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追放もののモブキャラになった話

前回に引き続き、職場の話です
自分は今、新規採用者の面接や指導などを担当しているのですが、悲しいかな、職場にとって即戦力になる頼もしい人材などはめったにいないし、頑張って育成した人員も辞めてしまう時は辞める、そういうものです

しかし、約1年ほど前にとんでもない人が面接に訪れました

・同業の他会社で長年勤務していた
・各種資格習得すみ
・いつからでも働ける

研修いらずのマジの即戦力の人材、そんな都合のいい人って来ることあるの!? と本気で驚いたのですが、これは上に掛け合って採用時から給与面で優遇すべきと進言し、無事にその方と働けるようになったのです

そしてその人の凄いところは、面接時の印象を越える勢いで仕事ができる頼もしい方であったことで、やることは早くて正確、相談がある時も迅速、もといた人員ともすぐに仲良くなる、非常時や不測の事態への対応力もとても強い、あと身体も頑丈でメンタルも安定している…と、中間管理職からすると、こんなありがてえ人いないわ~って泣きそうになるほどありがたい人だったのです
しかし、その方が職場に慣れてきてもらった頃に、前の職場でのことを詳しく聞いてみると、驚くほどひどい待遇を受けていた事が分かりました

・休みも休憩もなかなか自由に取れないし変わりの人員も探さないといけない
・昇給はずっとない、資格の手当てもない
・休みでも急に出勤しないといけない
・未経験者の研修を当日急に任されるが自分の仕事もそのままで誰も分担してもらえない

YouTubeのショート動画に出てくる絵に描いたようなブラック待遇ぶりに、自分は憤懣やる方なくなってしまい

「〇〇さんがそんな粗末な待遇を受けてたなんて許せません」
「〇〇さんほどの仕事ができて資格もあって、ちゃんとそのスキルを運用して仕事ができる人なんてなかなかいませんよ」
「自分がそこの責任者なら、〇〇さんを絶対に手放しません! 待遇をよくして感謝すべきですよ!」

と、勇者パーティに搾取されて追放されたが実はめっちゃ仕事できるパーティの要の存在だった…というよくあるファンタジーの主人公の待遇に憤るモブキャラみたいなことを口走ってしまいました

〇〇さんは、前の職場では誰も誉めてくれなかったのに…と、感激して下さる勢いなので、仕事のできるかっこいい主人公を褒め称えるモブキャラに徹し、〇〇さんの自己肯定感を爆上げせねばなるまい
それこそが、しがない中間管理職の自分の仕事ではないか、と意気込んでいるのです

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