俳句バトル五月大会のお気に入りの句の鑑賞文を書いてみた

はじめまして、ギルと申します。プレバトから興味を持って俳句を気ままにやってます。

俳句バトル五月大会の中から、自分の好みの句の鑑賞文を書かせていただきました。
作者の意図と異なる句の読みをしているかもしれませんがご了承ください。


=====予選大会の俳句=====

いかちゃんさん(@okapie1018)
・五月雨よ祖妣燃ゆそれはそれは燃ゆ
外では優しい五月雨が降っているが、今目の前には祖妣の眠っている棺がそれはそれはよく燃えている。
優しい五月雨は祖妣を燃やす炎を消してはくれないかというネガティブな感情とも、五月雨が祖妣をやさしく送ってくれているというポジティブな感情とも取れる非常に奥深い句です。

西川火尖さん(@nishikawaksn17)
・五月雨の船を容れたる遊園地
「五月雨の船」と言われればほとんどの人が海に浮かんでいる船を想像しますが、その後に「遊園地」と出てくるのでその船がアトラクションの船ということが分かります。
五月雨という季語の印象から、私はこの遊園地は廃園となっていて、五月雨が色あせた船のアトラクションにしずかに降っている様子を想像しました。この句が今回の俳バトの中で一番のお気に入りです。

Q&Aさん(@QA79084458) 
・〇〇の乱を復習える夏の夜
壬申の乱、承久の乱、応仁の乱、、、日本史には似たような〇〇の乱という戦の名前がたくさん出てきて、恥ずかしいことに私はもうほとんど覚えていません。
そんな〇〇の乱を必死に覚えようとしている受験生や夏のむしむしとした短いが濃い夜がありありと想像できます。

山田すずめさん(@suzume12312)
・コーラ瓶ころん内乱終結日
人の生死が軽視されてしまう戦争・内乱の世界にもコーラ瓶は存在します。そんな当たり前なことでもこうやって俳句にして出されると読んだ我々はハッとしてしまいます。
そして、今自分の前にあるコーラにさえも終戦や反戦の願いを込められるのが俳句という文学の素晴らしいところです。

山田すずめさん(@suzume12312)
・前世では道化師 くるり粽解く
粽をくるくると解いているわたしの前世は道化師なのではないかという視点と発想が面白い一句。
私は作者の前世というより、くるくる解かれる粽の前世が道化師なのではないかと読むとさらに面白いのではと思ってしまいます。

いかちゃんさん(@okapie1018)
・子ゴリラに胸板ゴールデンウィーク
小さな子供のゴリラにも、人間ではありえないような立派な胸板があることに気づく、そんな小さな発見のあるゴールデンウィークを過ごしているいかちゃんさんがうらやましく思えてしまいます。
ゴリラの銀がかった黒色の毛並と季語のゴールドの色合いの対比も素晴らしいです。

高林やもりさん(@yamori_819)
・蝙蝠に「邪魔」と言われた気がしてて
蝙蝠の羽ばたく様子をYouTubeで見てみましたが、その羽ばたきは鳥と比べるとすごく激しく自己主張が強いようにも見えました。
こんな蝙蝠に横切られたら『「邪魔」と言われた気がして』しまうのも納得です。

朝月沙都子さん(@haiku_asatsuki)
・かはほりはひろひろ天はゼリー質
鳥とは違う独特な羽ばたきで飛んでる蝙蝠の様子を「ひろひろ」と表現し、空はゼリーのように柔らかいがゆえにそのように飛んでいるのだ。というかなり飛躍した比喩ですが、一読した瞬間ものすごく納得してしまいこの句が頭から離れません。

西川火尖さん(@nishikawaksn17)
・少し浮き母船のごとき石鹸玉
シャボン玉の中にひとつ目立つように浮いてるものが母船である。そう言われると途端にシャボン玉が近未来の宇宙船のように思えて、今自分がいるシャボン玉に囲まれたこの空間が宇宙のようにも思えていって想像がとても膨らんでいってしまいます。

神野光流さん(@kouno_sousakuha)
・この町の電柱多し狸汁
電柱がたくさんあるような町というと少し猥雑な印象も受けますが、今や電柱が少ない町などはほとんどないでしょう。
空に電柱が少なかった昔を思い出しつつ作者は近代化してしまった町で昔と同じ狸汁を飲んでいるのでしょう。


=====決勝大会の俳句=====

山田すずめさん(@suzume12312)
・薫風や洗車の水の粒光る
薫風という季語には風の他にも、後ろには新緑が生い茂る様子も想像できる季語だと思っていますが、この句はそんな生命力にあふれています。洗車した車の美しさ、その水の粒の美しさ、洗車する人の美しさ、薫風の美しさ、背景に感じ取れる新緑の美しさをすべてまとめてひとつの光景にパッキングされている洗練されつくした句だと思います、まったくもって完敗です。。

Moro☆さん(@Moro13248311)
・待ち伏せに俄雨あり白牡丹
この句を見て戦国時代のことだと思って読みました。大事な作戦を成功させるために息を潜めて待つ足軽ににわか雨が降る。そんな場所に静かに咲く白牡丹だけがこの景色に鮮やかに映えている様子が目に浮かびます。

藤雪陽さん(@MiMiZunakuYoRu)
・ロボットに職を奪はれ更衣
AIなどの人工知能の台頭により、2,30年後には人間の仕事の半分がロボットに取って代わられる世の中。アンドロイドが人間と同じ見た目でアンドロイドが人間と対等の立場を得るために奔走するゲームのことも思い出しました。人間はこの新しい社会を生き抜くために、考え方という衣を脱ぐ必要がありそうですね。

山田すずめさん(@suzume12312)
・かうもりが牛若丸にくちづけす
俺は山田すずめさんの句が好きなんだなと今回の俳バトでまざまざと実感しました。。。牛若丸は夜の五条橋にて弁慶と対峙し、弁慶の攻撃をひらりと躱し、疲れ果てた弁慶の脛を攻撃し倒した話が有名です。そんな夜の身軽な牛若丸に口付けできるのは蝙蝠しかいないのではないかと、この句を見てそんな気持ちになりました。

広瀬 康さん(@hirose_kou7)
・白猫の灰猫となる木下闇
木下闇という季語は夏の季語だが暑さを感じるようなものではなく、すこし鬱蒼としていて物寂しさも思わせるものです。そんな季語の現場の中で、白色の猫の毛が影で灰色になっちゃった!なんて可愛らしい発見ができる作者を羨ましく感じてしまいます。

乱筆乱文ですが読んでいただきありがとうございました。

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