見出し画像

VPoE Meetupから考える開発組織のリーダーシップ

1. はじめに

2024年10月21日に開催された「VPoE Meetup Vol.1」に参加する機会を得た。本イベントは、VPoE(Vice President of Engineering)経験者が集まり、その役割と責任について深く議論する場として企画された。当初30名の定員からニーズの高さにより50名まで増枠されるなど、開発組織のリーダーシッ
プに関する関心の高さが窺える。

イベントの内容や個人的な見解を交えながら、現代の開発組織におけるVPoEの役割と、今後の展望について考えてみた。

VPoEの本質:開発組織のプロデューサーとして

プロデューサーという新しい解釈

イベントで最も印象的だった表現が「開発組織のプロデューサー」というVPoEの定義だ。この表現は、従来の管理職やリーダーという枠を超えた、より創造的で包括的な役割を示唆している。曖昧にされがちだったVPoEの定義としてこれ以上に相応しい言葉は今のところ見つけられてない。

プロデューサーとしてのVPoEには、以下の要素が含まれるのではないだろうか?

  • 0から1を生み出すクリエイティブな視点

  • 組織全体を俯瞰する能力

  • 全体責任を担いながらも現場で動ける実行力

  • チームの可能性を最大限に引き出す力

組織のユニーク性とプロデュース方針

開発組織には、それぞれに固有の文化や課題がある。そのため、VPoEには自社の特性を理解した上で、独自のプロデュース方針を確立することが求められる。

具体的なアプローチとして:

  • 組織の現状分析と課題の明確化

  • 独自の価値提供方針の策定

  • プロデュース方針の明文化と共有

  • 継続的な方針の検証と改善

これは、組織の採用ページなどに掲げて然るべきではないだろうか?

VPoEに求められる意思決定の在り方

意思決定のバランス

VPoEの重要な責務の一つが意思決定だ。しかし、全ての決定をVPoEが行うのではなく、適切な権限委譲とバランスが必要となる。

効果的な意思決定の構造:

  • 戦略的決定:VPoEが直接担当

  • 戦術的決定:テックリードやEMに委譲

  • 実務的決定:現場チームに権限委譲

これを適切に出来るかどうかにVPoEの力量が試される。

責任の所在

特筆すべきは、権限を委譲しても最終的な責任はVPoEが負うという点だ。特に:

  • 外部ステークホルダーへの説明責任

  • 結果に対する責任

  • チームの成長に対する責任

非常に大変な仕事だ。

標準化への提言

現状のグレード定義

多くのベンチャー企業で採用されている7段階のグレード制度を採用しているように感じている。基本的な構成は以下のような構造となっている:

  1. ジュニア:基礎的なスキルの習得段階

  2. メンバー:自立した実務遂行が可能

  3. シニア:専門性を活かしたリーダーシップ

  4. リーダー:チームマネジメント能力

  5. 部門長:部門全体の統括

  6. 執行役員:経営的な意思決定への参画

  7. 経営:組織全体の方向性決定

標準化とオープンソース化の提案

VPoEの業務を紐解くと多くの人がグレード定義や評価制度の標準化を行っている。
車輪の再開発を嫌うエンジニアであるにも関わらず、なぜかここだけは常に自前主義で再開発を行ってしまっている。
なので、VPoEが集まり、グレード定義や評価制度のオープンソース化をすべきではないだろうか?
特に1〜4ぐらいのグレードに関して、求められる能力や結果については大きな差分がないのではないかと考えている。

まとめ

VPoEという役職は、単なる管理職ではなく、組織全体をプロデュースする創造的な役割として進化している。今後は:

  • 各組織に適したプロデュース方針の確立

  • 効果的な権限委譲と責任の明確化

  • 業界標準となるグレード定義の確立

これらの要素を意識しながら、開発組織の成長を導いていくことが求められる。
そんな事を実感したイベントでした。
VPoEの方々のこれからに期待しています!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?