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古波蔵くう
2024年4月26日 20:24
皆様。初めましての方は初めまして!そうでない方は久しぶりです。『密にできないコイ』の作者、古波蔵くうです。毎回、今作は随分と長めになりました。後半、短すぎたけど。実は、この話……半分ノンフィクションです。登場人物も全てモデルが存在します。一つネタバラシしておくと、侑久さんは私のアシスタントです。主人公である仁和は、アシスタントさんが当時好きだった人がモデルです。仁和さんの過去は、私の想像で書きま
2024年4月26日 20:23
2028年。ゆっきーは2つの紙を見比べている。実は後5ヶ月で私とゆっきーの子供が生まれる。紙には、私の名前と、ゆっきーの名前が書いてあった。「子供の性別でどっちだっけ?」ゆっきーが聞く。「何回も言わせないで! 女の子だよ!」私はゆっきーに毎回『子供の性別どっちだっけ?』と聞かれる。さすがに、娘が生まれると分かって欲しい。すると、ゆっきーは2つの紙を切って名前を提案した。「こんな名前はど
2024年4月26日 20:21
2027年3月8日、嘉穂団地亀山家。私は専門学校を卒業後、在宅ワークをしている。仕事場所を選ばなくて、良い職業だと思う。ゆっきーは、国立大を卒業後気象予報士の試験を受けている。今まで六回受けて来たけど、全て不合格。合格率は5%で狭き門だと思われる。今日は合格発表日だ。ーーリード♪ゆっきーからLEADが来た。『ゆっきー:合格通知きた!』『ににゃ:どうだった?』『ゆっきー:今から開ける』
2024年4月26日 20:19
8月中旬。私の専門学校もゆっきーの大学も夏休みに入った。今は、ゆっきーと一緒に喫茶店でティーを飲んでいる。すると、私の後ろに着物姿の男性たちが素通りしていった。「そういや、もう祭りの季節か……」ゆっきーが呟く。「そうか……レイノも落ち着いて来たから開催するんだね」私はうつむく。中学の頃の黒歴史が蘇ってくる。「仁和? 祭り好きじゃないの?」ゆっきーが問いかける。「好きじゃない……黒歴
2024年4月26日 20:16
2023年3月1日。今日は卒業式。今は、式も終わりみんなお菓子の首飾りや帽子を被って帰っている。「仁ー和ーちゃん♪」ゆっきーも何個かお菓子の首飾りしている。「合唱部は部員いた?」私はゆっきーが合唱部に所属していたことは知っていた。「廃部にならないといいけど……」ゆっきーは卒業アルバムの部活紹介で1人しか写って無かった。「そうだ!」ゆっきーは制服のネクタイを取って、私の首に巻いた。
2024年4月26日 20:14
2月上旬。私は今日もゆっきーの家に行く。「今日は、義姉さん達はいる?」私が聞くと「今日は夜まで買い物するとか言っていて居ないよ」ゆっきーは答える。「服着ていっているよね?」私が次の質問を投げかける。「ネーネーはそこまで倫理観欠けていないから」ゆっきーがドアを開ける。「なんか菓子とか、飲み物持ってくるか」ゆっきーが台所に向かう。私はソファに腰を下ろす。部屋の辺りを見渡すと、少女
2024年4月26日 20:12
1月13日。仁和にネーネー(従姉)を見られて、2日が経過した。仁和はあの日から学校に来ていない。たぶん、俺のことを視界に入れたくないのだろう。《今日……謝りに行こうかな? 大晦日に過ごしたから住んでいる場所は分かる》俺はクリスマスが終わった後、岩田から「仁和の住んでいる場所知りたい?」と。言われた。「知りたい……」俺はどうせなら知りたい。ネーネーもいない部屋で1人は寂しいから。「で
2024年4月26日 20:11
2021年1月10日。私はゆっきーと一緒に下校していく。「俺の家、ホントなら従姉居るんだけど高校入試の1ヶ月前に沖縄に行っちゃって……」ゆっきーの家系は両親の都合で従姉の家に居候しているらしい。 源家。ゆっきーの従姉の家は、大金持ちなのか、かなりの豪邸に住んでいた。「ちょっと待ってて」ゆっきーが先に、家の中に入る。「あれ? ネーネーの靴がある……」ゆっきーが、何かを発見したらしい。
2024年4月26日 20:09
12月31日、亀山家。私は源くんと2人で紅白を見ている。なぜ、源くんがいるのかというと18時ぐらいに「俺、今1人で寂しく年を越したくないから……亀山と一緒に年を越したい……泊めてくれないかな?」と。押しかけて来た。私は源くんを家に上げた。あまり広くない間取りだけど。今、源くんは沖縄出身の6人組アイドルグループのダンスを狭い私の部屋で踊っていた。「源くん? 下の階の人に迷惑が掛かるよ?」私
2024年4月26日 20:08
12月24日。寒さがより一層強まったクリスマスイヴ。気温が下がりきって雹が降っている。私は次の授業、世界史の教材の一つ、ファイルを開くと手紙が入っていた。送り主は源くんだった。手紙を開くと〈放課後……4階の視聴覚室横のベランダで待っている〉と。書いてあった。しかも、すごく綺麗な文字。源くんはこんな字は書けないはず。 放課後、四階視聴覚室横。ガラス戸を覗くと、マフラーに手袋をして学ランで立ち
2024年4月26日 20:06
11月6日。今日は遠足の日。そして私の誕生日。私はこの日のために塚本くんと別れた。私達はクラTとジャージを着て、集合場所に向かった。バスに乗ると、源くんが小さな箱を持っていた。「仁和ちゃん! ゆっきーの隣」席は自由のはずなのに、音琉は私の席を指定する。私は源くんの隣に腰を下ろす。なんか、すごく恥ずかしい。源くんは窓から外の景色を眺めていた。外には別クラスが乗るバスが止まっている。 砂月ビー
2024年4月26日 20:04
侑久side。11月2日、特別教室棟2階生物教室。「島崎! ちょっと話があるから来てくれ!」俺は島崎を呼ぶ。島崎は席を立ち、俺の後を追う。 特別教室棟4階、音楽教室前。「すまんな……数ヶ月弱ぐらい告白の返事先延ばしにして」俺はまずソウタのように謝罪する。「大丈夫! ゆっきーの返事はわかっているから!」島崎はエリと同じセリフを言い、俺に抱きつく。今はソーシャルディスタンスの時代だ。
2024年4月26日 20:02
10月16日、トイレ前の水道。俺は、歯を磨いていた。清潔感のためと、単純に口の中が気持ち悪いから歯を磨く。俺が歯を磨き終えると畳が来た。「侑久! 情報を入手したぞ!」と。どうやら、光と亀山の情報を教えてくれるらしい。「教えてくれ!」俺は畳に階段近くの踊り場へ連れてこられた。 踊り場。「侑久、メモ帳と書く物は?」畳が持ち物を確認する。「持ってる……」俺はブレザーのポケットから無地
2024年4月26日 20:00
10月1日、特別教室棟3階。特別教室棟には奇数階は女子トイレのみ、偶数階に男子トイレのみが設置されている。時差分散登校も無くなった。私は今、夏澄、音琉、勝山命風、勝山凌で女子トークをしている。「ねぇるね、好きな人できたの……同じクラスなんだけど」音琉ちゃんがモジモジし始める。耳も赤くなっている。とても恥ずかしいのだろうか。「誰なの? 同じクラスって言われても分かんないよ?」命風ちゃんが問