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第五回WBCについて懸念していること

このタイトルを見ると「コロナの変異株が広がってるけど開催できるの?」「主催者であるMLBがロックアウトしてるけど大丈夫?」みたいな話かと思うかもしれません。でもそれらは一般の野球ファンにとっては、状況を見守ることしかできません。今回の「懸念していること」は別のことです。

2021年春に開催が予定されていた第五回WBCは、コロナによる延期を経て2023年春の開催が予定されています。
その一方で来たる2022年には、サッカーのカタールワールドカップが開催されます。サッカーのワールドカップは通常は夏開催ですが、この大会はカタールの暑い気候を考慮し例外的に12月開催となります。
この異例が重なった結果、2022年12月にカタールW杯が開催され、そのわずか3か月後となる2023年3月には第五回WBCが開催される形となります。体感としてはW杯が終わってすぐWBCが始まる感じでしょう。

いろんなスポーツの国際大会が大好きな私にとってはたまらない数か月となりそうですが、こうやって同時期に開催されることによる懸念が盛り上がりや観客動員において両大会が比較されてしまうことです。これまでも比較されることは多々ありましたが、同時期だと尚更そうなるのではないかと。ただ個人的にこの比較は無意味ではないかと思うのです。


◼️野球とサッカーの比較に意味はあるのか?
そもそも前提として、日本という国では野球とサッカーが人気球技の2トップなので、この両スポーツが比較されがちでしょう。特にWBCやワールドカップのとき話題になりやすいのが、両スポーツの世界的な普及度について。「野球はサッカーに比べて世界的にマイナースポーツ」という話を耳にすることは多いでしょう。

でもちょっと、見方を変えたい。

2021年に行われた東京五輪では33競技が行われました。また2022年に北京で行われる冬季五輪では15競技が行われます。もちろん夏季五輪では行われない競技もアメフトやクリケットなど多くあり、世界には何百という種類のスポーツがあるでしょう。

その中でサッカーというのはご存知の通り、世界的で最も競技人口が多く2億6千万人ほどだと言われています。ちなみに競技人口2位はクリケットですが、これは人口の多い南アジア(インドやパキスタンなど)で盛んというのが大きく、世界的な普及度としてはサッカーが突出していると言えるでしょう。

「野球はサッカーに比べて世界的にマイナースポーツ」といっても、そもそも何百とあるスポーツの中で突出した普及度のサッカーと比べたらどんなスポーツだってマイナースポーツになってしまいます。「比較する意味はあるのか?」と書いたのはこういう理由からです。

◼️ワールドカップとの比較について
ワールドカップはそんな世界で最も盛んなサッカーにおいて最高のイベントであり、その経済規模はオリンピックを上回ります。サッカーという一種目で何十という種目が行われるオリンピックを凌ぐ、ワールドカップは世界に山ほどあるスポーツイベントの中で異例中の異例です。

なのでスポーツの国際大会というとワールドカップが最も思い浮かべやすいですが、あれを基準には出来ないのではないかと。野球ファンの方の中には「いつかWBCもワールドカップみたいに」という声も目にしますが、それも全くネガティブな意味ではなく「無理」だと思うのです。

そもそもこれまで22回開催され続けたワールドカップとまだ4回のWBC、また国際大会が中心にあったサッカーとリーグ戦が中心だった野球、前提条件も異なりすぎます。

◼️WBCの行く先
では現実的にWBCの行く先はどうなるのか、どういう基準で見るべきか、あくまで個人的な意見になります。

これまでWBCまだ4回しか行われていませんが、間違いなく大会の度に良くなってると言えるでしょう。それは観客動員数や収益面にも現れています。

日本ではイチローが率い連覇を達成した2006と2009の盛り上がりが凄く、2013や2017はそれに比べて下がってるように感じますが、大会全体では逆と言えるのでしょう。

そして"比較"の話で言うと、前提条件が全く異なるワールドカップと比較するくらいなら、こうやって過去のWBCと直近のWBCを比較し"ベクトル"を見ていく方が有意義ではないでしょうか。

そうは言うものの深い課題も残されています。最も難しい点なのは、そもそもWBCは主催者がMLBであるという点ではないでしょうか。どうしてもMLBの都合が優先されてしまいますし、アメリカの政情などにも左右されます。ここを掘り下げると、そもそもMLB中心になりすぎている世界の野球界の構造的な問題とも言えますね。

◼️最後に
野球ファンの方々には、せっかく楽しめるはずのWBCに対して無意味なワールドカップとの比較によってマイナスな見方をしないでほしいなぁと思います。間もなく2022年ですが、スポーツが盛り上がるこれからの1~2年を楽しみに待ちましょう。

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