ありえないデモの反社会性について〜「トランス」の可視化に反対します〜

この記事は、前回までの記事を受けてのまとめになります。
まだ読まれていない方は是非、リンクを辿って①からお読みください。

SRS・戸籍訂正を望むGID当事者の目的は「埋没」です。

何をもって埋没といえるのかという基準や定義に明確なものがあるわけではありませんが、概ね
「日常生活において、元の身体の性を明かさずに、また他人に暴かれることもなく、望みの性として平穏に生きていくこと」を指します。

とはいえ、家族などのごく近しい関係の人達は自分の移行前の姿を知っているでしょうし、信頼ある親友や恋人などには打ち明けていてもおかしくありませんし、また街で知らない人から「あの人もしかして…」と思われてる可能性も0ではないでしょう。

それはどうしようもないことです。
ただ、通常の社会生活において「望みの性で見られずに不便な思いをする」「怪しまれる、好奇の目で見られる」なんてことは基本的になく、平穏は守られる、その状態をもって「埋没」と言ってよいと思います。

似た概念に「完パス」がありますが、これは主に容姿や振る舞いなど外から見える部分が望みの性で通用するということを指します。ただ、これ自体に「平穏に暮らす」というニュアンスはありません。

当事者の目的は「完パス」を追求することではなく、あくまで平穏に暮らすことであり、埋没なのです。いくら「完パス」であっても、埋没しなければ意味がないのです。

そもそも、GID特例法によって戸籍を変更した場合、元の身体の性について明かすシチュエーションなんてそうあるものではありません。
特例法の適用を受けた記録は戸籍の原本にのみ記録され、日常生活で開示を求められることはほぼありません。

あるとしたら、
・病歴や常服薬などについて事細かな情報を求められる医療現場
・パスポートの取得など戸籍が照会される手続き

この2つぐらいでしょうか?これらはやむを得ないことだと思いますが、診療科によってはそのような情報が大して必要とされないものもありますし、パスポートの取得時も自分から明かす必要はなく、職員に事務的に淡々と処理されるだけなので精神的な負担はそこまでないのではないでしょうか。

あとは、強いて言えば結婚ぐらいでしょうか…ただ、これもクローズで結婚した人も実際におり、必須とも限りません。

個人的な悩みはあれど、普通に生きていく分には大きな問題が起きることはそうないでしょう。

性別移行というものは、それがある一定の水準に到達すれば、大きな声で権利を主張したりする必要はなくなります。逆にそんなことをしたら、余計に怪しまれて、立場が危うくなります。

性別移行とはそういうものなのです。

であるなら、ありえないデモやトランスマーチで大きな声で騒ぎながら街を練り歩いている人達は、何がしたいのでしょうか?
埋没する気はあるのでしょうか?

一生トランスジェンダーとして可視化されてオープンで生きていきたいのであれば否定しませんが、その代わり戸籍の性別変更は必要ないということにしかならないでしょう。

周りの人にも「この人はトランスジェンダーである」と知られた上で生活するのなら、元の身体の性を今更秘密にする必要もありませんし、アウティングどころの話ではありません。まさに文字通りの「歩くカミングアウト」です。

オープンで生きていく人に、戸籍の性別変更をする権利は必要ないでしょう。特例法はそういう人のための制度ではないのです。

私達は、真に「埋没」を求めてGID特例法の救済を必要とする人達に手を差し伸べたいと思っています。

仮に特例法の適用を受けても、それをオープンにして、売名行為やビジネス、政治的に利用しようとする人がいた場合、特例法の本来の意図を歪める行為として厳しく批判していくつもりです。

トランスジェンダーの人達が主張する「トランスの可視化」というものは、私達が求めるあり方とは正反対の運動であり、特例法の本来意図するものとも真逆のものであることを、ここで今一度強調しておきたいと思います。

私達はトランスジェンダーではありませんし、そのような運動には一切与することはありません。彼らとは全く違う存在なのです。


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