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愛してやまない「suisai」

 こんばんは、柳田です。もう秋口ですね。世はアカスピやJAMの大会結果が続々と出て賑やかです。一番好きなアカペライベントはソラマチなので今年も出られると良いなあと思っています。

 そんな訳で、今回はタイトル通り「suisai」というアカペラグループについて話そうと思います。いつも通り、まずは演奏を。
https://youtu.be/ukosMwaag3k

 また今回もパーカス無し6声をチョイスしてしまいました。アカペラの醍醐味とも言えるジャンルですからね。他にも好きな6声グループはあるのですがそれはまた次の機会に。
 彼らは筑波大学Doo-Wop、学習院大学Twinkle、福島大学Rainbow PumpkinのOBを中心に結成されたグループであり、「みえないものを、えがくようにうたう」というコンセプトを掲げています。そのコンセプト通り彼らが演奏する曲の多くは水彩画のように抽象的なものが多くアレンジも幻想的です。

 僕が彼らを愛してやまない理由は、彼らが音楽のジャンルとしてアカペラという枠組みからさらに先に進んでいると考えているからです。先述したコンセプトを達成するための手段としてアカペラを選んでおりそれが完璧にマッチしているグループは稀有だと思います(最近だとsus4などもそうかも)。

ここで僕が1番好きなアレンジをどうぞ。
https://youtu.be/atmOLCYcoKY

 さて、演奏面の話に移りましょう。まずはリード陣です。リードは主に高めの男性パートを歌う2号さん、龍さん、凛とした女性リードのえみりさん(平仮名で失礼します)が担当されています。各リード陣個性があって素敵なのですが、僕が特に尊敬している2号さんについてここでは書かせていただきます。2号さんは上のURLの曲である「ばらの花」で1番のリードを歌っている方です。2号さん最大の魅力は表現力であると感じます。情景の理解、それをアウトプットする表現力、歌唱力は1級品です。ブレスの使い方も非常によく練られており歌詞が自然に入ってきますね。本人が以前別の音楽アプリで「エモが先立ってつんのめる」と自分の歌を評価されていましたがここまで感情を届けられるリードを僕は聞いたことがありません。まずはこのリードを聴くだけでも、是非。
 ここから、少しマニアックな内容に移ります。このリードに加えて彼らが高い評価を得ているのがコーラスの安定感です。まず譜面の難易度が非常に高い。6声というだけでピッチの統一が大変なのに、テンションコードの割合が非常に高い。原曲とコード進行を変えている点もありかなり難しい…(例えば1番上の「みなと」という曲の4:20〜など)。さらに、6人が独立したラインで動くことも多々あります。(「ばらの花」の冒頭など)それでいて揃った瞬間のコーラスの透明度は屈指の高さです。スキャットの母音や、字ハモの揃え方にはクラシック系、つまり合唱などの理論の応用を感じます。以前、Bassや編曲を担当されているこーめーさんとお話させていただいた時、バンドとして母音や口の形を揃えていると仰っていました。しかしそれが発声までクラシックに寄ることなくあくまでアカペラ的なラインに落とし込まれています。美しい。

 ステージ上で表現したいことに矛盾がないことは勿論、バンドとして保つ世界観は広報や衣装にも通づると思います。そこが一貫されており、表現力際立つリード陣、透き通る統一感のあるコーラスが揃った結果、「suisai」というジャンルは多くの人に愛されているのではないでしょうか。僕も彼らを知って1年ぐらいですが、今後も長く音楽活動をされていくことを心から楽しみにしています。もしこの記事を読んでsuisaiさんに興味を持たれましたら是非彼らのライブに足を運んでみてください。
https://suisaiacp.com

次回は趣向を変えて、高校の頃に好きだったアーティストについて語ろうと思います。それではお休みなさい。

※今回出てきた言葉たち
①アカスピ…アカペラスピリッツの略称。アカペラの全国大会です。主に学生を対象に最近熱いアカペライベントです。
②JAM…JAPAN ACAPPELLA MOVEMENTの略称。こちらもアカペラの全国大会で最大規模の大会です。今回紹介したsuisaiは去年のJAM本選にも出場されています。
③sus4…去年一世を風靡した男のみの4声アマチュアバンド。邦楽洋楽問わず、オリジナリティあふれるアレンジでJAMにも出演しました。
④テンションコード…テンションノートを含んだ和音。元々の和音の音色を変化させるときに使用されます。(7thはオシャレ、9thは明るめ、など)
⑤スキャット…アカペラや合唱を歌うときに使われる意味を持たない言葉(da,uhなど)

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