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自分の脳をカスタマイズする方法


今までこのブログにも書かせていただいているが、私はグローバル人材の要素としてカテゴリーを2つに分けている。

グローバルで「リーダーシップを発揮できる要素」を以下の2つとしている。

1)ビジョナリーシンキング
2)セルフエンパワーメント


グローバルで「周囲から共感性を得られる要素」を以下の3つとしている。

3)ダイバーシティー
4)コミニュケーション
5)グローバルイングリッシュ


前回のブログでは、ビジョナリー(visionary/右脳の世界)について述べさせていただいた。

そして今回はシンキング(thinking/左脳の世界)について書かせていただく。

ここでは、あえて右脳と左脳と表現しているが、脳の右半分に右脳機能があり、左半分に左脳機能があるという概念ではない。

医学的には、脳には前後左右に様々な部位があり、思考中は、それぞれの部位がお互いに刺激しあいながら、ビジネスの現場においては戦略を策定したり、新しいアイディアをひねり出したりしていると私は理解している。

起業家は日々思考力を鍛えている

ソフトバンクの創業者の孫正義氏は右脳と左脳の役割についてこう述べている。

「最初は右脳を使って思う存分、成功のイメージをつかみますが、
その次の段階では、そのイメージを実現するための具体策を左脳で翻訳していくんです。
『この未来を実現するためにはどうすればいいか』と。
そこからはもう、完全に論理の世界です」

また、先日他界された京セラや第二電電(現KDDI)の創業者稲盛和夫氏の名言にこんなものがある。
楽観的に構想し、悲観的に計画し、楽観的に実行する

このお二人の共通点は「自分の脳をどのように使えば成功するのかを、失敗と成功を繰り返しながら脳に刻み込み、それを信じ実行し続ける」という好循環なのだ。

孫正義氏の「具体策を左脳で翻訳」、稲盛和夫氏の「悲観的に計画」の部分は、ビジョナリーシンキングにおける「シンキング/思考力」に該当する。

ロジカルとシステムは互換関係にある


この思考力に関しては、昨今様々な思考法が書籍やセミナーで紹介されている。

その代表的な思考法が、物事を静的に捉え、要素に注目する「ロジカルシンキング」であり、逆に物事を動的に捉え、つながりに注目するのが「システムシンキング」である。

例えば、今回のロシア・ウクライナ戦争において、双方の戦略担当者は、まずは自分たちが保有している兵士と兵器の質と量を敵側と比較、兵站強化等はロジカルシンキングの役割である。
一方、時間軸でロシア/NATO各国の政治的な動きや変化について読み取り、刻々と変わりゆく世論、戦況に応じて、次の戦術を構築するのは、システムシンキングの役割である。

「脳みそのあるトランプ」デサンティスフロリダ州知事


この2つと思考法を、個人に焦点を当てて、わかりやすい例で考えてみたい。トランプ前大統領の口癖は「we‘ll see what happens」である。これは直訳すれば「少し様子を見てみよう」であるが、おそらくトランプ氏は、かなり俯瞰的にものを見る(正しく見ているかは別)タイプで、詳細や過去の約束事より、交渉相手の心の中を読み、弱みにつけ込みレバレッジをかけるようなやり方を好む傾向がある。これはシステムシンキングの、「物事が動的に動いていて、様々な事象につながりがあること」を起点にしている思考法である。
ただ、次期大統領選のフロリダ州知事のデサンティス候補は、「脳みそのあるトランプ」と呼ばれている。これはトランプ氏に比べ、デサンティス氏は、ロジカル且つシステムな思考ができるとみられていることを表す表現と思われる。

この2人はタイプとしては、人を鼓舞する能力を持つ意味で似ている。すなわち、レバレッジポイントをつかむのがうまいからシステムシンキングの強さを感じる。
トランプ氏の人気に陰りが出てきているのは、選挙陰謀論などのラジカルでワンパターンな彼のパフォーマンスに今までの支持者が少し嫌気をさしてきているのだろう。

理路整然としていて、常に冷静なオバマ元大統領は、ロジカル7/システム3の割合、MAGA(Make America Great Again)などロジックより、強い感情的なメッセージで国民の共感を得ようとするトランプ前大統領は、ロジカル3/システム7が私の印象である。

プーチン大統領の脳にはビジョンのチェック機能がなかった



プーチン大統領は、ユーラシア大陸においてロシアがどんなポジションであるかに関し、彼が信じるあるべき姿を明確に頭に描いていると言う意味ではビジョナリーである。
しかし、その歴史にこだわりすぎた妄想と奢りが今回の戦争を引き起こしてしまった可能性が高いのではないか。また、その彼の野望を達成するための作戦のプロセスで、国内極右派の声を聞きすぎて、冷静な判断ができず、戦況が思わぬ方向に動き始めてしまい動きが取れなくなってしまったと指摘する専門家は多い。

ビジョンのチェックをロジカル/システムシンキングで冷静に行うべきだったが、そこが甘かったと見るのが自然である。

脳の仕組みを理解し、自分なりにカスタマイズして使い続けるという発想


脳の仕組みとその思考法に関しては、複雑系であり、これらの観察はあくまで私の印象の話である。私の知ってる限りでは、これらを測定する方法はない。

重要なのは、孫正義氏や稲盛和夫氏のように、自分の脳の使い方に関し、自分なりの方法を試行錯誤しながらやり続ける(これは意識しないとできない)ことによって、類推力(アナロジー)を鍛えることで人は思考力を高められる。

このプロセスには、その人独特の個性が介在してくる。人はそれぞれその人の人生の中で、様々な経験をし、他人とは違う感情を様々な場面で経験する。ビジョンは右脳的であり、感情が主体、シンキング(思考)は左脳的であり、思考のフレームワークを何度も繰り返すことにより鍛えられる。

どうしても人は、慣れたことを好みがち(comfort zone)だ。自分の脳の使い方がどうなっているのか、どんな使い方をしていて、どんな使い方をしていないのか?まずはそれを意識化することで、思考力を鍛える(stretch zone)ことが出来るのではないかと考えている。

ということで、今回はビジョナリーシンキングのシンキング(thinking)について述べさせていただいた。

次回はセルフエンパワーメントについて考えていきたい。


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