見出し画像

note #1 Jimmyという楽曲

東京は雨が降っていようと晴れていようと、
人間であろうと怪人であろうと、
住むには不愉快なことが多い街だと思う。
中心地では昼夜を問わず何かしら大きな音が鳴り響いており、前後左右の感覚を失うほどに四方八方から奇怪な音が爆音で鳴り続ける。
その多くは、
「水商売をしろ(稼げ)、英語を習え、恋をしろ、ハゲは治療できる、ソシャゲをやれ、旅行に行け」
といった類のもので、
全て手に入れると、何でも1つ願いが叶う
と言い伝えられている。

反対に住宅街では、
一切の音を立てることは許されない。
音を出すと◯◯◯に何をされるか分からない。
映画『ドントブリーズ』のような世界なのだ。

なぜこのような不快都市に住み続けるのだろう。
恐らくそれは、そんな奇怪な様子を面白がっているからなのだと思う。
多様な人間とそれぞれの生活様式があり、
いちいち他者に対して関心を持っていられない。
田舎道で倒れている人がいたらコトだが、
渋谷で寝そべっていても
「渋谷だなぁ」
で済むのだ。
怪人として潜伏する上では、
この上ない土地と言える。

そして、多様な生活様式があると説明したように、
私もまた「音を出す」ことが生活の一部になっている。
ギタァなどという得体の知れない物体の音を別の機械で増幅し、さらにはまた別の機械で周波数に変化を加えたり、より増幅させたりすることで音量、音圧、低音に満ちた「轟音」なるサウンドを鳴らしては喜んでいるのだ。

「水商売をしろ(稼げ)、英語を習え、恋をしろ、ハゲは治療できる、ソシャゲをやれ、旅行に行け」
これらの音はもう爆音で流れている。
ここに新たに爆音で何かを流すことは誰かが願いを叶えることの妨げになることに繋がる迷惑行為なのかもしれない。
しかし、そもそもの話になってしまうのだが、
これら「稼、英、恋、治、遊、旅」の六大行によって、本当に願いは叶うのだろうか。
これら全てを手にした完全超人は、
その先に何を願うのだろうか。

怪人スキルの一つに「脳をバグらせる」という技がある。
これにより高尚でありがたい芸術作品も下卑た恋愛ドキュメンタリー的作品も同列に感動することができる。
この技を応用し、六大行について考えた場合、
行き着く際は「気の持ちよう」という結論だった。
それであれば、自分の心に素直でありたい。
これが六大行の総括か、あるいは第七の欲求になるか。
私は、自由を体現できる曲を作ろうと思った。
言論、思想、趣味嗜好、誰を愛するのか、
それを人に説くのではなく、
自分から出る「自由」を音にすることで、
心に従うことを表現してみたかった。

直接的な歌詞としては、
全くこのようなことには触れていないが、
"Jimmy"はこのマインドから生まれた最初の楽曲で、
様々な形容詞がついた。

#怪しいリフ
#轟音
#怪人
#2人組とは思えない
#タイトなドラム
#金切り声

いずれも事実だが、核心ではない。
なぜならこれは、カテゴライズからも解放された、
自由の音楽だからだ。

おわり

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?