アンダラ体験談 3


記憶が薄れる前に備忘録として


何年も前のことになってしまったが
このnoteを通じてプレゼント企画をしたことがあった。
事前にアンケートを取り参加希望者の大まかな人数を把握した上で、ギリギリの額を設定してから有料noteにて開催したのだが、蓋を開けてみれば不参加の方が数人いて(もちろんそれは個人の自由なので全く構わないのだが)、料金設定を低くし過ぎて現金化出来ないことが分かった。

*noteの購読料は運営さんへの諸経費を支払ったうえで一定の金額にならないと現金化出来ず、また3ヶ月経つと無効化するシステムとなっている。

現金化出来ないとなると送料も自腹となり、それはちょっと痛いけどまあ仕方ない、と思ったところへ参加者のお一人、Eさん(仮名)から
"行ける距離であれば直接受け取りに行きたい"
というご連絡をいただいた。
これは正直有り難いお申し出だった。
Eさんはもちろんこちらの状況をご存知ではないが、たとえお一人分とはいえ送料と梱包材代だけでも浮くのは助かるというのが本音だった。
お互いの住まいを確認してみたところ、県は跨ぐもののものすごく遠いわけではなかったので、出向いて来ていただく事にした。
日にちや待ち合わせを決めるためのやりとりをしていると、Eさんがアンダラの画像を見たいと仰るので、私の手持ちのものや、友人が持っているものなどの画像をお送りした。
その時、なぜなのか自分でもわからないのだけれど、ふと、本当に、"ふと"、私が所有する1番大きなアンダラを"もし良かったらお譲りします"とお伝えした。

そのアンダラは、インドネシア産の600グラムを超えるライトグリーンで、もし手元にたった一つだけアンダラを残すとしたらこれ、と思っているものだった。

コスミックハートさんのホームページを見た人は、巨大なピンクとライトグリーンのアンダラ(どちらも2キロ超えのインドネシア産)の周りにたくさんのシェラネバタ産と思われる小さなアンダラが取り巻いている画像をご覧になったことがあることだろう。
私もあの画像を見て魅了され、いつかあのようなライトグリーンのインドネシア産が欲しいと思うようになった。そして、たくさんのアンダラを集めていくうちに1番最後にようやくたどり着いて手に入れることが出来たのが、コロンとした形の600グラム台のものだった。これを手に入れた事で2年近く続いたアンダラ熱は一旦落ち着いたのであった。

その思い入れたっぷりのアンダラを、なぜまだお会いしたこともないEさんにお譲りしようと思ったのかは全く謎だったし、我ながら意外だった。
Eさんは大きさにびっくりされたようで
"心臓に悪いのでやめてください。実際ホントに心臓悪いので"
と即座に断る素振りを見せた。
私もなんとなくホッとしつつも、いや、これはEさんの所に結局は行くな、と予感も覚えていた。

実際お会いしてみると、Eさんはとても不思議な空気を纏った方で、顔を合わせた瞬間、サアッと爽やかな風が吹いたような感じを受けた。(摩訶不思議なことを書けば、森の精霊がついているような、そんな感じ)
そしてEさんは開口一番、"今日はグリーンアンダラを連れて帰るつもりで来ました"と仰った。
あれだけ全力で拒否されていたのに何があったのだろう?
アンダラを手に取り、ジンジンする!と驚いているご様子。
なんで私なんですか?と何度も訊かれるが、私にも分からないとしか答えられなかった。
ところが、お話を聞いてみると、Eさんは鉱物に愛される方のようで、ミネラルショーに行った時に、とあるお店で"秘蔵のモルダバイトがあるんだけど、どう?"と突然言われたとのこと。
しかもそのモルダバイトは持ってきていないのでEさんさえ良ければ取りに帰ってくるとまで言われたそうである。
Eさんは見るだけ見てみたいと言って取りに帰ってもらい、結局購入したそうである。しかも大幅値引きもしてもらった、とのこと。
石に呼ばれるってこういうことなのかもしれない。
そんなEさんの不思議体験(他にも色々あった)を伺いつつ、Eさんのお手持ちのアンダラを見せて頂いた。
一つは有名な日本のお店(ミッキーさんのお墨付きで紹介されている)で購入されたもので、これは見た瞬間本物と思ったし、Eさんご自身も大変気に入っているとのことだった。
もう一つがオークションで競り落としたもので、真贋不明とのこと。
手に乗せてみると、何か違和感というか、私の知ってるアンダラではないような感じがするけど、
では偽物かと言えばただのガラスという感じもしない。なんとも言いようがないとしか言えず、何度も何度も時間を置いては持たせてもらったが、手に乗せていると何か感じるし何かぼんやり思い出すのだがそれが何かどうしても思い出せなかった。
この頭に薄ぼんやり浮かぶモヤモヤした正体はEさんと別れてから急に思い出した。
おそらくこのアンダラはとある著述業の方がやっているお店で2006年頃に売られていたものではないかと思う。ネットショップでずっと売れ残っていたので何度も何度も飽きるほど見に行ったのだが、それに大きさ、色、形、そっくりなのだ。
確かめる術はないが、当時画面でその"アンダラ"を眺めながら小さな違和感を覚えていたあの感覚が同じだったので、もしかしたらEさんの落札されたものはカリフォルニアガラスだったのかもしれない。もちろん、アンダラかもしれない。
(私はアンダラの専門家でも研究者でもないのだから)

Eさんとは話が弾み、最初に決めた時間を過ぎても尚話題が尽きず、またの再会を約束してお別れした。
が、その後コロナ騒動があり、同時に、使っていたPHSのサービス終了によりこちらから連絡することができなくなり、アドレス変更も余儀なくされたため、Eさんからの連絡を待つこともかなわなくなった。
すぐまた会えるものだと思っていたのでこういう形での自然消滅はとても残念に思う。
それでも、Eさんの元でライトグリーンアンダラは何か不思議を起こしているかな?と時々思いを馳せている。


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