見出し画像

ロマンティックあげるよ

どうもKONGです。

誰もが好きな、ギャップ萌え。

童顔なのに声が低い。
怖そうなのに優しい。

意外な組み合わせ程、人の心を震わせる。

さてさて、皆さんは

カタヤマくん(仮名)

という男のことを憶えているだろうか?

過去のnote『セヤブ事件』の時に柔道部主将と戦った大男である。
セヤブ事件 : https://note.com/getbillmonkeys/n/n828c9d899fe6

彼は背が高く、色黒、短髪、サッカー主将で頭も良い。

今思えばなかなかのハイスペックで後輩からモテていたのも納得だ。

そんな彼も素晴らしいギャップ萌えの持ち主でした。


それは高校時代。

カタヤマくんに春が来ました。

 
彼女の名前はヤスコ(仮)

仲間の皆で「よかったよかった」と祝福をして、
「さっそくデートしたー」なんて青春っぽい話を聞いていたら、カタヤマ君がこう言った。

「ヤスコが、ドッグダクが欲しいんじゃて…。」

『ドッグダグ』とは、よく軍人さんが首から下げたりしている銀色の小さなプレートのことだ。
それをネックレスとして付けるのが、当時の山口県の一部の高校生たちのトレンドだったのだ。

カップルでお揃いのドッグタグ・・・いいじゃん!
みんなが盛り上がる中、カタヤマ君がつぶやく。

「…さて…どーやって作るかのぉ…」

作る???


「普通に、買えばいいんじゃないかい?」
「あかんねん…。ヤスコはどんなもんでも、気持ちがあった方がえぇゆーとった…」

なんとしてもプレゼントにオリジナリティを持たせたい彼。
しかしドッグタグの作り方なんて誰も知らない。
そこで全員の説得により、『ドッグダクは購入する』が、『文字は自分で彫る』となった。

数日後。

カタヤマ君は、家にあった電動ドリルでプレートを削り、世界に一つしかないドッグタグを作り出したのだった。

さぞ、苦労しただろう。
繊細な作業だっただろう。
不器用にも一生懸命さが滲み出たプレートにはブレブレの文字で 『YASUKO』 と彫られていたが、

画像3


どう見ても『YOSIKO』だった。

それを1ヶ月記念日にサプライズで渡すと言っていたのだが・・・。


サプライズ決行日から数日前。
突如カタヤマくんから「海に行こう」と誘われ、
みんなでバイクで海まで走った。

着くや否や、カタヤマ君は突然涙を流しながら、一言。


「フラれてもーた」

……。

ふぇ…。

「何がいけんかったんじゃろ…」

と、呟きながら彼は、ポケットから出した


『YOSIKO』のドッグダグを海に放り投げた。

画像1

これぞ青春の1ページ。

「付き合わせて悪かったな…ほな…いこか…」
と、再びバイクに乗り、みんなで家に帰った。


数十分後。
家に到着した後も、彼は泣きながら窓の外を見ていた。
かける言葉もなかったので、ただただ無言で見守っていると、彼が口を開いた。

「いつか…
俺が投げたあのドッグタグを、イルカが咥えて渡しに来てくれるかのぉ…
そん時が来たら、この恋も綺麗に終われる気がするんじゃ…」

それを聞いた、周りの友人たちはみんな無言でこう思っていた。

カタヤマよ…。

あのドックダグは護岸から2メートル先でポチャンと落ちたぞ。
もはやただの不法投棄だ。

画像2

あんな浅瀬にイルカいない。

ついでに言うとあのドッグタグな。
オオタニ君(仮)が庭の水道の止め線に使うって言って回収したんだ…。

……。

『色黒で体も鍛え上げられた大男なのに、ロマンチスト。』

これぞギャップ萌え。

この男は俺の青春時代、何度も心を震わせてくれた。

俺も何かギャップ萌えを見つけよう。

それではまた!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?