M蛋白血症
総論
形質細胞由来の免疫グロブリンはHeavy chain(H鎖)とLight chain(L鎖)の2つから構成される。
H鎖:IgG,IgA, IgM, IgD, IgEの5種類
L鎖:κ鎖、λ鎖の2種類。
これらが組み合わさることで免疫グロブリンを構成。
このうちある一種類の免疫グロブリンが異常に産生されたものをM蛋白(M-protein)という。
M蛋白血症を捉える方法
免疫電気泳動(IEP: immuno electropheresis)、免疫固定法(IFE: immunofixation electropheresis)が挙げられ、後者の免疫固定法の方がより有用。
尿中免疫固定法、FLC(free light chain)の同定、κ/λ比などがM蛋白血症の診断に有用。
free light chain(FLC)比:FLC比<0.26でλ鎖が過剰 >1.65でκ鎖が過剰
疑う所見
・貧血、蛋白アルブミン解離、A/G比低下
ベンスジョーンズ蛋白(BJP)
M蛋白の一種で、免疫グロブリンの軽鎖だけがモノクローナルに増殖したもの。
BJPは低分子のため糸球体でろ過されて尿中に排出される。そのため血中濃度が低く、蛋白電気泳動で検出されにくい。
健常者では近位尿細管で再吸収されるため、尿中にはほぼ検出されない。
糸球体や尿細管に障害を与えるおそれがあり、その検出は非常に重要。
➡尿蛋白分画(UPEP):BJPが尿で検出されやすい!
M蛋白を認める疾患
「腫瘍細胞の量」と「悪さ(臓器障害)しているか」で分類
臓器障害はCRABで評価!
Calcium:補正Ca>11.5mg/dL
Renal failure:Cr>2mg/dL, eGFR<40)
Anemia:貧血 正球性貧血でHb<10g/dL
Bone:骨病変、骨融解、病的骨折
MGUS→(1%/年)→くすぶり型骨髄腫→(10%/年(5年間))→多発性骨髄腫と時間的に推移
IgMのM蛋白が検出された場合は
原発性マクログロブリン血症、B細胞性リンパ腫、寒冷凝集症、ウイルス感染症、マイコプラズマ感染といった疾患の頻度が高くなる