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男の子が教えてくれたこと

今回は、私にとって忘れられない2年前のある出来事について書こうと思います😌


私は2年前、初めてなでしこリーガーになりました。
その年は一度も首位を譲ることなく
独走優勝した年。
先輩たちの圧倒的な力に、自分の実力を認めざるを得ず、必死でくらいついた年。
試合に絡めたり、メンバーにも入れなかったり
難しい年でもありました。
キラキラとピッチで輝く先輩たちの姿、
それにワクワクするファンやサポーター。
同じ土俵にいるはずなのに、どこか外から見ているような。
初めてファンやサポーターという存在がいる環境に足を踏み入れ、サッカー選手ってなんだろうと色々と考える年でした。

そんな一年目。
私にとって忘れられない出来事がありました。
その日のことを振り返りながら書こうと思います。


公式戦のアウェイ試合。
アウェイの試合前日は長時間の移動や、近くに小さな公園しかないこともあり、軽いストレッチやジョギングくらいしかできない環境でした。
その日もそうでした。
確実に出ると分かっているメンバーは、軽くジョギングをして帰っていくけど
次の日の試合に出られるか分からない立場にいた私は、
「自分は同じじゃ置いてかれる、ここにきていないメンバー外の仲間は今日も少人数で2部練習に励んでいるし、やれる事やろ」
と自覚して、夕食までの時間一人残ってボールを蹴っていました。

すると、3人の小学生くらいの子たちが寄ってきて、
「一緒にサッカーしてください!」と声をかけてきました。
一人で蹴るよりもこの子たちとやった方がいい練習になるかなと思って一緒にやることにしました。
その子たちはサッカーをしたことがなかったみたいで、私のプレーに目をキラキラさせて
「すごい!すごい!」と
すごく興奮していました。
一緒にボールを蹴りながら色んな話もしてすごく仲良くなりました。

帰り際に、「明日の試合見に行くね。」と一人の男の子。
迎えに来たお母さんに「お姉さんのチームくノ一って言うんだって。忘れないようにスマホで早く調べて。」って。
私は本気で言ってんのかななんてその時は軽い気持ちで聞いていました。

お別れをした後に
「初めてサッカー選手に会えた!」
と興奮してお母さんに話している声が聞こえてきました。
サッカー選手・・・

次の日
スタンドから「お姉さん!」と声がして、見上げると昨日の男の子が手を振っていました。
「本当に来てくれたんだ」って胸が熱くなり、本当に涙が出ました。

その日、私に出番はありませんでした。
プレーしているところを見せられなかったこと
本当に申し訳なかったなと思います。
だけど、サッカーをしたこともなかった子が、
大切な休日の日に、私とボールを蹴ったことがきっかけで
足を運んでくれたこと。
本当に嬉しかった。
その時、自分がサッカー選手であることを改めて実感した気がしました。

サッカー選手は試合に出てなんぼの世界で
ピッチでの結果と評価=選手の価値。
何をするよりも試合に出て結果を残すこと。
それが選手の価値だと思っていました。

だから何をするにしても、試合で活躍もしてないのに表に出るのは気が引けるなぁとか
思ってしまう自分もいました。

でもその男の子が教えてくれました。

例え、試合に出ていなくても
人をワクワクさせて笑顔を作ることができる
楽しい時間を与えることができる
夢や希望を与えることができる
サッカー選手の意義ってこういうことなのかなと。

そこから私の中での考え方が変わりました。
チームにはもちろん、試合に出る11人以上のメンバーがいて、試合に出る者、サブ、メンバー外が必ず存在する。
だけど、
どの立場になっても自分がサッカー選手であることには変わらないということ。
一人のサッカー選手として何ができるのかを考え続けること。
どんな立場であっても、
「誰かに何かを与えよう」と思うようになりました。

立場によって役割やできることというのは変わってくるのかもしれない。
でも、そういったサッカー選手としての自覚を持つようになりました。

例えば、試合に出れていない時
その時に、今自分は何をすべきで何ができるのかを考えました。
みんなしんどいのは同じで
自分が試合に出るために努力するのは当たり前。
その上で
同じ立場のチームメイトに「頑張ろう!」と思わせられるように
前向きな気持ちや姿勢で自分がなにか光にはなれると。

そうしたら実際に、
色んなチームメイトから、「自分を見てると頑張ろうと思える」って言ってもらえることが増えました。
大勢のファンやサポーターの方だけじゃなくても、一番近くにいるチームメイトにだって何かを与えることができる。
それが微力ながら、本当に微力だと思うけれど、チームの為になって、ファンやサポーターの方の笑顔にも繋がっていくのかと。
与えられる人や影響力は、ピッチに立ってる選手には適わないけれど、そういう意識を持って取り組むことは
試合に出れていないという不遇な状況下でも、自分を律して前に進む力にもなっていきました。

誰かにとってはそんなこと当たり前なのかもしれません。
私自身も色んなチームメイトから「頑張ろう!」と前を向かせてもらったり、「負けてられないな」と刺激を与えてもらっています。

学生までと違って、お金を払って試合を見に来てくれる人たちがいる立場にいて
自分の考えは甘いのかもしれません。
やっぱり何を言っても一番はピッチに立って自分のプレーでワクワクさせ、結果を出しチームの勝利に貢献する。
これが一番なのは分かっています。

そこに対する努力をするのは大前提。
その過程の中で、自分の置かれた立場や状況がどうであろうと、一人のサッカー選手であるということを自覚し、
そこで自分よがりにならず、
今自分にできること、ほんとに小さなことかもしれないけれど誰かに何かを与えるという意識を持って取り組む。

サッカー選手ってなんだろう。

そこに答えはないのかもしれませんが、
その男の子が教えてくれたことを胸に、自分というサッカー選手としての意義を見つけていこうと思います。

一人のサッカー選手として、この出来事は絶対に忘れないと思う。
また会えるかも分からないけれど、
大切な事を教えてくれた男の子にありがとうと伝えたいです。
そして、これからもっと成長して、ピッチで輝く姿で色んな人に勇気や希望を与えていきたいです。

まだまだ盲点になっていることがきっとたくさんあって、まだまだ影響力もないけれど
サッカー選手として誰か一人にでも何かを与えられる存在でいられるように、一日一日自分と向き合っていきます!

次はななの番です😊
今年から入ってきた後輩たちに、もうケラケラくすくす笑われちゃってます🤭
(私もですが🫢)
ちゃんとしてこ!🤝笑

ではお楽しみに〜!

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