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「ありがとう」そして「さようなら」

みなさん、こんばんは。さっかです。

昨日、ちょっと用事で、珍しく車で出かけていました。わたしは助手席にいたのですが、田舎道を走っていたら、突如、白くて大きな病院の建物が、池の向こうにお日様に照らされて輝きながら現れたのを見て、ちょっと驚きました。田舎道にそぐわなかったのと、どこを走っているかわかっておらず、まったく予期していなかったためです。その病院は、この地域で一番大きな総合病院です。叔母のことを思い出しました。

叔母は、この何年か調子が良くなくて、入退院を繰り返しています。COVID19が流行する前にも、その総合病院に入院していて、一番最上階にいました。何回かお見舞いに行ったのですが、叔母の弟で、わたしにとっての叔父も、いつも一緒でした。

読書好きの彼女のために本を持って行ったり、話しをしたり、写真を一緒に撮って、遠くの北の地に暮らす叔母の一人息子の従兄弟に送ったりしました。田舎の高いビルの最上階からは、町が一望でき、その向こうに海も見えました。景色が良いね、特等席だね、と、3人で笑いながら話したこともあります。そんなことを、白い建物が現れたとたん、一瞬にして思い出しました。まるで、思い出のときに瞬間移動して、あたかもそこに自分がいるかのように。

その次の瞬間に、今、叔母は別の病院に入っていてあまり状態が良くないこと、お正月にも退院できそうにないこと。そして、叔父は遠いところに引っ越しており、もう先が長くないと言われている死病にかかっていること。その現実を思い出しました。

コトリと胸の中で音がして、痛みました。

病院の白い壁の輝きに劣らないほど、わたしの記憶の中の叔父と叔母の笑顔は優しくて、輝いていて、鮮明で、まるで今も一緒にそこにいるかのようなのに、わたしは最上階ではなく、病院の裏手の地面の上を車で走っている。そして、叔父も叔母ももう最上階にはいない。二人がこの世を去るのもそれほど先のことではないだろう。

すべてが慌ただしく変わっている。そして、こらからもいろいろなことが急激に変わってゆくのだろう。

そう、窓の外を流れる景色を見ながら、思いました。

わたしたちは、変化の中を生きています。COVID19の流行で世の中は一変しました。次々に戦争が勃発し、気候もどんどん良くないほうへと変化しています。

占星術上でも大きな変化のときです。変化の中を生きる、とは、これまであったものが消えてゆく中を生きている、さようならの中を生きている、とも言えます。これまでの常識が消えていったり、命が消えていったり、それまであった建物がなくなったり、町の姿が一変してしまったり・・。それだけでなく、これまでの何千年もの長い時代のあり方も変わってゆきます。

いずれ、消えた後には新しい常識や、新しい命や、新しい建物や、新しい町が生まれてくるのですが、それでも、なにかを失うことは、人の心に負荷をかけます。悲しみ、寂しさ、ときには怒り、そして、喪失感や不安。

わたしたちは、なにかを失うたびに、ひとつひとつに、うずく胸に手を当てて「ありがとう」と「さようなら」を言わなくてはなりません。

胸の痛みが癒えるまで、呼吸をしながらそっと撫で続けることが大切です。

手離してはならない古き良きものと、捨てなくてはならないものを見分けるためにも、胸の痛みを知らん顔してはいけません。新しい時代に入ってゆくには、わたしたちのこころと体が、悲しみや痛みに打ちのめされたままでは、前に進めません。でも、多くの人が、胸の痛みを意識できなかったり、痛みを感じても対処法がわからなかったり、悲しむこと自体を否定したりします。ちゃんと、痛む胸に手を当ててあげましょう。

わたしたちが入って行っている、みずがめ座の時代の影の部分には、目まぐるしい変化の中で、感情が置き去りにされ、精神やこころを病んでしまう人が出てくる、という面があります。感情の声に耳をかさなくなったら危険信号です。

来年に入り、世の中はまたスピードを上げて変化してゆくことでしょう。え・・まだこれから変わってゆくの?もっと早く?と、思う人もいるでしょう。けれど、まだ序の口です。2024年は、年号が変わって1月早々から、何かがど~んと来ることも、星に現れています。そんな2024年は、本格的にスピードが速くなる2025年への助走のときでもあります。

こころを大切に、愛を大切に、小さなことから大きなことまで、失うたびに、ちゃんと胸の痛みに耳を傾け、胸に手を当て、ゆっくり呼吸をして、ありがとう、と、さようなら、を、言うようにしましょう。

時代の犠牲者になったり、ただため息交じりに新しい時代を受け入れるのではなく、自分の明日を作ってゆくためにも。愛を見失わないためにも。

わたしも、叔父と叔母と子供のころから一緒に過ごした時間に感謝し、思い出の時間に、さようなら、を言いながら、疼く胸に手を当てました。そして、涙を流しました。これからの、二人との間に残された時間を、大切にするためにも。

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写真・文 by さっか








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