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Roots

二十歳くらいの頃、初めて遠距離の一人旅に行きました。行き先は京都でした。どこに泊まるか迷っていた時、当時通っていた専門学校の友人に“ゲストハウス”を教えてもらいました。
そのとき、生まれて初めて“ドミトリー”を利用することになりました。

同室になった年下の男の子達が、“もし彼女ができてセックスすることになったらどんな体位でするか”という話を夜中までしていたので、聞き耳を立てながらもアニキっぽい優しい口調で「そろそろ寝ろよ。」などと偉そうに嗜めたのを覚えています。自分もまだ童貞だったくせに。

そのとき泊まったゲストハウスは、飾り気もなくスタッフも業務的で、残念ながら全然魅力的だった記憶はありません。でも、そんなドミトリーでの思い出が、他の場所では味わえないゲストハウスならではの体験だったんだと思います。

数年後、奄美大島に行った時もやはりゲストハウスに泊まりました。
海が目の前に広がるコテージタイプの宿で、気さくなお母さんが夕食に猪鍋を出してくれたのを覚えています。
夜、一人で砂浜へ出てみたけど、残念ながら曇っていたので期待していたような夜空は見られませんでした。それでも、波の音しか聞こえない目の前の海を独り占めしているような気分でした。
次の日の朝、チェックアウトギリギリまで寝ていた僕を、外から大きな声で何度も起こしに来たお母さん。申し訳なさを感じつつも、アットホームなその感じにほっこりしてしまいました。

それからさらに数年後、東京での仕事を辞め、ついに初めての海外一人旅へ。

友人に教えてもらった通り、芯を抜いて潰したトイレットペーパー、折り畳めるアウトドア用バケツ、ジップロックの袋に洗濯洗剤、水泳用の絞って使うタオルなどを詰め込み、パンパンになったバックパックに鍵をかける。その作業がなんとも楽しかったです。

海外最初の都市は中国・西安。一泊目はあらかじめ予約したホテル、そして二日目に近くのゲストハウスに移動しました。
立派な門構えの、歴史ある建築物をそのまま改装したかのような雰囲気のゲストハウスでした。そのゲストハウスにいた時に、常に持ち歩いてたポシェットの中から封筒が見つかり、開けてみると、10,000円と「無事に帰ることを祈ります」と書かれた親からの手紙を見つけ、号泣したことも晒しておきます。

その後も中国国内で10箇所以上のゲストハウスに泊まりましたが、どこもとても立派で、中国らしさが色濃く残る建物や装飾品が使われていたり、お花や緑があふれるお庭、広々としたラウンジがあったりと、本当に魅力的な宿ばかりでした。

日中、観光はそそくさと切り上げ、夕方早々宿へと帰り、シャワーを浴び、半袖短パンサンダル姿でその日に知り合った様々な国籍の旅人とビール片手にダラダラ過ごす。まさに浮世離れしたように楽しかったです。

ラオスで知り合った日本人の友達とは、夕食を食べる約束をした時に、「何時にしよっか?」という答えに「夕日が沈む頃にしようか。」なんて、ちょっとドラマチックだけど、自由しかない自分たちにはぴったりだったことを覚えています。

たった半年足らずの旅でしたが、日常ではなかなか味わえない体験をたくさんしました。
そして、この旅の中で「ゲストハウスをやりたい」という思いが湧いてきたことをはっきりと覚えています。

この旅の中で泊まったような、肩の力を抜いて、いろんな人と出会い、旅の疲れが癒せるような、そんな場所にしたい。そんな場所でありたい。それがスズキゲストハウスのルーツです。

国内外問わず、一人旅となると少しハードルが高く感じる方も多いかもしれません。ですが、生きていれば1度や2度、人生の節目のようなタイミングで「旅」に出てみるのもいいものだと思います。
きっと、それまでに味わったことがないような、貴重で特別な体験になると思います。

その際はぜひ、ゲストハウスを利用してみてください。特別な思い出作りのお手伝いが、きっとできると思います。

あともう少し頑張れば、コロナ以前のような自由に旅ができる世界に戻れるはずです。
その時は日本各地のゲストハウスが、皆様をお待ちしています。

京都市 スズキゲストハウス 鈴木健朗

自己紹介:京都の二条城近くの”スズキゲストハウス”オーナーです。もともと外国人の割合が9割のドミトリータイプのゲストハウスですが、このコロナ禍で、1日1組限定のペット同宿OKの宿として運営しています!
http://suzukiguesthouse.com/

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あなたも旅の思い出を投稿して懸賞を当てませんか?
6/21~8/31まで原稿募集中!
投稿方法はこちらのリンクをどうぞ
https://note.com/gh_omoide_note/n/n35bf8e1d3a41

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参加要項はこちらのリンクをどうぞ
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