ふと、理想に近いのかもしれないと思ったホステル
(この記事はご応募頂いた nico さんのnoteから転載させて頂きました。)
「なんかさあ、デジタルが普及しすぎてる今、逆にアナログが必要やと思わへん?」
先日の友人との連絡のひとコマ。
さて、深い話になってきたぞ、という瞬間。
ここで言うデジタルって、機器のことではなく生活のことを指している。
地域全体で支え合って生きていた時代が確かにあった。
余りものやお古を譲り合ったり、子どもを親戚家族みんなで面倒みたり、近所のひとまで巻き込んで食事をしたり。
昨今、様々なサービスが出てきて、うまく使えばとても便利だ。
例えば、24時間〇〇サービスや宅配サービスなんかが挙げられる。
けれど逆にそれらのサービスは、便利になればなるほど、ひとりで過ごすひと、ひとりで抱え込むひとを増やしてしまった気がする。
「こういうサービスを使えば、自分ひとりでもなんとかなるんじゃないか」
と、背負い込んでしまうひとを。
そこで友人と、
「なんかあえて昔の暮らしみたいな、みんなが時間を共有できる場所ってつくれへんかな。
あ、部室みたいなさ、フラッと自由に出入りできる場所みたいな。」
という話になった。
「孤独」
これにはいろんな種類があると思っていて、
家族が欲しくても作れないひと、
家族はいらないけどプライベートでの交流がほしいひと、
頼れるひとがいなくてひとりで子育てしているひと、
気の合う友達がいなくてひとりのひと、
仕事が忙しくてひとりのひと、…
そんなひとたちの、家族ではないけど家族みたいな場所。
ひとりの空間や時間もあって、でもみんながすぐ側にいるという安心感。
こんな場所をつくれたらなあと、ふと思ったんだ。
***
先月、人生で初めてホステルに行った。
京都のNINI ROOMというところだ。
以前からインスタグラムでチェックしていて、どうしても気になってようやく行くことができた。
結論から言うと、このNINI ROOM、私たちが先ほど語り合った思いに限りなく近いものだった。
1階がカフェスペースになっていて、24時間利用可能。
キッチンも、ひとこと伝えれば自由に使っていいとのこと。
2,3階が宿泊部屋になっていて、個室・共有部屋のどちらもある。
長期滞在も歓迎していて、常連のゲストもいるようだ。
私は1泊しかできなかったけど、1日でもわかった。
朝からひとりひとりが思うように過ごしていて、昼過ぎになると近所のひとがフラッと集まってくる。
子ども連れのママもいれば、ご年配のひともいる。
いつの間にか賑やかになっているけど、いつの間にかみんな帰っている。
でも寂しさはみじんも残っていなくて、あたたかい空気感が余韻として残されている。
すごいなあ。
いい人間関係だなあ。
干渉しすぎず、でもあたたかくて。
誰かがいて。
家族じゃない、でも単純な友達とも違う。
助け合い、なのかもわからないけど、なぜか繋がっている雰囲気がわかる。
NINI ROOMに行ったときは友人と語り合った内容についてまで考えていなかったけど、今、ふとそう考えさせてくれたホステル。
行ったときばかりでなく、あとから思い起こす記憶が意味を成してくれたホステル。
後味を残してくれてありがとう。
なにか行動したくなったよ。
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