きっとずっとユートピア
遅めの起床と少しの余裕で、僕は日曜日を始める
自分を表す肩書きが「社会人」になったものだから、学生時代とは時間の使い方がだいぶ変化してきた。
今日は市議会議員の投票日だった。
7時に起床する平日とは違って今日は日曜日、
11時に目を覚ました
投票する前にまずは腹ごしらえ、とオリーブオイルと塩を混ぜたものに、トースターでカリカリに焼いたパンを付けて食べた。
これは学生最後の旅行で友人と「山バスク」というジビエバルで食べた素敵夜ご飯だ。
一緒に行った彼らもこれを気に入って、家で食べているという。
あの時食べた味とは程遠いけど、なんだかお洒落な1日が始まりそうだ。
「さて、投票するか〜」と支度をしていると、うちのワン子が尻尾を振ってこちらを見てきた
そうだ、もう12時だ。彼女のお散歩のお時間だ。
家には誰もいないから、今日は1人と1匹でデートをする日だった。
投票会場は近所の小学校なので、そこまで一緒に散歩しに行くことにした。
いつもより長い距離の散歩に、彼女は足を弾ませて進んだ。もう11歳なのに
受付の知り合いにワン子を預けて、いざ投票!
下調べしてビビッときた議員にそれぞれ投票し、無事投票完了。
これで世の中の全員がその日暮らしの生活にならなければいいのだけど
軽く祈って会場を出た。
帰り道の彼女は疲れていた。
いつもより遠い場所に連れて行ったのと、少しの間家主がいなかったストレスが溜まっちゃったのかな
帰宅して14時半。
明日は月曜日だから、前の1週間の研修の復習をすることと少しソフトをいじっておきたい。
あと、明日はリモートだから部屋の掃除もしておきたい。
だけどまだ14時33分。
ちょっとゆっくりしようと思って近くのコンビニへ
「新商品!」というポップに囲まれたサントリーの生ビールは、ローソンで新しく発売されたものらしい
手にとってレジに持っていくまでは数秒もかからなかった。
出かけるついでに持ってきた、お笑い芸人国崎⭐︎和也の「へんなの」という本とサントリーを両手に近くの土手へ
日曜日だから子連れのご家族が多くて座るところに困ると思ったけど、さすがは土手。
座るところなんていくらでも有り余っている。
ゆっくりしたいという自分の欲望そのままに、前日の雨で少し濡れた芝にそのまま腰を掛け、大好きなスピッツを聴く
ジャージで来て良かった〜
耳にセットしたイヤフォンに、かき鳴らされたギターが流れる。
すかさずタブを開けてビールを流し込む
なんて最っ高な気分なんだ!!
今日は花粉も落ち着いて誰にも邪魔されない。
周りの声が聞こえないくらいの大音量で聴く外の音楽はこんなにも最高なのか
寝そべった芝の香りと目の前の広い空がサントリーをすすませる。
炭酸がきついからゲップをした。
オリーブオイルの香りが鼻をくぐる
「旅先で食べた夜ご飯美味しかったな〜」
「あのオリーブオイルとパン、なんだったんだろう」
「なんであんなにまろやかだったんだ??」
「オリーブオイルの名前、聞けばよかったな〜」
「3人で行った飲食店の中でも、特に好きな場所だったな〜」
「卒業式後のカラオケで歌った[恋する凡人]楽しかったな〜」
「あいつら元気かな〜」
「明日は月曜日かー。」
死なない程度にファイトしようかな〜
腰の高さまで陽が沈んだとき、生ぬるい風に吹かれてシャッフルしていた曲が止まった
「今日は帰るか」
いつも3人で惜しみながら終電まで粘って遊んだ記憶を思い出す。
今日は帰るか!
鐘が鳴って、17時。
なんでもない日曜日と、先週会ったばかりの彼らに別れを告げて、濡れたお尻を堂々と見せながら帰宅した
帰宅して気づく
「へんなの」読んでねえじゃん。
「まあいいか!!」
「いつでも読めるし!!」
今日はなんでもない日曜日。
明日からとんでもない平日が始まる
だけどこれからも、彼らと過ごした時間が
なんてことない景色をユートピアにするに違いない
多分きっと、絶対そうだ
やっべ、!復習とソフトいじるの忘れてた!
それじゃあまたねー!!
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