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隠れ野球強豪国

ここ数年で一気に野球強豪国となった国があります。それは2017年のWBCで日本とも対戦し、東京五輪にも出場したイスラエル。

かつて野球で国名を聞くこともなかったイスラエルが急に強くなった理由は、ご存知の方も多いですがユダヤ系アメリカ人の選手を多く呼び寄せたからです。
①野球大国であるアメリカにユダヤ人がたくさんいる
②ユダヤ人なら外国生まれでもイスラエル国籍を取りやすい

という点があり、こんなやり方が出来ました。

実は同じ作戦を取ってる国は他にもあり、例えばフィリピン代表。フィリピン系の人は世界中におり日本でもフィリピンとのハーフという人は多いですね。
WBCでは多くのフィリピン系アメリカ人や、高山優希(日本ハム)のようなフィリピンとハーフの日本人も召集しています。ただフィリピンは未だそれが結果に繋がっておらず、イスラエルのようになるにはフィリピン野球協会の更なるリクルーティング力などが求められます。ただ今年はアメリカでフィリピン系選手のトライアウトを開催するなど積極的に動いており、注目したいです。

ちなみにこういう例は他のスポーツでも多くあり、例えばサッカーのワールドカップで日本とも対戦したセネガル代表がそう。
サッカー大国フランスにはセネガル系の人が多くいます。セネガル代表はフランスで生まれ育ったセネガル系の選手を多く呼んでおり、クリバリ(ナポリ)やメンディ(チェルシー)などがその例。普通のセネガル人でもマネ(リバプール)のような選手がいる上にそういう選手が加わってるのですから、セネガル代表がアフリカ選手権で優勝するほど強いのも頷けます。

まとめると
①強豪国に自国系の選手が多くいる
②国籍が取得しやすい

国であれば、上記のような強化も作戦として出来るのです。そこで野球において、こういう作戦を取って強化できそうな「隠れ強豪国」をピックアップしてみました。

◼️中国
「華僑」という言葉があり多くの国に「中華街」があるように、世界中に中国系の人は多くいます。日本にも中国系の方は多いですし、アメリカには更に多くの中国系住民がいます。今年の北京冬季五輪で、中国代表がこういう選手を多く招集しています。特にアイスホッケーは半数以上がアメリカやカナダの中国系選手でした。
中国籍の取得は容易ではないのですが、WBCであれば国籍がなくとも両親の一方でも中国出身であれば中国代表になれます。日本人でも真砂(ソフトバンク)や鈴木(中日)は親御さんが中国出身のためWBC中国代表になる資格があるのです。現状の中国代表はWBCにほぼ中国人選手で出ていますが、こういうアメリカや日本の中国系選手が5~10人ほど加わったら、侍ジャパン侮れないチームになるかもしれません。

◼️ギリシャ
2004年のアテネ五輪のとき、野球競技にてギリシャは開催国として出場が決まってましたが、当時のギリシャは弱小国でした。そこでギリシャはアメリカやカナダにいるギリシャ系の選手を集め、なんとか五輪レベルの戦力を揃え出場。そのメンバーには後にMLBで活躍するN.マーケイキス、現ドジャースのベリンジャーの父親であるC.ベリンジャーなどもいました。その成果もあり五輪本大会でも1勝を挙げました。

アテネ五輪のキューバ対ギリシャ

ここ最近のギリシャ野球協会のTwitterアカウントを見ると、またアメリカやカナダのギリシャ系選手の召集を進めているそう。昨年の欧州選手権では14位に終わりましたが、かつてこの作戦で成功したチームだけに今後に注目。

◼️ポーランド
アメリカでは1000万人ほどのポーランド系住民がいます。特にシカゴには200万人以上おり「ポーランド最大の都市はワルシャワで、次がシカゴ」という言う人もいるほど。MLBではロッキーズなどで強打の遊撃手として活躍したトゥロウィツキー、悪童として知られた捕手のピアジンスキーなどがポーランド系です。
現状ポーランド代表も少しポーランド系アメリカ人を招集しているようですが、まだまだ欧州内でも強いとはいえない現状。もし野球協会が力を入れマイナーリーグにいるポーランド系選手を集めたら強いチームができそうです。なお純粋なポーランド人で最も活躍した選手には、かつて香川オリーブガイナーズでプレーしたA.ストラザルカ投手がいます。

◼️ハイチ
カリブ海でドミニカ共和国の隣に位置するハイチ。経済的に苦しいこともあり隣のドミニカ共和国や、海を渡りアメリカに渡る移民も多くいます。メジャーリーグではヘルマン(ヤンキース)やサノ(ツインズ)がハイチにルーツを持っています。またキューバから亡命する野球選手には最も近いハイチで居住権を獲得する選手も多数。

ドミニカ共和国とキューバの間に位置するハイチ

彼らを集めれば普通に強豪国になれるポテンシャルはあります。ただハイチという国は経済的に貧しく政情も不安定で、野球協会にそういう選手を集める力があるかというと疑問。イスラエル代表があれだけユダヤ系アメリカ人を集められたのも、ユダヤ系アメリカ企業のサポートもあり資金的にも力があったという点もあります。


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