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大人にサンタは来ないから

自分で自分を甘やかしてもいいんじゃない?という言い訳。

数ヶ月前に二十歳になった。わかっていたことだけど、別に二十歳になったからといって急に大人になるわけではないし、劇的に何かが変わったわけでもない。変わったことは合法的にお酒を飲めて、タバコを吸えて、親の許可なしにクレジットカードを作れて、もし罪を犯せば実名報道されるようになったくらいだろうか。形式上「成人」になったとしても、やっぱり私は「大人」になったという実感はわかない。

もう一つ、変わったことがあった。12月25日の朝、それまで毎年来ていたサンタクロースが来なくなった。
逆に今まで来ていたのか、というツッコミをくらいそうだが我が家には去年の、私が19歳で迎えた12月25日まではクリスマスプレゼントが届いた。もちろん19にもなってサンタの存在を信じるほど子供じゃなかったけれど、親の好意を素直に受け取れるくらいには大人だったし、でもその好意に一切の遠慮なく甘えてしまうくらいには子供だった。

そんな私の元に、今年はサンタが来なかった。クリスマスイブに友達と浅草で終電まで飲み、帰宅した頃にはもう家族は寝静まっていたし、バイトのために朝早く起きたらまだ家族は寝ていた。当たり前のように朝起きても枕元にも、部屋の外にも、リビングにもプレゼントはない。

そのときふと、大人になるってこんな感じなんだ、と思った。きっと幼虫が蝶になるみたいに劇的に変化はしない。将来40、50になっても私は自分を大人だと納得できるようになる自信はない。でもこうしてちょっとずつ子供だからこそできたことができなくなっていって、大人しかできないことを覚えていくんだろうな、と。

だから、クリスマスはサンタが来ないから、代わりに自分で自分に初めてブランド物の時計をプレゼント。大人なら自分にプレゼントを買えちゃうから。っていう散財の言い訳。

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