自転車に乗ることになった話。

全ては去年の年始に遡る。


その日、私は夫と、とある神社を詣でていた。
夫の異動が叶うようにとの願掛けだった。元の部署に戻れますように。
境内を歩きながら、もし元の部署に戻れたらの話をしていた。

夫はロードバイクを趣味としている。
このきっかけはコロナ禍で自宅待機をしていた時、私が「弱虫ペダル」を見せたことだ。
あまり私の見るアニメに興味を示さない夫が珍しく食い入るように画面を見つめ、それから数カ月後にはロードバイクを購入していた。
初めこそ一人でフラッとライドに行っていたが、知人にロードバイク乗り(しかも社会人サークルの主催をしている)がいて、いつの間にかそのサークル所属になっていた。
月に一度か二度ほど、ゆるく楽しむ雰囲気のサークルであり、現在も嬉しそうに参加している。

「元の所へ戻れたら、自転車通勤にしたい。たまのライドしか行ってないから運動不足だし」

我が家から元の職場へは10kmほど。この頃もたまに、自転車に乗って顔を出しに行くことがあった。
たしかに通勤だけでも程よい運動になる。

「私も電動自転車買おうかな、運動不足だし」

我が家から私の職場までの道は、坂道が多い。上っては下り、また上り。夫の知人も「(あの辺りは)あまり乗りたくない」と言う程。なので電動自転車なら何とかなるだろう、と思ったのだ。自転車に乗り慣れない私でも、何とかなるだろう、と。
また、ちょうど近くのホームセンターで型落ちの電動自転車が比較的安価で売り出されていたのを見たというのもあった。

そんなことを考えていると、夫が言った。
「じゃあ買ってあげるから一緒に乗ろうよ」と。

はて、一緒とは。
何となく変な気はしたものの、今年の誕生日プレゼント(には早いが)は自転車か。有り難い!!と小躍りした。


それから数日後、私は夫の勘違いに気付くことになる。
中古とはいえ安くない買い物、しかもプレゼントである。
途中で投げ出すことは出来ない……。
期待と不安入り混じる中、2月のとある日曜日に、私は初めてロードバイクに乗った。


それから、なんだかんだとライドに連れまわされるようになるのだが、それらを書き出すと長くなるので、また別の機会に。




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