日本むかし話「カムパネルラ堀」前編
人口太陽となった堀は民衆からカムパネルラ堀と崇め奉られつづけたのだった。
おっと。すみません。この昔話の結末を語ってしまいました。失敬。
しかし、何故堀はカムパネルラになったのでしょうか。
昔話とは本来眠りにつくために語るものですが、気になってしまっては寝ることができませんねぇ。
では、わたくしの口から直々に語りましょう。
カムパネルラ堀 さく:ゲス子
むかし。むか~し。あるところにおじいちゃんとおばあちゃんと堀が住んでいました。
おばあちゃんは血糖値が高めで血圧も高かったのでほぼいないに等しい状態でした。
おじいちゃんは元気でした。
堀は小脇にポテトチップスを抱えては床に置き、抱えては床に置き。意味のない運動をする毎日でした。
日課といえば「ローゼンメイデン」の水銀燈の画像を印刷してスクラップブックを作ることだけでした。
「ひぇ~。おいらなんのために生きてるのかわからんぜぇ~」
堀はそんなことを考えながら毎日毎日チョキチョキチョキチョキ。あ、も一つおまけにチョキチョキチョキ。あと一回だけ。チョキチョキ。と退屈な日々を送るだけでした。
「こっちへ来い」
「え?」
堀は呼ばれるがまま階段を下りて、一階のおじいちゃんの部屋へとドスドス歩いていきました。
「フッ!フッ!」
堀は冷蔵庫を開けるとトップバリュのやっすいコーラ(29円)を取り出し、部屋に戻っていきました。
カチ、カチカチ、カチ、クリクリ
この日、堀はいつもと違う行動に出ました。
今日はどうやらひだまりスケッチのなずなの画像を印刷したのです。
ガシャガシャ、ウィッウィ、ガッガッガッガッ…
なずなの画像を印刷した堀は壁にペタペタと貼り付けました。
ドスッ!
なずなの画像にナイフを突き立てる堀。
「WANTED」
そう言うと堀は眠りにつきました。今日は色々なことがあったね。
ゆっくりお休み。
ゴォォォォォ
「ぃ…りぃ!…堀!!!」
ゆっくりと目を開ける堀。
「わ!わぁああああああ!!!」
大変だ。堀の家が燃えている。メラメラと燃えている。スクラップブックも。あずまんが大王3巻とエスパー魔美2巻も。何もかも燃えている。終わりだ。
ゴホゴホ咳き込みながら二階から飛び降りる堀。不幸なことに着地に失敗したため、意識を失ってしまった。
朦朧とする意識の中、堀が最後に見たのは、、、ニヤリと笑っているおじいさんの姿だった。
「ゆる…さ…ん」
ピーポーピーポー。ファンファンファン。
堀はでっかい病院(でかいといっても田舎のムカデくらい笑)に入院することになった。全治3か月。右足複雑骨折。全身打撲。ついでに脳挫傷も。
ベットの上で消費する日々、堀はずっと考えていた。あのときベランダから飛び降りるとき、ワンピースの初代オープニング冒頭のルフィみたいな走り方しながら飛び降りなければこうなっていなかったんじゃなかろうか。悔しい。悔しいよぉ。悔しいんだよぉ。
涙で布団がぐちゃぐちゃになってしまうね。早く退院したいねぇ。
ー3か月後
おっと。みなさん眠りについてしまったみたいだね。
続きが気になるかい?
でも私は過半数の子供たちが眠りについたら話すのをやめてしまうのだよ。
この続きはまた今度にしようかね。
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