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自己紹介:美山みどり(代表)

「性同一性障害特例法を守る会」の代表を勤めさせていただきます、美山みどりと申します。性別適合手術(SRS) はタイで済ませて、戸籍を女性に変更した MTF の性同一性障害(GID)当事者です。特例法が出来てすぐにジェンダークリニックに通いだして、生活を女性に切り替えました。ですから、女性での生活歴はもうすぐ20年になります。もう男をしていたことは、前世の彼方みたいな感覚になりつつあります。

ちょっと他の方と違う面があるとすれば、いわゆる「埋没」ではないあたりでしょうか。生活では完全に女性として生活していて、男性としての過去があることを知らない人が周囲には多数なのですが、特例法が出来たときには40歳、すでに職業上のキャリアなど十分に積んでいる状況でした。
ですから、周囲には「性別を変えます!」と宣言して、性別移行しました。周囲にはその過去を知る人がいますから、公式には私が性別を変えたことは「秘密」ではありません。

「特例法」の意義は、「戸籍の性別を変える手段を提供した」ということではありません。まさに「性別を変える人も、世の中にはいる」ということを、社会が認めたということなのです。ですから私は特例法に強く感謝しています。特例法に勇気づけられて、私はおおっぴらに「変えます!」と周囲に宣言して、女性の生活を始めました。友人たちの中にも戸惑う方もいましたが、すぐに慣れてもらえました。そんな友人たちにはいつも感謝しています。

また職業面でも、プログラマが天職だと思っています。トランスした当時の職業はやはり止めることになりましたが、「プログラマで生きていける」自信がありましたし、トランスすることを念頭に置いて、スキルをアピールできるような準備もいろいろしていました。その成果もあり、プログラマとして会社からも大事にされてきましたが、年齢もあって去年ハッピーリタイアしました。プログラマはトランス差別がない業界で有名ですから、私は恵まれているというのは感じます。

ですから、LGBT理解増進法の問題が浮上して、手術済のGID当事者からの「LGBT法案反対」の声が必要、という事態になったときに、私が手を上げました。私には知られて困る「秘密」はありませんし、仕事も引退ならば迷惑をかける方もありません。性別移行後も恵まれた生活を送ることができたことに対する感謝の念と、私たちの利害を主張するための特例法の経緯の証人としての立場から、「女性スペースを守る会」など4団体の記者会見などにも出させていただきました。
このような経緯で、本会の代表を引き受けさせていただきます。

私は普通の職業人として性別移行後も暮らして来ました。政治活動をしてきたわけではありません。平穏に性別移行して社会に埋没して暮らす私たちGID当事者の利害を主張するためには、その平穏を捨ててでもあえて立ち上がるべき、と考えたのです。

LGBT理解増進法が政治問題として浮上し、女性スペース・女子スポーツなどとの関係で問題が取りざたされるようになり、その中で野党案推進派がいわゆる「トランスジェンダー」の立場から、「性自認ベース」だけで性別移行の問題を語ろうとしていることに、私たちGID当事者は強い危惧を感じてきました。このLGBT理解増進法案の審議を通じ、私たちGID害当事者は、野党案推進派の「トランスジェンダー」たちとは、利害が共通しないことを実感してきました。

私たちGID当事者は「トランスジェンダー」ではなく、固有の利害があるのだ、ということを積極的に発信していく必要を感じています。私たちには、野党案推進派であるLGBT活動家とは違った、独自の要求と利害があります。LGBT活動家は私たちの固有の利害を認めず、それを無視ばかりしてきました。
ならば私たちGID当事者は、LGBT運動に「連帯」する必要を感じません。

私たちGID当事者は「トランスジェンダー」を名乗る積極的な理由がありません。それよりも自分たちの固有の利害を示す「GID当事者」を名乗るべきです。

この私たちがあえて平穏を捨ててまで、自らの利害を守りたいと発言する気持ちをどうぞお汲み取りください。

よろしくお願いいたします。

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