アニメ化して欲しいなろう作品

ここ数年、なろう系原作の深夜アニメが急増している。特に量産系と呼ばれる、梲が上がらない中年男性が人智を超えた力により転生し、俺TUEEEEやざまぁやハーレムイチャイチャをするようなストーリーが流行っている。
それはまあ好きにすればいい。個人的には1作見れば十分だなとは思うが、そうした作品でストレスを発散できるならばそれに超したことはない。批評家()の方々は低俗だなんだと言うかもしれないが、メッセージ性がなくともだだ楽しい/ストレス発散になる娯楽というものは確実に必要だ。
私が文句を言いたいのは、作品の魅力を伝えるには1クールでは明らかに尺が足りていないのに1クールしか取らず中途半端な終わり方をする/詰め込みすぎるケース、アニメ化する作品選択から間違えているケースだ。前者は賢者の弟子を名乗る賢者、後者はジャングリア・フロンティアなど。

(賢者の弟子は正直TS要素以外は割と量産型ではある。それはそれとしてかつての仲間を探すというメインストーリーに注目すると1人見つけるまでに100話程かかるというかなりゆっくりした進行である。間を省略して3人くらいは見つけるかと思ったらまさか無駄なアニオリを入れて、1クール中に1人も合流しないとは…唖然とした。
シャンフロに関してはそもそも作者の設定厨を楽しむ話。原作を読んでいればユニークモンスターやクソゲー等の設定を書きたいんだなってありありと分かるし、そのために序盤の進行はかなり雑。戦闘描写も主人公がゾーン状態に入れるため、かなり文量を使って一瞬一瞬のやり取りやクソゲーマーの心情描写を丁寧すぎる程に書いている。映像という1度に伝達できる情報量に制限があるメディアにはどう考えても合わない作品だったと思う)

なろうで人気の作品がアニメ化に向かないこと自体は仕様が無い面もある。なろうとアニメでは媒体が違いすぎるのだから。ノベルスのような巻毎に区切られた商業本と違い区切りをつける必要がなく、分量制限もなく書けるため1場面に幾らでも情報を詰め込むことが出来る。
視聴者への引きとなる部分も違う。アニメが1話の出来であるのに比べてなろうの導線はあらすじの文章。文章という言いたいことをそのまま伝え易い媒体で起承転結を書けるのである。序盤=1話を丁寧にゆっくり書いた時、なろうの導線があれば盛り上がり所がわかる故に面白くなるところまで耐えられる。寧ろその丁寧さは伏線として受け入れられるかもしれない。しかし原作を知らない人がアニメで見た時に抱く感想は薄味だな、というだけである。
アニメ化、という面だけ見れば序盤の展開を丁寧に書く作品や独自色の強い作品よりも量産型の方が向いているとすら言える。起承転結が分かりやすく、お色気シーンなど単回話も入れやすい。1話だけで作品というか「量産型なろうというジャンル」の固定ファンが着きやすいだろう。それでも真に面白く、そしてアニメ化して映える作品であれば1話でも初見を惹き付けることは出来るはずだ。
だから私が文句を言いたいのは制作会社ではなくパブリッシャー、アニメ化する作品を決める人達である。


私の声が届くことなど有り得ないが、気晴らしとして私がアニメ化して欲しいなろう小説を考えてみた。重視したのは主に3点、量産化作品と差別化できるオリジナリティがあるか、1クールの枠で作品独自の魅力が伝わるか、ついでに私が原作を好きかどうかである。


『Curse Nightmare Party』

おそらくなろう小説のうち私が最も読み返した作品。ジャンルはVRMMO/ポストアポカリプス。
主人公は13の目を持つ異形であり、プレイスタイルは邪眼による状態異常特化。割と珍しい設定である上、VRMMO要素(掲示板、現実世界等)とポストアポカリプスの世界観(視界的な描写、力の本質の理屈)が1クール尺中でも結構しっかり存在している。
ただポストアポカリプスは雰囲気を伝えるのが難しい。戦闘モノであることも考えれば、作品の魅力を伝えるための作画力は相当高いものが求められると思うが、十分に描ければ映えることは間違いない。ジャンルというか求められる作画の方向性はFate/UBWが近そう。
大好きな作品だけに変な作画ではやって欲しくないなあ…世界観が特殊故に平均どころか方向性間違うと京アニですら満足できなそうだし。


マジック・メイカー

ジャンルはファンタジー。
魔法が存在しない世界で魔法を作る話…ではあるが、20話くらいで魔法の原型ができてしまい、明確に魔法となった後は世界で唯一まともに魔法が使える人間である主人公が魔人と戦うという割と量産型な作品ではある。魔法の研究過程を引き伸ばして完成を6話くらいにもってこられれば、前半に創造の楽しみを、後半にそれを使った戦闘描写をという構成にすれば1クールでむしろ丁度良さそう。Dr.STONEのように当たり前のものを創造するその過程を主題にし、その中で起承転結を作るという芸当はせいぜい1作品2クールが限界のなろうでは厳しいので、1クール中に魔法の完成という結を持ってこれる本作はアニメの題材には合っていると思う。


アズール図書館の司書

ジャンルはファンタジー/ミステリー。
薬屋のような短編的な謎がある探偵ものというよりはアズール図書館の司書になるという夢、そのために解き明かさなければならないアズール図書館の謎に向けてのストーリー。そこにファンタジー・戦闘・恋愛要素での味付けがあるという感じ。2クールあれば相当キリのいいところまで行けると思うが、1クールでも本筋的にキリのいいところまでは行けそう。
問題点は作品が2クール相当部の直後でエタってる(連載停止している)ところ。


俺は星間国家の悪徳領主

ジャンルはファンタジー/勘違いモノ。
舞台が宇宙規模であり戦闘がウン万隻の宇宙戦艦大戦という点以外は俺TUEEEE等量産型。ただ舞台が宇宙という点を上手く描写出来れば映えそう。原作が約20話毎の章仕立てなので1クールアニメも作りやすそう。


謙虚、現実をモットーに生きております!

ジャンルはコメディ/悪役令嬢モノ(現代)。
エタってる作品の中では1,2を争う人気作。現代版はめフラのような感じ。コメディ色が強いので作画は常識的なレベルであればそこまで気にならないと思う。日常ものの要素も結構あるので切りどころが多い点もアニメに合いそう。

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