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siroで卒業制度を採用する話

今日は会社の話を書いてみます。

siroのスタッフは自由度が高い

自由度が高いというと聞こえはいいですが、割とほったらかしにされるような仕組みになっています。

松山のところにクライアントから仕事の相談がきます。
「松山さーん、相談に乗ってほしいんですが!」
で、受けられそうな内容の場合、
「では引き受けましょう」
となります。

そうすると、松山としてはこの仕事は誰に頼もうかなと考えます。社内と社外のメンバーがいて、誰が適任か検討してみます。もしくは、「やりたいひとー!」とslackに流すこともあります。で、とにかく担当する人が決まります。

そしたら、あとは仕様や条件を伝えて、いつまでに作ってねと伝え、開発に取り掛かってもらいます。
「わからない時や行き詰まったら教えてね!」

あとは割と放置します。以前人から言われました
「松山さんの放置力は高いですよね」

新卒で入ってきた人にも教育なんて立派なことはやってられないので、タスクがなければ自分でググって勉強してもらって、仕事がきたら任せます。納期までに仕上がらないときや、クオリティが満たない場合は、松山チェックや社内のデバッグ工程で問題が発覚します。それで、間に合わない場合は松山やベテラン勢がサクッと直し、品質を担保します。最初はゴールまで自力でいけなくても、半年もこのスタイルでやってると、自分でゴールまで行けるようになります。

この方法で一応今のところなんとかなってはいます。伸びる人は超伸びるやり方だと思うのですが、やはり問題も見えてきました。

以下、問題が見えてきたポイントについて。

スキルセットをデザインする

松山の感覚としては、siroの仕事をやりたいタイプの人は割と独立心が強くて、そのうち独立してやっていきたい人とか、自分の思う通りにやりたい人なのかなーと思ってました(自分がそうだから)。なので、個人のスキルのラインナップは自分で考えてるだろうと思っていました。

自分はopenFrameworksの開発が好きだけどこのスキルは後数年で活かせなくなりそうだ。だから、新たにTouchDesignerを学んで、食いっぱぐれないようにしておこう。

※openFrameworksはそんな簡単に消えないと思いますが、例として

プログラミングはわかってきたけど、動きのある作品も作りたい。だからモーターも使えるようになりたい。今ならブラシレスモーターもいいかもしれない。ちょっと週末に触っておこう。

自分が会社に所属してたとき(ほとんどそんな期間は無いんだが)は上記のように考えていました。

が、実際スタッフの様子を眺めていると、スキルセットをデザインしようという意思がある人とない人がる。スキルの習得が遅い人もいるし、週末にスキルの習得ができない人もいる。

会社としては、会社のプロジェクトにコミットしてうまく稼働した人を評価するし、結果が出せる人を評価したいです。スキルが伸びない人は給与も増えないということになっちゃいます。厳しいがこれはしょうがない。。

念の為書いておくけど、スキルというのはプログラミング言語の種類とかに限らず、コミュニケーション能力とか企画力とか、マネジメント能力とか、何でもいいです。siroでは企画からデザイン、実装、保守までひろくやってるので、「やりたい」と言えばいろいろ試せる場なんです。

ここでの、問題というのは、自分の人生をデザインしていない、与えられるのを待ってしまう姿勢ではないかと思いました。これはどうしたらいいのか。会社としては、給与が上がりませんよという事実を伝えるぐらいしかできないように思っちゃうのですが、いい方法はないものかと。

4年卒業制度

建築家の青木淳さんの事務所では、初期の頃から「4年卒業制度」を採用されているということを本人から聞きました。僕がこの話を聞いたのは、MONGOOSE STUDIOをやってる頃なんで随分前です。

当時僕はMONGOOSE STUDIOのメンバーと長く仕事をしていくつもりで、法人化するかとか、なにか色んな未来の話をして盛り上がってる頃だったのですが、青木さんと話をしていたときに「MONGOOSEが解散したらどうするの?」みたいな話になって、「え!解散する予定はないですよっ」みたいな話をして、そのときに「4年卒業制度」の話を聞きました。

この記事を書くために改めて青木さんに連絡をとって確認しました。

「今でも卒業制度はあるんですか?」

今でも、基本は「4年で卒業」です。
やはり、「いつまでも」あるいは「いつまでかわからないけど」ではなく、有期であるという意識を持っていることで、働く方もしっかりしてくれるし、こちらもしっかりしなくては、という気持ちでいられます。

青木さんからの返信

あぁー、まさにこれです。siroに足りないのはこれ。

※ただし今では4年以上かかる仕事も増えてきたので4年で卒業できないケースも多くなってきたとのこと。

siroで採用する卒業制度

だいたい以下のようなイメージで、現在働いているスタッフと話をすすめています。

  • すでにスタッフとして働いている人については、卒業までの年数を自分で決めてもらいます。あと何年という形で。

  • 新規に採用する人にも卒業制度のことを伝え、現時点でのプランで卒業までの年数を決めてもらいます。

  • それぞれ、卒業までのマイルストーンを書いてもらいます。(1年目はこれをやり、2年目はこれをやり…4年目に独立します)

  • 基本1年ごとに給与の見直しと共に、各自のマイルストーンの確認をします。期間を延長したいとか、短くしたいとか、そういうことは随時報告してもらいます。

急に卒業制度と言っても困る人もいると思うので、都度相談可能ということにします。

シートに記載する

siro社では、BASSDRUMでも一緒になっているマニュファクチュアの泉田さんに会社のワークフロー改善のための協力を依頼しています。その一環でこの卒業制度導入に伴い、個人のビジョンシートみたいなものを作成することを泉田さんに提案してもらいました。それは良さそうということで、以下のような感じのフォーマットを作成してもらいました。(松山の例を公開!)

これをmiro上で展開していて、スタッフ全員のシートが見られる状態にしています。そして先日、泉田氏による1on1指導でシートの書き方はこうだよ
みたいなレクチャーも実施しました。

※このシートにはマイルストーンがないので、それも後日追加してもらいたいとリクエスト中です。

siroは独立していく人を雇用し、独立をサポートする

良いように言うと上記のような感じです。一緒に仕事していくうちに、siroには欠かせない存在だとか、お互いの波長みたいなものでずっと働いてほしいと思えば、こちらから改めて誘えばいいと思ってますし「絶対卒業制度」ではないです。絶対卒業制度はつまり世間で言うところの任期制だと思います。それとはちょっと違う。

逆にですが、通常だと退職するっていうのは「え〜!!」ってなる出来事だったりするわけです。だから、独立なり転職なりを頭に描いていてもそれを報告してくれず、あとちょっとでやめるぞと心を決めたところで退職届が渡されるという感じになると思います。でも、なんか不自然だなーって思うんですよね。雇う側だって計画して対処したいし、働く側だってそれを話すことがハードルになるのはなんかなって思います。

逆にですが、僕だって会社を畳んで別のことしたいって思うかもしれません。そういうのを急にスタッフに伝えて「あと2年で会社たたむから準備してね」って言われても困ると思います。つねにそれぞれの予定を共有することで、情報交換もできる。

なにより、卒業制度の「有限という感覚」によって甘えは消え、有意義な時間を過ごせるようになると思います。

このシステムに切り替えて数年後、こうだったよって話をまたいずれ報告したいと思います。

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