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家族ダンジョン

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一人の神が気紛れで介入したことにより、 家族単位でダンジョンに取り込まれます。 まるでゲームのような世界を家族は助け合いながら攻略します。 地下に潜る程に絆が強まる、その様子を軽…
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2024年5月の記事一覧

『家族ダンジョン』第23話 第二十二階層 初めての装備品

 階段の途中でハムが突然に駆け出した。先頭の茜を抜き去り、尚も走る。 「急になんなのよ」 …

黒羽カラス
4か月前

『家族ダンジョン』第24話 第二十三階層 地上へ

 くすんだ色の蔦が壁や床を覆う。目にした者に暗い印象を与え、漏れなく先行きを不安にさせる…

黒羽カラス
4か月前
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『家族ダンジョン』第25話 第二十四階層 精神攻撃

 案内板に嘘偽りはなかった。階段を降りた先は一直線の道で、左右に武器防具を売り物にした露…

黒羽カラス
4か月前

『家族ダンジョン』第26話 第二十五階層 微妙な試練

 ハムの足取りが重い。顔を何度も左右に背けて階下へ降りた。 「異臭がするぞ」  着くなり、…

黒羽カラス
4か月前
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『家族ダンジョン』第27話 第???階層 小部屋

 ひっそりとした小部屋があった。ダンジョンの作りと同じで灰色の石組みで出来ている。薄い紙…

黒羽カラス
4か月前

『家族ダンジョン』第28話 第二十六階層 宝箱が導く

 階段を降りた先に宝箱があった。金色で蓋の開け口が右を向いている。真っ先に冨子が飛びつい…

黒羽カラス
4か月前
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『家族ダンジョン』第29話 第二十七階層 揺れる

 夏季休暇を利用した異国への家族旅行に似ている。ふんわりとした雰囲気は次の階で一変した。  通路は、たったの一本。それ以外に道はない。その床が進行方向とは逆に高速で動いている。視界の限界を超えていて奥は薄暗かった。  冨子が弱々しい笑みを浮かべる。 「これは私だと厳しいかもー」 「俺様の背中に乗せてやってもいいぞ」  ハムが冨子に向かって背中を傾けた。 「やめた方がいいと思うんだけど」 「えー、どうしてよー。海や砂漠でハムちゃんは大活躍したよー」  冨子は茜に向かって不満を零

『家族ダンジョン』第30話 第二十八階層 交錯する迷路

 冨子は穏やかな顔で言った。 「なんか、広くていいねー」  視界を阻む壁が一切なかった。膨…

黒羽カラス
4か月前
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『家族ダンジョン』第31話 第二十九階層 見えないダンジョン

 上の階の影響をまるで受けていないのか。灰色の石で組まれた壁や床は微塵の黒さもなかった。…

黒羽カラス
4か月前
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『家族ダンジョン』第32話 第三十階層 真実の間

 一本の通路を見た瞬間、茜は露骨に表情を歪めた。周囲の反応を見るように視線を動かす。冨子…

黒羽カラス
4か月前
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『家族ダンジョン』第33話 第三十一階層 十字路と銀のコイン

 一行の前に十字路が立ち塞がる。正面の通路の先には魔方陣が描かれていた。  冨子はエプロ…

黒羽カラス
4か月前
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『家族ダンジョン』第34話 第三十二階層 ありがち

 階段を降りた先は壁だった。  誰もが思うくらいに近い。左手も壁で右手には細長い通路があ…

黒羽カラス
4か月前
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『家族ダンジョン』第35話 第三十三階層 竹林の中の記憶

 竹林の中の石畳は巨大な白蛇のようなうねりを見せる。両脇の石灯籠には儚げな火が灯り、仄暗…

黒羽カラス
4か月前
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『家族ダンジョン』第36話 第三十四階層 魔王

 地の底に引きずり込むような螺旋階段を歩いた。二度目の体験で慣れたのか。誰も文句を言わず、黙って足を動かした。  長い行程を経て一行は土色の大地に降り立った。  一方から場違いな拍手が起こる。かなり先に小さな人影が見えた。  茜は限界まで目を細めた。 「ここからだとよくわからないけど、なんか腹立つ」 「見下す感じがするー? 私にも見えないねー」  ハムは冨子の横にきて言った。 「目を閉じていれば見えないぞ」 「はい?」  ゆらりと頭を動かして斜め下を見る。糸目を僅かに開いて微