機動戦士ガンダム 兵器としてのボールに対する私論

 Zガンダムのコミック版を配信しているサイトがあったので読み始めた。
 まだ序盤でクワトロがMK-Ⅱを奪取してカミーユとブライトを連れてアーガマに帰ってきたあたり。
 MK-Ⅱの試乗を終えたクワトロがMK-Ⅱの装甲が堅いことについて、カミーユに持論を話すシーン。
 一年戦争で現れたガンダムが初めて装備した当たれば大破は免れないビーム兵器によって装甲の持つ防御力の価値は無くなったと。
 性能と戦闘力は別だからリック・ディアスの機動性の方が有効と言い切る。
 さすがは「当たらなければどうってこと無い」と言い切る人だけある。

 装甲の意味は減じたかもしれないが、それでもあるだけましじゃないかって存在を思い出した。
 1年戦争でのやられキャラであるボールの事を。

 棺桶と嫌われたり、ザクに蹴られて吹っ飛んだりとアニメではまるでいいシーンが無かったボールではあるけれど、言われるほど悪くなかったんじゃないか?と思う。
 ドズルが言った「戦争は数」を連邦が体現した存在であるし、全く戦えない機体ではない。

 ボールの武装は球状ボディの頂上に取り付けられた単装の砲だけだが、頭にこんなの載っけてたのかよって位のスペックと知った時ははぁ?となった。

 低反動キャノン砲で口径180mm!

 最も120mmだの90mmだのって設定もあるのだが、ファーストの設定って結構いい加減なんで、ここでは戦時急造品で載せられる砲はバラエティに富んでいたとしてもいいかもしれない。
 間違っても同じ部隊で混ぜるな兵站が死ぬぞと思うけれど。
 ちなみにガンタンクが肩に背負ってるキャノン砲の口径が120mmだから、砲身長はともかくとして口径はでかい訳で、ビーム兵器では無いが当たればそれなりの損害は与えられる威力はある。
 それはある意味当然で、ボールの出現時期だと仮想敵はリックドムあたりになるのだから、傷跡一つ付けられない様な兵器を投入したってそれこそ宇宙飛ぶ棺桶にしかならない。

 そんな砲を積んでいるんだから機体もそれなりのサイズとなる。
 砲のサイズからするとガンタンクのAパーツに匹敵するサイズになるはずだ。
 ガンタンクとボールの2ショットは無いから想像ではあるけれど。
 ただね、ザクマシンガンの口径が120mmってなってるから、それと比較酢されると困るんだけど。
 ファーストのこの辺りの設定のいい加減さはなんと言ったらいいやら。
 だからといってボールの装甲が厚いのか?
 厚い装甲を持っても動けるパワーがないのでそこそこで済まされてるだろうって結論しか出てこない。
 MSは敵味方を問わず核動力だが、ボールはバッテリー駆動。
 馬力が機体できなかったら軽くするしかないわけで、軽いなりにスラスターの効きが良いので小回りは効くらしく、割としぶとく戦えると言うけれど近接攻撃の武装が皆無なので最後は殺られる。
 これがガンタンクとの違い。
 ガンタンクには両腕に4連装40mmrロケットランチャーがあるので弾幕が張れる。

 連邦はボールをどう使うつもりだったのか?
 連邦だって馬鹿みたいに作りやすいからってだけで作ってた訳でもない。
 量産MSとしてジムを開発配備していたが、試作品のガンダムほどではないにしろジムも金がかかっている機体だから、流石に連邦にしても戦時中に十分な数を戦場に投入できる状況ではなかった。
 ジムもやられメカ的な扱いになってるけど、ゲルググは無理でもリックドム位には対抗できるレベルでないと投入する意味がないのでかなり金と手間が掛かっている。
 米空軍がF-15&F-16でやったHi&LowMIXみたいな構成だけど、戦術としては前衛にジム後方からボールが砲撃する形で使うことが想定されていたはず。
 ジムの装備しているビームスプレーガンが短射程なので、そのままだとアウトレンジされるだけ。
 ビーム兵器はゲルググ以降だが実体弾だって当たれば痛い。
 そこで長射程で撃ち合うのがボールとなる。
 ボールの存在って、機動兵器と言うより自走砲のような存在で考えるとしっくりくるし、180mmなんてでかい砲を積んだ意味がここで出てくる。
 敵がボールを制圧するには遠距離砲戦を挑むか捨て身で突っ込んでジムの壁を突破するかになるので、真っ当にやれば案外ボールはしぶとく戦えちゃう…筈なのだが。

 数ある欠点はあれども課せられた任務を果たして表舞台から去っていったボールに敬意を。

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