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ムーミン谷の推しはモランさんです

少し前に、何気なくムーミンのクリアファイルのガチャガチャをやったのですが
そのクリアファイルの一覧表の中に、こんな画像がありました

⑧モラン


ピラミッド型のあたま、据わった眼差し、ずらっと並ぶ歯、大きな黒い手…こんなキャラクターがムーミン谷メンバーに居たとは知らなかったと驚き、このモランさんってどういうキャラなのか、すごく気になったので公式サイトなどで調べてみました

モランさんをかいてみた

公式サイトさんによると、

ムーミン谷の住人から恐れられる、女の魔物。
モランはいつもひとりぼっちで、冷気をまとっていて、彼女が歩いた地面は凍りつき、草木は枯れ、二度と育たない死に絶えた土地になる
カンテラや焚き火の明かりと暖かさに惹かれてさ迷っているが、誰もモランのことを好きではない

……のだそうです

誰も、モランの、事が、好きでは、ない……

あんまりではないか

そんな悲しく切ない生き物がいることや
そしてムーミン谷の住人らのモランさんへの扱いって酷すぎるんではないかと憤り過ぎてしまって
どうにかこうにかモランさんを何とかしてあげたくて、色々と手段を考えてみました
モランさんは冷気が出ちゃう訳ですが
じゃあそれがマイナスにならない環境や、むしろ役立つ仕事に就けばいいんじゃねえのと考えてかいてみました

色付けは100均のマーカーです

でも、モランさん自身はどうなのだろう
自分の力を役立てたいとか、仕事したいとか、それは彼女の望むところなんだろうか?
あと、引っ越しは苦にならないのか、生活環境の変化はモランさんに負担を与えないかも気になります
本人の希望が聞けないのが、まったくもどかしいなあ! と悩んで、その結果…

何とかして冷気を出さんでもらう


ペットシッターに

だからもう、うちに来てもらえたらいいんじゃないかと思ってしまったんです
自家製モランさんのとなりにいる猫っぽいの2つは、自分ちのねこふたつです
自分が仕事の時とか、モランさんがうちのねこと仲良くしててくれたら嬉しいなあ…とか
モランさんへの思い入れを強く強く深めてしまったのでした

『ムーミンパパ海へ行く』

その後、モランさんの取材がしたくて、講談社文庫版のムーミンシリーズを購入して読んでみました

『ムーミンパパ海へ行く』
紫の付箋はモランさんの登場してるシーン

(以下、『ムーミンパパ海へ行く』の内容についてネタバレしています ご注意ください)

原作にあたって驚いたことは、
読む前はモランさんへとても心を寄せていて、ムーミン谷の住人たちよ、モランさんがいらぬのなら自分によこしなさい! という気まんまんだったのに
モランさんを疎ましく思う面々の気持ちも、分かってしまった事です
モランさんは光とぬくもりを求めて、ムーミン谷をさ迷っていますが
ムーミンの自宅の庭にうっそりと現れて、ムーミンママの育てたお花を駄目にしてしまいながら
屋内の温かさに惹かれるように、黙ってじっとりと、庭に佇んでいるのです

作中の挿し絵のイメージ画です

その後、ムーミン一家は灯台のある小さな島に移住するのですが
モランさんは黙ってそれについてきてしまいます
大きな不気味な鳥のような姿に自らを変え、海を渡って追いかけてきます

荒れた海を飛ぶモランの鳥

もう、平たく言っちゃうとモランさんがすごいストーカー気質で
呼ばれてもいないのに、トランスフォームして海を越えてくる執念の強さのモランさんが、辛いし痛々しくて、でもムーミンたちがモランさんに執着されている困惑や怖さも同時に分かってしまって
これはなかなかのメンタル削りな内容だ…!! と感動しないとやってられない小説でした

特にモランさんが執着しているのは、一家の子供で男の子のムーミンで
ムーミンがこの島に来てから出会った、美しい生き物の『うみうま』に会いたくて、夜の海岸でカンテラを振って、うみうまに合図を送っていたシーンで
悲しいかなモランさんが来てしまうのです

「しいっ。 あっちいけ! じゃまじゃないか。おまえなんかにかまってるひまはないんだぞ」

と、ムーミンはののしりました

うたうモラン

ムーミンに拒絶されても、灯りとぬくもりを求めることをやめられないモランさんは
島の周りの海岸で、ひとり踊って歌をうたいます

ほかにモランはいないの
わたしだけがモランよ
わたしはせかいでいちばんつめたいもの
決してあたたかくならないの

そして
ここが不思議なところなのですが
いつしかムーミンは、夜の海岸でモランさんに、毎日のようにカンテラの灯りをじっくり見せてあげる約束をするようになりました
うたうモランさんに同情してしまったのか
モランさんが島に上陸して、新居でムーミンママがせっかく育てた庭をだめにさせないためなのか
ムーミンのモランさんへの気持ちの変化がどこかにあって、それにモランさんはとても嬉しそうにするのです
ムーミンがカンテラを持って会いに来てくれた! と喜び歌い踊るようになります

きっと喜んでても不気味だったのでは? の想像図

物語の終盤では、毎晩のようにモランさんのためにカンテラを灯し続けていたせいで、島に備蓄してあった灯油がなくなってしまい
モランはどんなに落胆するだろう…と(本文では、昔からの友人を裏切ってしまったような気持ちで)恐る恐る、ムーミンが会いに行ったら
当のモランさんは、ムーミンが会いに来てくれた! と、その夜も嬉しそうに踊っていました
モランはカンテラに惹かれてやって来ていたとばかり思っていたムーミンは、ただ自分が会いに行ったことが彼女の心を暖めていた事を知り、その晩は安らかな気持ちで眠りについたのでした
そしてモランさんのいた場所はもう、凍りつかなくなっていたのです

モランさんは“何とかして冷気を出さんでもらう“ができる子だった!

『ムーミンパパ海へ行く』で、モランさんというキャラクターを通じて描かれてたことは

恋慕う相手がいる時は、それ以外の存在は無用で疎ましく感じるもの
誰かにとって(いらない)存在であった人が、誰かを(いらない)と感じてしまうこともある
でも、誰でも誰かのいとおしい存在になれる瞬間がきっとある
そういうことなのかなと、考えています
誰でも誰かにとっての(疎まれる)モランさんになっちゃうことってあるし
でもモランさんになっちゃっても、自身の心持ちでいくらでも繋がれた相手との関係を変えることができるし、それは良くも悪くもいくらでも変わるんだと、そういうことかなと感じました

まあ、それはともかくとして
モランさんのほとばしる冷気は、モランさんのメンタルでコントロール出来るのだと分かったことがめっちゃ朗報だったので
きっとモランさんはムーミンともっと仲良くなれるかも知れないし
他の土地やコミュニティに出会えば、たくさん友達ができる可能性あるよな! と確信が持てたので
Twitterの方では勝手なコラボイラストをフリップ芸みたいに出す、というのをやってました

『ドラえもん』に出てくるクリスチーネ剛田
お菓子の『たべっ子どうぶつ』
フィンランドつながりでサカバンバスピス
モランさんがメニューに氷結とサバ缶しかない
スナックを経営していたらどうなるか?


という訳で、ネタはだいぶTwitterで書いてたことの再掲ですが、ご覧頂きましてありがとうございます
これからもモランさんを密やかに推していきたいです

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