手術要件の撤廃とは、特例法廃止のことである~「トランスジェンダー国会」を受けて~

先日、「トランスジェンダー国会」と称してトランスジェンダーの活動家が参議員会館に集まり、各党の国会議員らに対して大々的に手術要件の撤廃を訴えたことが話題となっています。

もっとも、このような主張は今に始まった話ではありませんが、彼らが特例法制定前からの20年以上に渡って繰り返していた主張が、国会の場で政治問題として取り上げられるまでになったということは、地道な活動の成果といえるでしょう。

しかし、同時にその主張の内容が、いかに詭弁に満ちたものであり、世論や国会議員も騙し続けるほど巧妙であるのかを、私達は知る必要があるのです。

彼らはあくまでも、現行の特例法を残したまま、手術要件を撤廃することを訴えているように見えます。彼ら自身も性同一性障害と診断されており、その法で救済される対象であるかのように、主張しています。(そもそも、それ以前にトランスジェンダーと性同一性障害が同じものであるかのように、宣伝しています)

しかし、彼らには現行の特例法を残す気はないのです。世論の賛同を得るために、あくまで現行制度を改訂するだけであるかのように見せかけていますが、本音はそうではありません。

まず、性同一性障害特例法は、文字通り「性同一性障害」と診断された人を救済する法律です。

そして性同一性障害特例法による、「性同一性障害者」の定義は以下になります。

「生物学的には性別が明らかであるにもかかわらず、心理的にはそれとは別の性別(以下「他の性別」という。)であるとの持続的な確信を持ち、かつ、自己を身体的及び社会的に他の性別に適合させようとする意思を有する者であって、そのことについてその診断を的確に行うために必要な知識及び経験を有する二人以上の医師の一般に認められている医学的知見に基づき行う診断が一致しているものをいう。」

この中で太字で強調した部分が、 重要になってきますが、手術を望まない人は「身体的に他の性別に適合させようとする意思を有する」とはみなされないと考えられるため、この法律の適用外となります。

つまり、手術要件を撤廃するということは、法律はその時点で「性同一性障害者」を対象とするものではなくなり、性同一性障害特例法ではなくなるということです。

即ち、事実上の「特例法の廃止」を意味します。

実際にトランスジェンダーの活動家は、「診断を求めることすら人権侵害である」などの極端な主張もしており、性同一性障害を脱病理化し、それを単なる「性の多様性の一つ」「個人の特性」に変えようとしています。

こうなると、もはや性同一性障害はその定義を失い、特例法はその名称ごと跡形もなく消え去ることになります。

彼らの主張の本丸は、「特例法の廃止」です。
彼らの目的は特例法を廃止しないと達成されないのに関わらず、その目的を隠し、特例法を利用しているのです。

手術要件の維持を訴えることは、すなわち特例法そのものの維持を訴えることであり、GID当事者の人権、そして特に生得的女性の人権を守る最後の砦として、絶対に崩してはならない最後の「一線」となります。

私達は、手術要件の撤廃に断固反対し「手術要件の維持=性同一性障害特例法の維持」の一点で、市井の女性達と力を合わせて戦っていく決意です。


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