけではない。
私はこの日に買って食べたシナモンドーナツの味が忘れられなくてまた食べたいという話がしたいだけである。
ひとくち噛むとシナモンの甘い香りが口の中に広がり、生地はふかふかで、モチモチとしていた。口の周りと指がシナモンの粉で汚れる。それをウェットティッシュで軽く拭い、コーヒーを飲む。それは極上の瞬間だった。
結局お昼寝をして、例の日曜アニメが始まるまで爆睡していた夫が絶望する流れはいつもと変わらなかったけれど、いつもと少し違う行動を選んでみるのもたまには良いなと思ったのでした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?