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【人形】球体関節人形と私

球体関節人形』というものを初めて知ったのは中学生の時。
地元の図書館。
惹かれるように手に取った小説の表紙が、作家さんの創作人形でした。
それまでの私にあったお人形というのは、リカちゃんジェニーちゃんバービーなどのファッションドール。
そして、小学生の時にハマっていたシルバニアファミリー。 
首を振りながらオルゴールが鳴る人形、寝かせると瞼が閉じ、起こすと瞼が開く人形。田舎なのもあって、雛人形や、ガラスのケースに入った衣装人形も身近ではありました。


正直、当時あまり人形やぬいぐるみの類は得意では無かった方です。
そんな中で出会った球体関節人形は、遊ぶためのものというより完全な美術品に見えました。関節の部分が球になっている、大きく、生々しく、精巧な人形。今まで見てきた人形のどれとも違う存在。
ともかく、美術品=自分の手元には来ないもの、写真で見るもの、そういう遠い存在として当時は認識していたと思います。


そんなうっすらとした認識でいた球体関節人形ですが、ゴシック系のファッションや音楽に傾倒していった学生時代。眺めていた雑誌には、そこはかとなく球体関節人形の写真が掲載されており、何かと目にする機会は多かったです。


とはいえキャストドールのキの字も知らず……その頃はどっちかというと歴史関係に夢中でした。 が、その歴史関係でキャラクタードールを作られている方がいらっしゃったのです。
それでようやく「このほっそりして大きなお人形は何者?!」となったわけです。初めてキャストドールを認識した瞬間でした。そしてネット検索してたどり着いたのがSDではなく海外ドールです。


丁度D.O.Dさんというドールメーカーが全盛期だった頃じゃないかなと思います。
初めて見た70cm級の大きなお人形に「こんなモデルみたいなお人形さんがいるのか!」と正にカルチャーショックめいたものを感じました。
そして、 検索していくと色々なメーカーさんが有るらしいという事も解りました。 しかしどこも海外なのでだいたいが英語……やはりとても簡単に買えるものだとは思いませんでした。


そこでようやく日本の企業、ボークスさんのSDにたどり着くのですが、日本語だけど購入方法が独特すぎてさっぱり理解できず……。 ともかく海外にしても国内にしてもお人形は学生の私にはとても高額でしたので、本の表紙を飾っていた創作人形よりは手が届きやすそうという事は認識しつつも、その時は諦めてしまいました。 そしてそこから数年が経過……その間に結構色んな人生のイベントが起こり、お人形の事はすぱっと忘れておりました。


お人形の事を思い出したのは、社会人になって暫く経ち身の回りが色々落ち着いた頃。 その頃は特別な趣味というものがほぼ無くて、ふと「そういえばお人形って今どんなのがでているのかな?」と思いネットを検索。
学生の時とは違い金銭的な問題はクリアしていたため、もうすでにかなり「お迎えしようと思えば出来るのではないかな?」という気になっていました。仕事以外で何かに打ち込みたいという気持ちも強かったのかもしれません。


この頃はもう代理店さんもあれば個人輸入の仕方なども検索すればすぐに見つかり、以前とは違いドールオーナーさんのBlogも活発に運営されておりました。
そんな時に見つけて、かなり気持ちが傾いたのがRingdollさんの当時の限定Armandくんという吸血鬼のお人形です。しかしあまりにもお迎えしている人が少なくて、どうしても踏ん切りがつかず……。


はっきりしないままでいたある日、CrobidollさんからハロウィンLimitedでZack The Ripperというお人形が発表されました。
もうこのときの衝撃たるや……「このお人形だ!」と思いました。 しかし限定故に輪をかけて買い方が解らないのに加え、殆ど一瞬で消えてしまいました…。 その後オークションサイトでZackを見つけ、初めて手を伸ばしたのですがタイミングが合わず、Zackが私の初めてのお人形になることはありませんでした。

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(↑CrobidollのZackは有難い事に数年後にお迎えが叶いました^^)

また少し時が経ち、同じくCrobidollさんからDay Dream Lance 2ndが発表されて、この子をお迎えしようかなぁ〜とぼんやりと考えていた頃……オークションサイトでSoft White Lanceに出会いました。 Crobiさんの公式サイトで事前にお洋服を買ってみたりなどして個人輸入の練習もし、準備を進めていた所でのひょんな出会い。
Crobidoll(現BJD CROBI)の一番最初の限定ドールがSoft White Lanceです。
メイクのタイプが二種類あり、彼はぽやんとしたA-typeメイクの子でした。
Zackに出会った時のようなビビっとしたものを感じたかというと、そういう激しいものではなくて、なんでしょう……気がついたら導かれるように手をのばしていました。


そして彼は今までの紆余曲折は一体なんだったんだ? と思う程なんの障害もなく、すすすっと我が家に来てくれる事になったのです。
どちらかといえばキリッとしたお人形ばかり見ていたので、彼のようなほわんとしたお顔の子にあの時何を感じたのか……それはもうあんまり思い出せません。
ただ、家に来て箱を開けて、白い肌と可愛いお顔を目にした時のえもいえぬ感動と嬉しさだけは今でもはっきりと覚えております。
彼と初めましてした時の感覚、初めて球体関節人形に触れた瞬間の感覚は、多分もう二度と味わえない。


2011年6月2日の事でした。

というわけで、この記事のヘッダーの画像は、ほぼほぼ当時お迎えしたばかりのミハルちゃんことCrobidoll Soft White Lanceの写真です。勿論コンデジ撮影。
よく考えると、私は実物のキャストドールを見る事なく、お迎えに至ったドールオーナーです。そんなの普通のことかもしれませんが、値段を考えるとなかなかに狂気の沙汰のような気もします。。
キャストドールをお迎えしたことで、今は中学生当時「絶対に手元に来ることはないだろう」と思っていた、創作人形にもご縁が繋がりました。
お人形の世界は、踏み込まなければ本当に解らない事だらけで、それ故に、とても興味深い世界だなと……まだまだ色々と覗いて見たい世界だなと思っております。

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