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卯月が終わる

気づけばあれほど咲き誇っていた桜は既に散り、ピンク色の絨毯があたり一面に広がっていた。
今年の桜は例年より早く開花したらしい。
長い長い冬と比べると、春と認められる期間は大変短く、瞬く間に過ぎ去ってしまう。惜春である。
そんな絨毯もいつの間にか姿を消し、木々は青々とした葉を天に向かって伸ばして新緑の季節の到来を告げている。
太陽の光が一層強くなり、心なしか空が高くなったように感じられる今日のこの頃だ。

陰暦によれば、4月は”卯月”の他にも”夏初月”とも呼称されるらしい。
とどのつまり、それはもう半分夏が始まったと言っても過言ではないだろう。
そう思うほどに夏が待ち遠しい。今年の夏はどんな夏になるのだろうか。
気が早すぎると嗤われるだろうが、そんなことばかり考えてしまっている。

社会人2年目が始まった。
忙しい部署であることは承知の上ではあったが、実際にその中に身を置くまで実感が湧かなかった。
いや、自分がもっと優秀ならばこれまで通り残業も無く仕事をこなせたのだろう。そんなことを言っても始まらないが。
むしろ1年目まではチュートリアルのようなものと割り切ることにした。

社会人2年目になっても相変わらず貯金は貯まらない。というか貯める気がないのかもしれない。
4月はほとんど遠出していないのだが、懐は暖かくなるどころか完全に冷え切っていた。
何故金欠であるか理由は明白だったが、推しに使うお金は生きていく上で必要不可欠な費用なのでそれを削るという選択肢は存在しない。
言うなれば家賃や光熱費と同義である。オタクはみんなそうだろ?(決めつけ)

とは言いつつも、流石に2年目にして貯金がほとんどないというのは危惧すべき状況だ。
なので今年の目標は(といってももう3分の1が終わってしまったが)毎月数千円でも貯金をすることにした。
将来露頭に迷わない程度の貯金は残しておきたいものだ。


友人から勧められた村上春樹の「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」を読んだ。
村上作品にはずっと興味を抱いていたが、なかなか手を出せずにいたのでこれはいい機会だと思い読み始めた。

軒並みな感想ではあるが、非常に面白かった。
上下2巻のなかなかにボリューミーな物語だが、それを感じさせないほどスラスラと読み進めることができた。
ネタバレは避けるが、まず情景を思い浮かばせる描写力が凄まじかった。まるで作中世界に入り込んでしまったような感覚に陥った。
物事の考え方、捉え方そして人生哲学にも通じるような、自分の胸に刺さる表現も数多あった。
こんな薄っぺらい感想しか言えないのが残念だが、天才作家といわれる所以が理解できた気がする。

次は王道に1Q84あたりでも読んでみようかと思う。







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