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NiziUは妄想の器だ。

妄想は、すべて、写真を描写しようとしたもの。彼女たちから溢れて画面を満たす何かは、「比喩」程度では捉えられず、言葉を暴走させるしかなかった結果。試みはついに虚しかったかも知れないけど。
(目次とは逆に、新しいものが上に来ます)

目次

  1. 初めに

  2. RIMA・MIIHI・NINA

  3. RIMA

  4. MAYA

  5. 彩花

  6. ミイヒ

  7. AYAKA・MIIHI・NINA

  8. NINA・MIIHI・RIKU・AYAKA


8 NINA・MIIHI・RIKU・AYAKA

惑星キナでは、ちょうど地球のローマのような文明が展開している。皇帝は名誉職に後退し、実権は12人の評議員からなる元老院にある。2年前、史上最年少で元老院評議員となった、ニナ・パスチャランド。

物理と魔法が重なる惑星キナでは、全惑星民は、皇帝を頂点とする世俗的ヒエラルキーと、魔力を基準とし、首座Magic Majesticを頂点とする宗教的カーストの双方に、二重に属している。これも2年前、長らく空位だったMagic Majestic位に100年振りに就任したのが、当時わずか16歳のシャーマン、ミイヒ・ベルフィールド。

キナは恒星マコンニを中心とするマコンニ系の惑星だが、実は、それと同じ公転軌道を180度離れた位置に、惑星リチュが存在している。2年前、リチュ歴R2020年に、クーデターによって、同星の支配者となったのが、総統=リク・スペイシャスコーヴである。そしてリクは、魔法に拮抗する科学技術を盾に、キナ侵攻と二重惑星統一を目論んでいる。

惑星キナは内部にも危機を孕んでいた。政体の動揺である。皇帝権力の形骸化は、地球の歴史上でも珍しいことではないが、魔法国家キナにあってその最大の原因は、王家の血筋で魔力が衰退していったことだった。ところが、これまた2年前、王女が覚醒し、Magic Majesticに匹敵するほどの魔力を発現するに至った。権力闘争とは無縁の花園に育ったアヤカ・ベネ・ノヴス。その穏やかな笑みの下、どんな野望を隠しているのか。


7 AYAKA・MIIHI・NINA

迷いの森の奥深く、そこだけ開けた場所に一軒の家があって、姉妹が三人だけで住んでいた。AYAKAは木々と、NINAは動物たちと、そしてMIIHIは人間と、話すことができた。もちろん、この子たちは人間ではない。


6 ミイヒ

ハンガリー辺りの童話の村娘のような恰好のミイヒ。だが、決して素朴な村娘ではない。
もともと、一筋縄では行かない、相反する要素の衝突が生む複雑さのオーラを漂わせる子。しかし、これは、一見の素朴さと可憐さの下に、女性の最も不穏当な属性さえ覗くようだ。人類の呪いとなる運命をその美しさに込められて生み出された最初の女性、パンドラの魂が、清らかな少女の魂に重なって転生したよう。決して、この少女について森へ入ってはならないと、本能が怖気づく。


5 彩花

 これは妄想ではない。十代・二十代の私は、しばしば、長く鮮明な夢を見た。中学一年、まだ『夢十夜』も知らない頃、一輪の花の夢を見た。夢の中の我が家は、開け放した和室についた縁側の下に、十坪ほどの庭があった。庭木も花壇もなく、だけど剥き出しの土の印象もなく、部屋よりも一段暗い映像とともに、「庭」の意味だけをもって広がっていた。
 その庭のどこかに、しかし、確かに、花は咲いていた。花は、私にだけ見え、私だけが花に水をやった。そして、花は、私とだけ話すことができた。私と花は、言葉によらない思いのやり取りを重ねた。もちろん他の者に花は見えない。いつ踏みにじられるか知れない。かといって、花と心を通わしているなどと打ち明けるわけにはいかないことは、夢の中でもわかった。目覚める直前、花は自分が守るのだという切ない決意を固めた。そして目覚めたとき、私は花に恋をしていた。目覚めても、誰にも言ってはならないように思った。二度と会えない花への想いを二週間くらいは抱えていたと思う。
 この彩花を見て、その花を思い出した。


4 MAYA

毎月8日の夜、正しい経路をとって、正しい歩数で、20時きっかりにその角を曲がると、紫の壁に囲まれた袋小路が現れ、そこに、MAYAはいる。

「ほんとうに、治していいのね。」
頷くと、あなたの心の傷が一つ消える。

だが、あなたは気づいていない。その瞬間、あなたが一つ歳を取ったこと、その「生きられなかった一年」がMAYAの記憶に残ったこと。
そして、壁の紫が、ほんの少し濃くなったこと。


3 RIMA

2年前にこの世界と分岐した並行宇宙のブダペストに、女たちが集う館がある。訪れた客は、酒を飲み、女たちの一人と会話をし、認められれば、人生を変える情報を一つ受け取る。18歳にしてそこのママを務めるRIMA。
「で、あなたは何を差し出せるのかしら?」


2 RIMA・MIIHI・NINA

路地裏。しかし、石畳の上に都市の繁栄から滲んだ疲弊と猥雑を乗せたヨーロッパの路地ではない。アジアの貧相な路地。いや、貧しいのではない。路地裏が持つ過剰をすべて取り除いた空疎な空間。そこに、この子たちから拡散した意味の粒子が展開している。

その空間の光も陰翳も色も熱も、意味あるものすべてを吸い寄せ・吸収して彼女たちが存在するかのよう。なるほど、中央の奇跡を成立させる源として、何もない背景の隅々まで意味が行き渡るからこそ、私たちの視線はこれらの写真に縫い留められてしまうのだろう。

コントラストではない。 背景は、光を引き立てる影の役割さえしていない。 空間が一切の自己主張を断念していることで、そこには彼女たちの存在の意味しかない。その意味の支配が、夾雑物による抵抗を受けないまま、画面全体に広がって、これらの見事さはある。


1人は、こちらの直後の運命への憐れみを、こちらの視線に乗せてくる。


1人は、こちらの視線を表面で止め、奥への侵入を拒む視線を返している。

1人は、こちらの視線を見ていない。
目の前のものの処理のし方を冷たく考えている。


1 初めに

MAKO 太陽/ソル
RIO 水星/メリクリウス
MAYA 金星/ウェヌス
RIKU 地球/テラ
AYAKA 火星/マルス
MAYUKA 木星/ユピテル
RIMA 土星/サトゥルヌス
MIIHI 天王星/ウラヌス
NINA 海王星/ネプトゥヌス
とりあえず並べてみれば、説明はいくらでもつけられる。
NiziUは妄想の器だ。


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