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スマホに釘付けだったから。

どうも。

KONGです。

現代社会において、“スマホから目が離す”という行為は、もはや至難の業と言っても良い。

スマホさえあれば、長蛇の列に並んでいても、移動中でも苦にならない。

おまけにお財布代わりにもなる。

なんて便利な時代なんだろう、と心から思う。

だが、素晴らしい事ばかりではない。


数日前。

KONGはATMに並んでいた。

現金主義のKONGのスマホにはお財布機能がない。

正確に言えば、機能はあるが使いこなせていないと言うのが正しいだろう。

お昼の休憩時と重なり、その日のATMはとても混雑していた。

余裕を持って家を出たが、銀行の外まで列が出来るほど並んでいるとは想像をしていなかった。

少し遠出をする事もあり、お金を引き落とさないと、電車に乗れても降りる事が出来ないので並ぶしか選択肢はない。

人数を数えながら、ATMの数も数える。

(あの人が、あそこに行って、次の次の次だから、多分この人の後だな。)

予想をしながら並ぶこと、数分後。

ようやくKONGが最前列になり、一つのATMが空いた。

が、

『ピロピロン!ピロピロン!』

ATMが悲鳴を上げている。

前の人が通帳を取り忘れているではないか。

KONGの判断力は、鱗滝左近次に鍛えられたかのように早かった。
(おまけに中学生時代の夢は忍者だった)

すかさず通帳を抜き、自動ドアの前の婦人に声をかける。

「あの!これ!」


カンタがサツキに傘を渡すような『ぶっきらぼう』ではなく、パチンコ屋で鍛えた紳士的対応で婦人に笑顔で通帳を渡す。

「あ…すいませぇん…」

「いえ!」

オールマイト顔負けの笑顔で持ち主に通帳を渡して、ATMに戻ろうとしたその数秒の間に後ろに並んでいた人がチャッカリATMにドッキングしている。

恐らくこの人も鱗滝左近次に鍛えられたのだろう。

なんて判断の早さだ。


「うぉわ…」


思わず心の底から声が溢れて出た。

まてまて。

俺はまだ何も目的を果たせていない。

流石のKONGも、忘れ物を未然に防ぐ為にこのATMに並んでいたわけではない。

KONGを追い抜いたこの人は、一部始終を見ていなかったのだ。

なんせ、“スマホに釘付けだったから”。

(マジかよ。)

焦りながら、列を目で追うと、相変わらず外まで並んでいる。

(…っうわぁお。)

魔女の宅急便で『グーチョキパン店』の奥さん『オソノさん』が、初めてキキの箒乗りを見た時と同じようなリアクションになってしまう。

そして目で追った列のほぼ全員が、スマホに釘付けだ。

(なんて日だ。)

肩を落として、最後尾に並ぶ為に自動ドアまで近づいた時

「あの…ココいいですよ…。」

その人は一部始終を見ており、笑顔で自分の前を指差す。

優しい世界。

ドラマのような展開。

惚れてまうやろ。

嵐の『Love so sweet 』が脳内で流れ出す。

でも、同い年ぐらいの男だった。

脳内BGMがケツメイシの『友よ〜この先もずっと』に変わる。

急いでいたので、断る事もなく

「いいっすか?助かります。ありがとうございます。」

そう感謝を伝え列に入った後


「状況見ていたので…。」


と、一言。

この一言により、KONGは安心した。

決して割り込みではない、という事が周りにも伝わるからだ。

この男が只者ではない事を、今の一言で十分に理解した。


そして再びKONGがATMにドッキングするタイミングが来た。

再度、只者ではない男に感謝を告げる。

「ありがとうございました。」


(イヤホンしてるぅーーーー!!!!)



感謝の言葉は空を切る。

この男性からすると特別な事など何もない当たり前の事だったのだろうか。

ただ、たった数秒の出来事でKONGが助けられたのは事実。

スマホ楽しい。

でも、下ばかり向かず、前を向いていたら、『素敵なsomething』を見つけれると改めて体験した数分間でした。

皆様も、たまには目を休めるがてら『catch the moment』の気持ちで過ごすと、今よりもほんの少し良い事があるかもしれませんね。

と、スマホでこの記事を書いているKONGでした。


それでは!


また!

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