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タンタタンタタンタタンタタンタタンタタン

ピアノの曲で好きな曲がある。

しかし、曲名がわからない。

昔から聴いていると思うし、結構至るところで使用されている曲ではあるのだが、未だに曲名だけはわからない。 


先日、とある駅構内の飲食店で食事をしていたとき、ピアノの音色が聴こえてきた。

音のする方向に目を向けると、どうやら駅内に置いてあるストリートピアノを誰かが演奏しているようだった。

演奏している人の後ろ姿だけが見えていたのだが、その姿はパッと見おばちゃん風で、淡々と演奏を続けていた。

おそらく数曲弾いていたのだが、最後に流れてきた曲がまさに私が“好きなんだけど曲名がわからない曲”だった。

「おお~この曲この曲!」とテンションが上がったのと同時に、今こそ曲名を知るチャンスなのではないかと思った。

そう、今弾いているあのおばちゃんに
「すみません、私この曲好きなんですけど、曲名を教えていただけませんか?」
と直接聞いてしまえば良いのではないかと。

もちろん、弾いている最中に話しかけるのはマナー違反なので、弾き終わって席を立ったときに尋ねてみようかと思った。

私も食事を終え、店を出る。

すると、ちょうどタイミングよくそのおばちゃんも演奏を終え、その場を立ち去ろうとしていた。

しかもしかも、私の方向に向かって歩いてくるではないか。

なんというタイミングの良さ!

これはイケる。

だんだんと距離が近づいてくる。

よし、声をかけ…

…あれ?

よく見ると、そのおばちゃんはおばちゃんではなく、オッサンだった

オッサンと言っても私とほぼ同じくらい(30代前半)だと思うが、そのくらいの年齢の人が一番話しかけづらいし、その人自体もちょっと目つきが鋭く、声をかけづらい雰囲気をまとっていた。

「どうしよう…」と迷っているうちにそのまますれ違ってしまい、話しかけることに失敗。

いきなりオッサンがオッサンに「素敵な演奏でしたね!よろしければ曲名を教えていただけませんか⁉️」なんて聞いたら気持ち悪がられるかもしれない。

これが若い女性ならナンパと勘違いされてなおさらキモがられるだろうし、50代のおばちゃんくらいだと話しかけるのにはまさにちょうどよかったわけだが、まさかまさかの“後ろ姿おばちゃん風のオッサン”だったことに落胆してしてしまった私。

そして何より、相手がオッサンだったからといってビビってしまった自分に一番ガッカリしてしまった。

そんなことを思いながら、その後駅内をテキトーにトボトボ歩いていた私。

しかし、その約20分後…

なんとさっきの後ろ姿おばちゃん風のオッサンがまた前から歩いてきた!

二度目のチャンス到来か⁉️と思ったが、よくよく考えてみたらもう20分くらい経っているのに「さっきストピ弾いていた方ですよね?」とかって話しかけるのさすがにキモすぎるだろと。オッサンがオッサンに。

ということで二度目も彼を華麗にスルーし、結局私はその曲名を知ることはできなかった。


今の時代、めちゃめちゃ頑張って検索したりAIとか使えばおそらくその曲名にたどり着くことはできるだろう。

でも、冷静になって考えてみたとき、別にそこまでして知らなくてもいいやと思った。

知ったところで、特に何もないし。

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