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ニナのこと。NiziUのこと。

ライブの喜びが続く、この素晴らしき現在の先の未来。

 3人とも甲乙丙つけ難いし、3人の総合として圧倒的だったことは承知の上で、Never Enoughは、その立ち位置どおり、ミイヒをセンターとする構成・演出だと思う。ミイヒはその大役を立派に果たし、一番印象に残ったのはミイヒだったという人が多いのではないかと思う。

 その点にまったく賛成しながら、もう一つ別の観点から、ポジティブな疑いを抱いている。ニナだ。
 やっとファンに披露できるあの舞台で、ニナが自らの歌に全力でないわけはない。しかし、それは、パワーのコントロールや歌声の制御を含めての全力ではなかったか。言い換えれば、あのNever Enoughでさえ、まだ、ニナの精一杯を引き出すのには不足だったのではないか、という疑いだ。私の素人目からすると、ニナは、ボーカル力というものの内、訓練ではどうしようもないところを、全てに近い状態でもっている気がする。あの曲を、ほぼその部分だけである程度こなせてしまうのではないか。その余裕のなかで、彼女は彼女だけの技術的な達成を念頭に置いて歌っていたのではないか。
 一方で、理屈はこう教える。その技術に関しては、まだ「未熟」のハズだと。誤解しないでいただきたい。私はポジティブなことを言おうとしている。素人の印象では、技術的な不足はわからないし、そこまでのディテールを記憶できていない。しかし、年齢と訓練の期間を考えれば、あの圧巻の状態でも、技術的には実はまだ雛で、訓練の余地はまだまだ多いだろう。その結論として言いたいのは、鳳となって雄飛する未来がまだ先に残されているということだ。

 そして、成長に関しては、実は、他のどのメンバーにも同様のことが言えるのだと気づく。ライブの興奮がようやく収まって、今回の成長の定量と、未来の見積もりに頭が向くようになった。年が明ければ、あの子たちの内面で、ライブとドームをやり通した経験のフィードバックが始まる。相変わらずひたむきな練習の、レベルと歩留まりが上がる。
 「誰も知らないNiziU」「新生NiziU」と言ったけど、次のカムバでは、それを超える成長を見ることになりそうだ。新しい興奮の種が日に日に育っている。


おまけ

 参考までに、ボーカルユニットについてのライブ直後の感想を載せておきます。興味のある方はお読みください。
 ニナだけ、Never Enoughのところじゃないのは、興奮した頭に既に、上の疑いが萌していたのかも知れません。

―そしてボーカルユニットの3人。
リク:いつもパワーと安定感を言われるリクは、最近は音色の繊細さを追ってるのではと思っていた。それは間違ってなかったと思うけど、メインボーカルの一角としてセンターステージに立つリクの歌声は、諸々全部含んで、パワフルでカラフルでエモーショナルだった。透明なふくらみはそのままに。NiziUの歌の可能性の大きな担い手だった。

ニナ:Mステとスッキリのニナの高音を褒めるいくつものを声を見ながら、違う、と思っていた。私の知ってるニナはこんなもんじゃないと。「ダンスの後半で」とかいう留保を必要とする子じゃないと。だが、この日、本物のニナは、「私の知ってるニナ」どころではなかった。CLAP CLAPの最後のハイトーンの伸びの後、もう一段上げたブーストを追加してダンスブレイクに移る演出は、会場中の空気を震わせるこの子のボーカルパワーがあって、あれ程の衝撃となった。

ミイヒ:ボーカルユニットのセンターはこの子だった。
ずっと思っていた。あの子たちが成長しないはずがない、それはミイヒもまたそうだと。nobodyがミイヒのベストのままのわけがないと。そして見せつけられた。1曲歌えば、いつでもあの日を超えられると。深く厚く響きながら空間に満ちるその歌声は、会場中の空気を陰翳深い色に染め上げ、私たちを物語の時間の中へさらって行くようだった。―

『8月13日 NiziU 初単独ライブ初日』より

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