正社員塾講師からフリーランスの塾講師になった理由と良し悪し

高校2年生の時に決めた私の人生の目標は

「塾講師かお笑い芸人になる」

だった。現在、どっちも叶っているので、今やもう余生に過ぎないのだが、何やかんや楽しく暮らしてるのでもうちょっとダラダラ生きようと思う。

大学に8年(※)通いつめ、見事「新卒」の称号を手に入れた私は、岐阜県のとある学習塾の正社員になった。(※もちろん通常は4年で卒業です。大学に留年しまくった頃の話はまた後日書こうと思います。)
でまぁ、4年ほど勤めてから、フリーの予備校講師になって今に至るのだけれども、あの頃と今を比べながら正社員塾講師の良し悪しをつらつらと書いてみようと思う。
(注:これはあくまで私個人の経験で、塾業界全体については断定できません。ただし、地方の学習塾が抱える問題みたいなものはそこまで大差無いのでは、とも思っているので参考になる部分はあるかと思います。)

<正社員塾講師のメリット>
①福利厚生・賞与の充実
フリーとの圧倒的な違いは結局ここにある。フリーになって、保険料やら住民税やらを払うたびに深いため息が出る。保険証もカッコいい青いカードで支給されるし。今やペラペラのハガキみたいな保険証が届くのでとても味気ない。あと、なんやかんやボーナスが出るのも嬉しかった。その都度「このご時世、ボーナスが出るのはありがたい事なんだ」というエラい人から謎の説教が入ることを除いては。

②仲間の多さ
同期入社の、同じ校舎の先輩・後輩との関わりは何だかんだ癒しになる。フリーだと、全てのトラブルを自力で解決しなければならないので、トラブルが起きた時なんかはなかなかに困る。
授業そのものについても、当時先輩に研修してもらった事が今の教え方の基盤になっているのは間違いないし、後輩に研修をする側にまわった事で発見もたくさんあった。とても感謝している。(学生バイトだった講師を2年ほど研修して即戦力になってくれた子が同じ職場に来た時はなかなか感慨深いものがあった)

③生徒への思い入れ
私は高校生を教えていたが、高1から高3までずっと教えていた生徒もそれなりにいる。そうなると思い入れもひとしおで、仲の良い生徒も出てくる。そういった生徒が合格するとやはり嬉しい。今現在は、授業をするだけなので気にかけていた生徒がどこに合格したのかもわからないケースも結構ある。仕方ないが若干寂しかったりもする。今はSNSでその後が知れたりもするので便利。

まぁそんな所だろうか。ひとまず会社員になり、社会について少しでも体験できた事は自分の人生にとって良かったと思っている。安定ってやっぱ大事だし、尊敬できる上司も居た。人に恵まれたのは運が良かった。

<正社員塾講師のデメリット>
①夜がとにかく遅い
地方の塾は現役生を相手にしているので、塾の授業は放課後に行われる。ってことは必然的に授業が終わるのが夜22時ごろ、でそこから校舎の片付けやら反省会的なものや翌日の課題やらをやっていると24時を回る事なんかザラにある。塾講師は離職率の高い職業であるイメージが強いが、やはりこの辺の時間感覚のズレは大きなマイナスだろう。かくいう私もこの生活がイヤで転職した部分もある。

②最終的に校舎運営を任せられる
地方の塾は地域密着型なので校舎は小規模なものが各地に点在している。という事は校舎の数だけ責任者が必要で、キャリアを積んでいくと最終的にメインの仕事は授業よりも校舎運営の方に比重がかかっていく。もちろん、出世ってそういうものと言ってしまえばそれまでだが、これがなかなかにストレスだった。こっちは授業やりたくて就職して、一生懸命授業力を鍛えているのに、偉くなればなるほど授業できなくなる、授業準備に充てる時間が減っていく。何というか、出世の階段が1種類しかない事にモチベーションが保てなかった。

③上司を選べない
校舎単位で動く事が多いので、その校舎の上司とウマが合わないとはっきり言って地獄である。そして困った事に、塾業界は変わり者が多いときた。私が最初にお世話になった上司は大変な人格者で尊敬する人物の1人であるが、中には尊敬できない人もいた。そんな嫌な上司の話を聞くたびに、いずれその上司のもとで働かなければならないという怯えは、私を転職させるのに十分な理由だった。だって、毎日深夜3時まで残されてたら頭オカシクなるって。
フリーの講師はその分、非常に気楽である。予備校講師は輪をかけて変わり者の集まりでもあるが、そんなに密接に関わるわけではないので良しとしよう。


とりあえず、以上である。何よりフリーになった最大の理由は「名古屋に住んでお笑いやりたい!」だったので今は叶ってウッハウハな日々を送っている。楽しいぜ、人生。

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