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『からすのパンやさん』には、続編があるんです🍞


『からすのパンやさん』は言わずと知れた絵本の名作で、むかし目にしたことがある方、うちにもあったな~っていう方、そしてまだ持ってるよって方も、今は子ども(あるいはお孫さん)の絵本の棚にある方も、いらっしゃると思います
今もたくさんの読者がいる、 かこさとしさんの傑作ですが…実は、続編が刊行されているのはご存知でしょうか

それはこちらです

『からすのおかしやさん』
『からすのやおやさん』
『からすのてんぷらやさん』
『からすのそばやさん』
なんと! 4冊も刊行されているんです!

以前、Twitterでも時期を分けて2回ほどなんと続編が出てるんです! と上げてみたのですが、そのたびに「続編があるなんて知りませんでした!」と別々の方からコメント頂けた事があったので、じゃあnoteでも記事にしようかとやってみた次第なんです
こちらでも「知らなかった、読んでみたい!」と思って頂けたらうれしいです


『からすのパンやさん』の基本情報から

『からすのパンやさん』は初版は1973年で、自分が(むかし親に買ってもらった)版は1983年51刷です
きっと今でも新しく版を重ねているのだなあと思います
物語は、いずみがもり、というカラスがたくさん住む森の
くろもじ さんちょうめの
かどの ちゅうくらいのき に、
カラスのパンやさんがありました…とはじまります
パンやさんを営むご夫婦に、4羽のかわいいあかちゃんが生まれて、茶色、赤色、黄色、白色のからだをした子だったので
チョコちゃん、リンゴちゃん、レモンちゃん、オモチちゃん、と名前をつけました
そうして、おとうさん、おかあさん、4羽のこどもたちが、みんなで知恵を出しあって、色んなパンを焼いて、工夫をこらして販売してゆくうちに
いずみがもりの くろもじさんちょうめの かどのちゅうくらいのきのカラスのパンやさんは、とっても評判のお店になりましたとさ! 
という、非の打ち所のないハッピーエンドの物語なのです

そしてその続編の4冊は、4羽のこどもたちがそれぞれりっぱに成長して、パン屋さんとは違うお仕事を始めるというお話です

『からすのおかしやさん』

ある日、とうさんとかあさんが、遠い親戚のおうちのおじさんの病気のお見舞いに出かけるため、パン屋さんの留守を預かった、留守番ばんちょうのチョコくんは、パンだけでなくお菓子を作ってみようと思い立ち、近所に住むミミちゃんというお菓子づくりの上手なお姉さんに先生になってもらい、試行錯誤してたくさんのおいしいお菓子を作ってパンと一緒に販売をします
おじさんの具合も良くなって帰ってきた、とうさんとかあさんは、大繁盛になってるお店にびっくりして、パン屋さんのとなりにお菓子屋さんのお店を作ってあげます
そしてチョコくんは、お菓子づくりの先生のミミちゃんとそのご両親に挨拶に出かけ、チョコくんとミミちゃんの結婚式のシーンで、めでたし、めでたし、となります
この結婚式のシーンが素敵なんですよ!
それまで、チョコくんとミミちゃんが工夫して作り上げた洋菓子と和菓子、きれいなウェディングケーキがところせましと並び、とうさんとかあさんたちは、モーニングと黒留袖の正装で、リンゴさん、レモンさん、おもちくんはドレスとタキシード姿を見せてくれます
何より新郎新婦のチョコくんとミミさんが、ほんとに幸せそうで、すてきで、きれいで…
子どもの頃に読んでいた本に出ていた子が、りっぱにお仕事して結婚する姿を見るのって感慨深くて、涙腺に来ちゃうんですよね…

他の3冊について

駆け足でのご説明になってしまいますが
『からすのやおやさん』はリンゴさん
『からすのてんぷらやさん』はレモンさん
『からすのそばやさん』はおもちくん
が、それぞれパン屋さんのお仕事からは離れて別の仕事をはじめて、頑張って工夫をこらして、そしてその中で一緒にお仕事をしていた相手と結婚するお話なので、実はこの4冊、話の骨格は同じなんですね
でも、それぞれに違う個性もたっぷりあって
リンゴさんのやおやさんでは、必要とされる野菜商品のマーケティングと、それをどう販売するかのマーチャンダイザーの初歩を学べる内容になってますし
レモンさんのてんぷらやさんでは、災難なことにてんぷらやさんが火事になってしまい、店舗を再建するエピソードと、火を扱う調理や天ぷらのしくみと難しさを科学的に解説してくれる師匠が登場します
おもちくんのそばやさんでは、まずお蕎麦の花を育てているシーンから始まって、脱穀、製粉の手間のかかる大変な手順の解説、そしてお蕎麦の色んなメニューの種類の紹介から、そば以外のうどん、ラーメン、スパゲッティなどの色んな国の麺類の紹介がされます

どの作品でも、身近にあることを改めて考え直したり学べたりする内容が、優しく目に楽しく描かれていて、やっぱりかこさとしさんの絵本っていいな! すごいな! って何度も感じる作品となっています

余談

ここだけの話ですが
友人とこの作品たちの読み聞かせ会をした際に
4羽とも結婚して夫婦で自営業をする形になってるけど、難癖つける意味はないけど、4羽もきょうだいがいたら、1羽くらい結婚に興味なかったり定職に就かなかったりする子がいても良くない? という意見も上がりました
でも、それはそれというか
この作品で書かれてる事は、仕事をたくさん考えて工夫を頑張って、一緒に歩める伴侶を得るのっていいよねって事で、4羽とその伴侶が幸せで良かった! っていうお話で 
多様性の否定という意味は含まれていないという結論になりました


余談②

かこさとしさんの、おはなしのほんシリーズで、続編がある話は他にもあって

『おたまじゃくしの101ちゃん』には
『おたまじゃくしのしょうがっこう』という続編があります
この作品は

百一匹うまれた おたまじゃくしは
そのご ざんねんなことに、
トリや ザリガニなどに
たべられたり、
びょうきに なったりして、
八十四匹に へっていました

という文で始まります
絵本読み聞かせ会の友人は、この八十四匹にショックを受けて

「はちじゅうよんひき…はちじゅうよんひき…」

と、うつろな顔で繰り返す状態になって、絵本が読めなくなってしまいました
ああ、彼女は101ちゃん推しだったのか…配慮が足りなかったな。と反省したので、

「この『おたまじゃくしのしょうがっこう』の本文には前回の主人公の101ちゃんが出てこないんですよね、つまりそういうことなんでしょうね」

と、追い討ちをかけました
こうした自然のあり方、厳しさも盛り込まれているところにも、かこさとしさんの作品の魅力がいっぱいだと、強く思うのです!

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