見出し画像

太陽に言われた

 朝、目を覚ました瞬間に「今日はだめだ」と思うことがある。今朝も、そんな感じだった。最悪だ、今日は月曜だぞ。これから頑張らないといけないのに。
 こんな気持ちになると、とても面倒臭い女になり、テンションが低く、自己嫌悪に陥ってしまう。

 私は、いつものようにYouTubeを開き、「平日も勉強する社会人受験生」という、私とは真逆の人のYouTubeを流し、やる気を出そうとした。

 こんなんじゃだめだ。

 ああ、今日は本格的にだめらしい。たまに、YouTubeを見てやる気を出せることがあるので、そうしてみたが今日はそうはいかない。私は、早々にスマホを閉じて起き上がった。

 午前5時30分。既に、起床希望時間を20分ほど回っていたが、仕方がない。私は、鬱防止で散歩に行くYouTuberの人を思い出し、「今日は走らず、ローソンにカフェラテを買いに行こう」という目標だけを立て、準備をした。リップを塗るくらい。

 歩き始めても気分は晴れない。なぜこんな気持ちなんだろう。私の休日の過ごし方が良くなかったのか。私は、「何者かになりたい」んだ。急にそう思った。何者かになりたいのに、それが何かわからない。それがわかれば、きっと努力できるのに。思春期に感じていた承認欲求より一つか二つくらい上の欲求を感じていることに気づいた。それと同時に、思春期の頃より傲慢で恥ずかしいなとも思った。

 歩いていると、かかりつけの歯医者が見えてきた。歯医者の壁面のガラスに赤い丸が見えた。それが太陽だったらいいのに、と思った。ただ赤信号が反射して写っているだけだった。

 ローソンでカフェラテとパンを買って、店から出た時、もうすぐ太陽が昇ろうとしていた。その空は、赤くまどろんでいて、さっき私が願った歯医者の壁面の太陽より、その全貌が見えていないのに、綺麗で、そして嬉しかった。

 家に着く頃、太陽が本格的に姿を現した。
 眩しかった。
 その眩しさに顔を歪めるほど。
 

 太陽が「舐めんな」と私に言っていた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?