ゴロウ

むか〜しむかし、あるところに

おじいさんとおばあさんがいました。

 

そこには1匹、犬のゴロウも暮らしていました。


「おばあさん、今日も洗たくしてくれてありがとう。」

おじいさんが言います。

「いえいえおじいさん、わたしこそいつもイノシシ狩り、ご苦労さまです。

おばあさんも、ありがとうを伝えます。



村の人は言います。
「おじいさんとおばあさんはとっても仲良し」
「ゴロウも飼われて、さぞかし幸せだろうな」

おじいさんとおばあさんは、村で有名なおしどり夫婦でした。

「おばあさん、ゴロウの散歩にいってくるよ」
おじいさんが言います。

「気をつけていってらっしゃいませ」
おばあさんが言います。


おじいさんとゴロウは散歩に行きました。


「今日は暑いなゴロウ」
「散歩は楽しいかゴロウ」
「朝の散歩は気持ちがいいなぁ」

おじいさんは散歩中、ゴロウに話しかけます。

「ワンワン」
ゴロウは、おじいさんと話しているかのように吠えるのです。

散歩から帰ると、おばあさんは朝ごはんをつくっていました。

「ただいま」
おじいさんは言いました。

「おかえり」
おばあさんは言いました。

そして温かいごはんに、みそ汁、たくあんに、焼き魚がテーブルに並べられました。

「おばあさんのおいしいご飯を毎日食べられるなんて幸せだなぁ」

おじいさんは嬉しそうに言います。

「おじちさんが美味しそうに食べてくれるから作るのが楽しいんです。」

おばあさんも笑顔で答えます。


そんなおじいさんとおばあさんを見て、ゴロウもなんだか幸せそうです。

次の日も、おじいさんは散歩に出かけました。

おじいさんは、ゴロウに話しかけます。

「ゴロウにしか話せないんじゃがなぁ、実はワシ、おばあさんの他に、恋人かのようなオナゴがいるのじゃ。」

ゴロウは吠えます。

「ワンワン」

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